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L&G被害対策弁護団
弁護団の見解

L&Gの組織的詐欺について

2007年10月14日

L&G被害対策弁護団
事務局長 弁護士 田 中 博 尊


1 L&Gの会社概要と、関係当事者の前科

(1)株式会社エル・アンド・ジー(以下「L&G」といいます。)は、東京都新宿区新宿2丁目15番22号に本店を置いて、昭和62年(1987年)8月18日に設立された、資本金2,000万円、健康寝具、健康用品、栄養補助食品の販売等を目的とする株式会社であった。

(2)代表者の波和二(なみ かずつぎ 昭和8年5月生、現在74歳)は、マルチ商法業界の超大物であった。
 マルチ商法自体は、1950年代にアメリカにおいて誕生した。
 これが日本に本格的に進出してきたのは、波が、神奈川県に本拠を置く「APOジャパン」という会社を、昭和46年(1971年)に設立したことらによる。「APOジャパン」は、自動車のエンジンの排気ガスを減少させ出力アップを図ると称する装置を約25万人に販売した。その後、波は、「APOジャパン」の破綻と前後して、同社の代理店であった「ノザック」の社長に就任し、水道水をミネラルウオーターに変えるという触れ込みで、大々的な宣伝を行い「麦飯石」の販売も始めた。
 ノザック幹部は、昭和53年(1978年)に三重県警に詐欺容疑で逮捕され、波自身も実刑判決を受けている。
 そして、波自ら「仮釈放時代に書いた」という「幸福論」を下敷きにして、昭和62年(1987年)に設立したのがL&Gである。

(3)また、マスコミ報道(週刊ダイヤモンド2007/04/21号、14頁)によれば、L&Gグループの役員の経歴を調べると、まさに「前科者」の一大集団であることが判明した。波とともに、「APOジャパン」、「ノザック」に在籍して、詐欺容疑で逮捕されたものに、寺嶋惇、谷口鎌次郎がいた。
 そのうち、寺島は、平成3年(1991年)にも「ケイ・ピー・ハーベスト」の社長として、飛行船事業の会員権名目として60億円あまりを集めたすえに倒産し、会員から返済を迫られた前歴があり、L&Gのセミナーでは社長と紹介されていたとのことである。
 また、「APOジャパン」の社員だった放馬茂は「経済革命倶楽部」(KKC)の社長として350億円を集め、詐欺容疑で逮捕された。L&Gグループの役員就任はその後のことである。
 さらに、「L&Gを設立した頃には社長をやってもらった」という佐伯万寿夫(登記簿上は元取締役)は、健康食品会社「リッチランド」の会長に転じ、約500億円の金を集め、平成19年1月には詐欺で逮捕された。


2 L&Gの組織的詐欺の実態

(1)L&Gは、当初は布団、健康食品等の販売を主な事業としていた。
 しかし、ここ3〜4年前から、高利の配当をうたい巨額の金を集めるようになった。

(2)波は、この出資金の募集に際して、「L&Gあかり」と名付け、創業者(波)の天命(感情操作能力)に共鳴した人々の中から、経済に興味のある人々が平等一口株主社員になって構成されている会社であるとして、その株主社員の募集要件として、「貧乏人もいない、戦争・争い事のない世の中『あかり天国』を目指すために、常にくらやみの時には行動せず、あかりの感情が回復してから行動することが実践できる人」などと、適当なことを掲げ、宗教的な要素を加味していることが1つの特徴である。
 波は、いわゆる「波教」とあがめられるほどカリスマ性があり、自身も「私が法律です」と、よく口 にしていたと聞いている。このように、波は会員に対するマインド・コントロールの手法に長けていた。

(3)組織的詐欺の仕組みはシンプルで、「円天」と称する電子マネーといった装置や宗教的要素を加味してはいるが、実体は、昔からのマルチ商法、「ネズミ講」的なものに過ぎないのであり、連鎖的に新規加入者を誘引し続けなければいずれは破綻することが必至の配当システムであった。

 L&Gの投資商品には3つあった。

@ 「振込あかり価格」
 1口5万円を、手数料18%・9,000円を加算して支払えば、3年後に「振込あかり価格」の同額返金時「還元あかり価格」として一括支払いされるものである。言い換えれば、1口、手数料込みで5万9,000円を払えば、3年後に10万円返還されるというものである。L&Gの商品に投資する際には、まず、この「あかり価格」に出資することが条件になっており、いわゆる「出資金」に相当するものとL&G側では評価していた(これにより、会員は株主社員となるので、出資法違反にならないというのがL&G・波の主張であった)。

