1.エゴグラムのコンピュータ解析の方法


1)エゴグラムは“パターン分析”以外は意味がない
   
  エゴグラムの数値データというのは、あくまでも、ある質問に対する、回答者当人の“段階
  的区分けの心証的な数値”でしかありません。“段階的区分けの心証的な数値”というも
  のは、絶対的基準があるわけでなく、個人個人によって、全く意味合いの異なるものです。
  ですから、この数値データは、他者との相対的な比較の出来ないものなのです。

  多くの人にテストを実施し、数多くのこのような数値データを集め、平均を出し、正規分布
  になるように標準偏差を計算して、各個人の得点がどの段階値にあるか、どのようなパー
  センタイルに値するかなどをはじき出す作業は、一見すると、統計学的な、科学的な作業
  のように見えるが、よくよく考えてみると、元データに個人的心証という意味しかないので
  すから、全く無意味なこととしか言いようがないのです。

  エゴグラムの質問に対する数字的回答は、あくまでも、「当人が自己のパーソナリティを、
  どのように捉えとらえ、認識しているかを現しているもの」です。そうすると、あくまでも、
  この認識に立って、エゴグラム解析を行うとすると、他者との相対的な比較をせず、他
  者の回答と統計的関連性を持たせずに解析する必要があると言えます。
  そうなると、エゴグラムの解析は当人の自己認知のパターンを分析すること以外
  には意味がない
と言えます。

  では、そのパターン分析をどう進めるかを、解説することとしましょう。



2)先ず、エゴグラムの基本類型の分析を考える

  「TAの基本的理論を学ぶ」の第7項「人柄の基本的類型(エゴグラムのパターン)」で、
  TAによる人柄の形成過程の研究から、最も基本的な人柄のパターンとしては、次のよ
  うな、5つのものが考えられるとして、山型、N型、逆N型、W型、フラット型を紹介しまし
  た。

  この時、エゴグラムのパターン分析では、人柄の形成過程で、親との関係性が大きく、
  強く人柄の特徴を決める、2つのP、つまり、CPとNPの2つのPの傾きがどうなって
  いるか、と同時に、2つのC、つまり、FCとACの2つのCの傾きがどうなっているか
  を中心に、パターンを考えることを説明しました。
  そして、形成過程での親との関係性が比較的小さいAと、親との関係性は強く、人柄
  の特徴を強く決めるものの、その形成プロセスが、全て人にあるわけでなく、同時に
  パターン化しにくいRCは、別途に考慮する必要があることも説明しています。

  そのとき示した下図を参照して下さい。


                  


                   パターンの弁別数   5X5 = 25



3)PとCの傾きを解析する

  この時に問題になることは、上図の「エゴグラムの基本的類型パターン」では、2つのPと
  2つのCがほぼ同じ強さにあり、PとCが強さがバランスがとれていると仮定をしていること
  です。
  
  実際には、PがCよりも強くエゴグラムが右下がりになる人もいれば、反対に、CがPよりも
  強くエゴグラムが右上がりになる人もいます。
  P中心の右下がり傾向のグラフになるのか、C中心の右上がり傾向のグラフになるの
  かは、当人が自分の成熟度をどのように自己認知しているかを見るために、大変重要
  な視点を提供するものと言えます。

  エゴグラムのPとCの傾きを捉えるには、2のPのうちの最高値と、2つのCのうちの最高
  値を比較することが、最も適切な方法と考えられます。
  これを図で説明すると、上の図に、「PとCの傾き」の視点が付け加えられたことになりま
  す。


              パターンの弁別数  25X5 = 125



4)人柄全体の中に働くAの強さを計る

  エゴグラム解析の中で、落とせない視点の一つが、「当人が自分の人柄全体の中に働くA
  (アダルト)の強さをどの程度のものと認識しているか」を明確にすることです。
  これを捉えるには、Aの値を、A以外の5つの項目の得点と比較して捉えると、エゴグラム
  全体の中でのAの高さが捕捉できると考えられます。

  その方法としては、A以外の5つの項目を、得点の高さ順に並べ、Aの数値は、その段階の
  どこにあるかを見れば、人柄全体の中に働くAの強さが捉えられるものと考えられます。


                    

           パターンの弁別数  125X8 = 1,000



5)Cの全体的傾向性をつかむと同時に、反抗のCの強さをとらえる

  3つのC、つまり、FC、AC、RCの値を個別に捉えているだけでは、パターンとしては捉え
  られません。
3つのCを、全体的捉えてこそ、Cの感覚的・感情的な感じ方・反応の仕方
  の傾向性をとらえることが出来るのです。

  このための方策としては、基本的類型(パターン)のとらえ方の、FCとACの傾きのとらえ
  方を利用し、それに続けてACの値からのRCの傾きを考えれば、Cの全体的な傾向性が
  捉えられる
と考えます。
  また、これによって、C全体の中におけるのRCの強さのレベルも捉えられのです。

  これらを図示すると下図のようになります。

 


        パターンの弁別数  1,000X7 = 7,000



6)どれかの1項目の、“突出”を捉える

  エゴグラムに現れる人柄の特徴の一つが、何か1つの項目が著しく高く現れてくる現象、
  いわゆる“突出”です。 これは、人柄の中に、かなり強い偏りがあることを示しているの
  です。
  この、第1位の項目の数値の“突出の度合い”を捉えなければ、その人の人柄の特徴を
  捉えていることにはならないのです。

  下の図に示すように、どこまでが“通常の範囲のレベル”であり、どこからが“突出したレ
  ベル”と言えるかを決めることは極めて難しいことですが、“通常の範囲”とは、50%を
  超え、70〜80%の人が含まれるレベルと考えたいと思います。また、、“突出したレベ
  ル”とは、3〜5%の人しか含まれないレベルと考えます。そして、それは実践的データ
  の収集と分析により決定していく他はないと考えます。



       パターンの弁別数 7000X6X6 = 252,000



7)心理的なエネルギーの強さのレベルを捉える

  エゴグラムを構成する6つの要素のうちACは自己の内側に向いて抑制的に働く心理的
  エネルギーであり、他の5つの項目は
自己の外側の、人や状況・環境に向けて発現さ
  れるエネルギーです。
周囲の人が認識する、その人のエネルギーとは、この“外側に向
  けて発揮される”エネルギーの総和ということになります。

  そこで、CP、NP、A、FC、RCの5つの項目の平均点を取って、それがどのレベルにあるか
  を見れば、その人の心理的エネルギーの強さのレベルを捉えることができるといえます。




                       

      パターンの弁別数 252,000X5 = 1,260,000



8)まとめ


  以上のように解析していくと、今までのエゴグラムの判別では不可能であった多様な、“自
  己認識による人柄の判別
が可能となるのです

  しかし、自己採点方式によるエゴグラムは、どこまで行っても“当人の自己認識よるもの”
  であり、それには、願望や自己の理想化、自己否定(自己へのディスカウント)を含むもの
  であり、客観的に正確なものではないことを、しっかりと認識しておかなくてはいけないこと
  を、しっかりと認識してもらうことを強調しておくことが必要考えます。