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槍ヶ岳西稜(曾孫槍〜孫槍〜大槍のみ)


【山行期間】         2009年8月3日〜4日
【メンバー】           市川、岩佐(報告)

【行動記録】        

8月3日: 新穂高温泉(03:30, 03:50)--槍平小屋(07:10, 07:30)--千丈沢乗越(市川09:10くらい? 岩佐09:40, 10:00)--槍ヶ岳山荘(市川10:40, 岩佐11:20)△(テント設営)、テン場(12:10)--曾孫槍〜孫槍〜大槍(15:40登攀終了)--△

8月4日: △(05:30)(テント撤収)--大喰岳--中岳(06:20, 06:30)--南岳(07:15, 07:30)--槍平小屋(09:30, 10:00)--白出沢(11:35, 11:55)--新穂高温泉(13:25)


【報  告】

8月3日 (快晴。お昼過ぎから山頂ではガスも出るが、夜雨がパラついただけで、お天気は良し。)

名古屋を夜中の12時少し前に出発、延々と41号線を走って新穂高温泉着。無料駐車場は月曜だというのに車でいっぱいで、いささか驚く。準備している人があちこちにいるが、不思議なことに誰も歩き出す様子はなし。ヘッデン点けて満天の星空の下、二人で3:50に歩きだした。

前日までの雨のため沢の水量は多く、大きな音を立てて大量の水が流れている。穂高平小屋へ向かう林道は斜面から勢い良く水が流れている箇所もあり、1箇所土砂崩れの跡(既に復旧済み)もあった。槍平小屋までの数回の渡渉が若干心配であったが、問題なく順調に進む。

ここまでの歩きは楽であったが、ここから先は上りが始まる。最後の水場辺りから傾斜がきつくなってきて、それと同時にスピードダウン。市川さんがだんだん見えなくなる。千丈沢乗越・槍ヶ岳分岐から千丈沢乗越への登山道を登っていくが、5月から全く山歩きをしておらず体力不足で、その内太腿がつって痛くて先に進めなくなる。市川さんには先に行ってもらい、自分は数回立ち止まっては太腿をさすり、だましだまし一歩ずつ亀の歩みでノロノロ歩く。千丈沢乗越では、既に西稜取り付きまでの行き方をチェックしてきた市川さんが、涼しい顔をして待っていた。(タフです。とてもついこの間まで調子が悪かったとは思えない…。)

計画では1日目は乗越から下って千丈沢でビバークし、翌日西稜から槍ヶ岳ピークに抜け、そのまま南岳→槍平→新穂高という予定であったが、明日の天気は雨のようだったため今日の内に西稜も登ってしまおうかという案も出た。しかし、トレーニング不足のため、私にはこれから取り付きまで行き余裕を持って西稜を登るだけの十分な体力が残っておらず、今回は西稜を下から登ることは諦め、小槍から登ることに変更してもらう。そのため、取り敢えず千丈沢乗越から一般縦走路を歩いて、槍ヶ岳山荘に向かうことになった。足がつって痛くて仕方がないので、市川さんには先に登ってもらい、私は一歩一歩ゆっくり登っていく。11:20、漸く槍ヶ岳山荘に着くと、既にテントを張ってまったりしていた市川さんが「お〜い」と手を振っている。取り敢えずテンバまでたどり着くことが出来(情けない…)、ひと安心。

小一時間の大休止の後、登攀具を着けていざ小槍へ。山荘の横から小槍取り付きまでトラバース気味に下るが、足場がガレガレで手で掴む岩も脆い所が多く、慎重に曾孫槍の下に出た。ここから小槍左ルートの取り付き向かおうと下降出来そうな所を二人ウロウロしながら探すが、どこも崩壊が酷く下りられそうにないため、替わりに中央ルートを登ることにして準備をする。(後で小槍取り付きまでの懸垂下降用支点が見つかったが、いずれにせよ岩が脆く、快適に小槍を登るのは難しそうに思われた。)