A 「L&G協力金」
 会員から、100万円を1口として、L&Gに振り込めば、預かり期間を1年間として、月3%相当の「利息」ないし「役務手当」を、3ヶ月ごとに9%の配当(年36%)を受け取ることができるというものである。

B 「円天受取保証金」
 L&Gの独特の商品で、最近の「電子マネー」の手法を加味したもの。出資者が10万円以上を預けると、毎年同額分の疑似通貨”円天”を受け取れるというもの。
 例えば、50万円を預けて、同額(50万円天)の商品を買えば、毎年、同額(50万円天)が振り込まれる。そして、いずれ解約すれば、元金の50万円も戻ってくるということで、「使っても減らないお金」という夢のような話のもの。
 ただ、円天が使えるのは、同社が運営する東京・銀座等にあった「円天市場」の商品のみである。一例を挙げれば、40〜50万円天の布団、2万〜3万円天のサプリメントや化粧品、30万円天の空調機、150万円天の着物など、高額品がズラリと並んでいたということであった。

(4)マスコミ報道(上記週刊ダイヤモンド記事)によれば、L&Gは会員を増やすために、全国各地のホテルで、連日のように、大々的な説明を実施していた。新宿のヒルトン東京で毎月2回開かれるというセミナーには、全国から1,000人近い出資者が集まり、波の話に熱心に聞き入ったりいていた。出席者の多くが50歳〜70歳代であり、特に女性が目立っていたとのことである。本年5月には、5,000人を集めた全国大会も実施していた。
 また、上記マスコミ報道によると、登録した会員や出資者向けの無料コンサートも頻繁に開催していた。出演者は、細川たかし、千昌夫、小林旭、長山洋子、小柳ルミ子といった有名歌手であったとのことであり、そこで出資を勧誘していたということである。なお、このような芸能人のコンサートの主催は、L&G本体ではなく、NPO法人「あかり研究所」が行っていた。

(5)マスコミ報道によれば、これまでに集めた会員は5万人、金額は1,000億円を超えるのではないかと言われている。また、会員1人当たりの被害金額についても、1,000万円を超える被害も多数見受けられる。また、噂のレベルに過ぎないが、L&Gが集めた資金は暴力団関係者に流出したという情報も寄せられている。


3 これまでの経緯と現状

(1)しかし、このような、古典的なマルチ商法、「ネズミ講」的なものの宿命として、永遠に会員が増え続けないと、事業継続が不可能であり、上記のL&Gの事業形態が破綻しないということは有り得ない。また、L&Gの協力金の年36%の配当、「円天」と呼ばれる「使っても減らない」電子マネーは、常識的にも有り得ないし、実際に、現実として、そうであった。

(2)まず、平成19年1月中旬に、上記Aの「L&G協力金」の3ヶ月毎の9%の円での支払いを、2月以降行わないことを発表し、以後、「円天」での配当に切り替えた。

(3)その後、「円天」での支払いについても、平成19年9月以降に、東京・銀座の「円天市場」の閉鎖もあり、停止した。

(4)さらに、L&Gは、平成19年9月21日、全従業員を解雇した。

(5)平成19年10月3日、L&Gは、警視庁および宮城県警、福島県警の合同捜査本部による出資法違反容疑で一斉捜索を受けた。捜査本部は最終的には詐欺容疑での立件を目指す予定ということである。


4 法律上の問題点

(1)刑事
@ 出資法第8条1項2号違反(3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれらの罰の併科)
A 詐欺罪(刑法246条1項)(10年以下の懲役)
B 組織的詐欺罪(組織的犯罪処罰法第3条1項9号)(1年以上20年以下の懲役)

(2)民事
 実際には、破綻が必至のシステムであるにもかかわらず、それと知りながら、多数の会員から多額の金員を、「世界経済円天構想」といった出鱈目の経済構想や、宗教がかった説明で預託させている。これらは明らかに詐欺その他の不法行為に該当する。
 また、波は当然として、その他の取締役等の役員対しても、損害賠償責任を追求していく余地がある。
 さらに、会員の勧誘に関与した芸能人に対しても、損害賠償責任を追及することができないか、検討する必要がある。


以上