支点は残置ハーケン3枚だが、当然のことながらサビサビで、市川さんから教わったようにハンマーで叩いて効きを確かめると、効いているのは1本しかない。また残り2枚の内1枚はタイオフしようにも、あごの部分が岩に食い込んでタイオフ出来ない。仕方なく3本をそのまま使ってアンカーを作り、市川さんリードで登攀開始。ところが1つ目のピンにアブミをかけ、その先に進もうとして左手で掴んだ岩がごっそり剥がれてびっくり!危ないので小槍登攀はアッサリ諦め、曾孫槍から大槍を目指すことになった。

1ピッチ目、小槍と曾孫槍のコルから大テラス手前までロープがぐんぐん伸びる。

2ピッチ目は、市川さんから「自分ならどういうふうに登るかを考えて、アンカーを作って」と言われ、ここかな?と思う所にエイリアン2本でアンカーを作ったが、市川さんに「右側にピンが2本あるけど…」と言われ唖然。よく岩を見たつもりだったが、まったく見ていない。「で、自分ならどこを登る?」と言われ、そのルートを指差すと、「そっちより右側の方が断然登り易い」と指摘を受け、見ると全くその通りであった。ちょっと落ち込みながらも、次のピッチはしっかりルートを見るぞと思いながら、孫槍の凹角を登っていく市川さんを確保。

3ピッチ目、孫槍の真ん中から上まで私がリードすることになり、まずはアンカー作り。ハンマーで残置ハーケンを叩いてみると「市川さんから、どれも全く効いていないから、カムで支点を作るように」と言われ、今回もエイリアン2本でアンカーを作る。「どこで支点を取るかを考えながら、自分が登っていく所をよく見てから登り始めて下さい」とのアドバイスの後、登り始める。登りはホールドも沢山あって簡単だが、支点を取るクラックのどの辺が適切なのかいまひとつ分からず、また手に取ったエイリアンが大きすぎたり小さすぎたりと、ランニングビレイ一つ取るのにもやたらと時間がかかる。下から市川さんのアドバイスを受けながら、先に進む。

2つ目の支点から孫槍のピークに行く途中、右側奥に廻った所に支点があったが、直ぐ上はハングして下は結構切れ落ちていて、そこから先にトラバースすることも出来そうにない。迷ったが「ここは違うな」と判断し、そのままピークまで登ることにした。(本当は右側にあった支点から懸垂下降するのが正しかったようです。)

ピークに着くと古いハーケン3枚があり、その内の1枚にそこそこ新しいテープスリングとカラビナがかかっていた。トポにはピークからは懸垂或いはクライムダウンとあったが、これを使って懸垂下降するにはなんとも心細い。また1枚はタイオフすることも出来ない。仕方なくこの3本のハーケンを使ってアンカーを作り、取り敢えずセカンドを確保する。足場は悪く、不安定な大きな岩の層がなんとも気味が悪い。市川さんがエイリアンを回収しながら登ってくるが、2本目のエイリアンの設置の仕方が悪く、取るのに一苦労していた。(すみません。)

4ピッチ目、ピークに着いてアンカーを取っているハーケンを見た市川さんが、これで懸垂下降は危ないと判断。150cmのスリングを岩にかけ、これをアンカーとして、大槍基部まで一人ずつクライムダウンすることになった。(ハーケンとカムを使うことしか頭になかった私は、ピナクルを使うことは全く思いつかなかった。状況判断力ゼロです。)

まずは市川さんに確保してもらって私からクライムダウン。難しくはないが落ちたら下まで転がっていくので慎重に行く。大槍の上に居る一般登山者がクライミングしている我々に気付き、心配そうにこちらを見守っている。足を岩に置く度に、「そうそう、そこそこ!」と言っているのが聞こえる。基部まで無事クライムダウンし、アンカーを作って市川さんを確保。市川さんがクライムダウンした時には、上から拍手と「良かった〜。やったー。」という声が聞こえてきた。

5ピッチ目、市川さんリードで大槍基部からロープを一杯に伸ばしたが、頂上手前あと少しの所でロープが足りなくなる。登りは易しいので肩がらみで確保してもらいセカンド岩佐が登り、そのまま継続して6ピッチ目、頂上に抜けた。市川さんも上がってきて、山頂で待っていた一般登山者の皆さんに「おめでとう!すごいですね!」と声をかけられた。

山頂で記念撮影し、ガチャ類・ロープを片付け、槍ヶ岳山荘で缶ビールを買ってテントに戻り乾杯。
ビールの味は最高であった。
さつま揚げと市川さんが用意して下さった五目御飯の夕食後、18時半にはサッサと就寝。

槍ヶ岳西稜千丈沢 小槍、曾孫槍、孫槍、大槍
西稜取り付きまでは、千丈沢を下る。 小槍、曾孫槍、孫槍、大槍。岩が不安定なので、雪のある時に来てみたい。

8月4日 (快晴。下山途中で山の頂にはグレーの雲がかかっていたが、午後3時過ぎまで下界では雨はなし。)

昨晩早く寝すぎて夜中の11時ごろから目が覚めては寝ることを繰り返したが、我慢しきれなくなって4時起床。外は快晴。テントの周りを見ると、ご来光を見るために沢山の人が我々のテントのそばに集まっている。市川さんが昨日確保してくれたこのテンバは、一番見晴らしが良く、また岩に囲まれて風もよけられるというベスポジ。どうりで皆ここに集まってくるわけだ。我々はご来光には無関心。取り敢えず朝ごはん食べましょ、とのんびり雑炊を食べる。コーヒーを飲んでいると「わあ」という声が聞こえてきたので、「折角だからご来光の写真を撮っておくか」と外に出て数枚撮影。撮っておいて良かった。美しかった。

5時半にテントを片付けテンバ出発。今日は大喰岳〜中岳〜南岳を歩き、南岳から槍平へ下る。本日は2日(日)の天気予報に反して何故か快晴。こんなことなら前の晩天気予報を確認しておき、もっと早く起きてもう1本くらい登るなり、計画を立て直せば良かったねと話しながら、今となっては時間的な余裕もなく予定通り稜線を南岳までハイキングして下山することになった。私は槍ヶ岳、大喰岳、中岳、南岳とどれも登ったことがなく、3000m峰を一度に4つも登ることが出来て、贅沢だなぁと思った。しかも槍ヶ岳は、途中からとは言えアルパインクライミングで山頂まで登ることが出来た。(西稜の取り付きから登れたらもっと良かったが。)南岳から槍平までの下りは、急な上に日曜までの雨のお陰で泥だらけで梯子も多く気が抜けなかったが、これはこれで面白かった。(同ルートの上りはゴメンだが。)可愛い雷鳥の親子も間近で見ることが出来た。槍平に着くと美味しい水をたっぷり飲んで日陰で休憩し、あとは新穂高まで単調な歩き。1時半ごろ下山してしまって何だか勿体ないような感じだったが、久々の山歩きを十分に楽しんだ。

今回はトレーニング不足で西稜を下から登ることが出来なかったけれど、またいつか訪れてみたいと思います。ただ、小槍から大槍まで岩はボロボロで、雪のついた春頃に登った方が楽しめるのかも知れません。無雪期の小槍は、支点はボロボロだし岩も脆くて直ぐ剥がれ、足場もガレガレで不安定ですから全くお勧め出来ません。

クライミング自体は難しくはなかったけれど、リードすることの難しさを痛感しました。市川さんに支点のセットの仕方やセットする位置、ルート取りなど色々アドバイスしていただきましたが、孫槍では自分の判断ミスでピークまで登ってしまいヒヤリとした思いもしました。たまたまクライミングダウン出来る程度の難易度であったから良かったものの、判断を間違えるととんでもないことになることを痛感しました。体力、判断力、技術と多くのことを求められるアルパインクライミングの上達の道は、長く遠いです。

以上