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日にち:08年12月28日〜12月31日
メンバー:西田 波多野


28日 10時発 伊折 〜 13時着 馬場島(馬場島荘泊)
29日 5時50分発 馬場島 〜 12時着 早月小屋(小屋泊)
30日 3時20分発 早月小屋 〜 9時50分着 剱岳頂上 〜 11時30分着 早月小屋 〜 15時着 馬場島(馬場島荘泊)
31日 9時30分発 馬場島 〜 9時55分着 伊折


天気予報の情報から登頂は29日がベストだろうと考え、初日に早月小屋まで入るため27日の22時ごろ春日井を出発する。

予定通り28日の4時ごろには上市に到着したが、雨が降っていたため早朝の出発は諦めて、今日は馬場島までの行動と決める。

上市駅の駐車場で仮眠を取ったあと9時ごろ伊折に向けて出発する。町中を抜けると直ぐに雨から雪へと変わっていった。

伊折からは雪上車のキャタピラの跡を歩きながら、「上市で雨なら伊折でも雨だろう」という思い込みの判断を悔やんでいた。「現場まで行って判断するべきであった」

馬場島に到着した我々は、馬場島荘に宿泊することにした。

馬場島から早月小屋までの道は、すでに何十人かの足に踏まれており八ヶ岳状態のトレースになっていた。久しぶりの重荷で楽ではなかったが、天気が抜群に良いこととラッセルをしなくて済んだので、思ったよりも早く早月小屋につくことが出来た。この日も小屋に宿泊することにした。

昼過ぎからは登頂に成功したパーティーが続々と下山してきて彼らの喜びの言葉が、判断ミスをした僕を更に後悔の念に浸していた。その日の夜は後悔の念と登頂に燃える二つの思いが交差して寝ることが出来なかった。

小雪が舞う中3時20分に出発する。ちょうど愛知岳連の猫屋敷のメンバーも出発するところであった。最初は交互にラッセルを行って進むが、我々二人で先行して進むことにした。時間が経つほど天候が悪化する予報だったので僕は焦っていた。つぶれてもいい気持ちで猛烈にラッセルした。

標高2750m付近でルートを見失う。暗闇の中右往左往するがルートを見出せず焦った。西田さんから「明るくなるまで待とう」との意見が出たため、風雪に吹かれながら50分くらい頭をひやして明るくなってくるのを待った。その間に猫チームと若いメンバーの会がその場に集結した。明るくなりだして、それぞれの会がルートを探している最中に、猫チームのメンバーがキノコ雪を踏み抜き転落したのを目撃した。コンテで行動していたので助かった。

我々も西田さんが岩と草付のミックス地帯で5mくらい転落していた。

天候が悪くなっていく中で、2名の転落を目の辺りにして撤退の判断が迫られていたが、その時ちょうど猫チームがルートを発見してくれたので、先に進む道を選んで後に続いた。

鞍部のリッジになったところを、猫チーム3人が恐る恐る前進していたが、中間地点で不安を感じたらしく引き返してきた。2番手に控えていた若いメンバーの会は僕の顔を眺めているので、「俺がやってやる!」と心に秘めて不安定そうなリッジを通過した。

リッジ通過直後にちょっとした理由があり(いや大きな理由か?)若いメンバーの会に先行を譲るが、天候の悪化を気にしている我々は、すぐに最前線に立ってふたりでラッセルを始めた。我々の後ろには横殴りの雪が見えるだけであった。

必死の思いで頂上に着いた時には、冬の剱が牙を剥き始めていた。証拠写真だけを撮って下山に向かったが、体力の消耗が激しく、手足がしびれて踏ん張りが利かない。「やばい帰れないかも」の思いが走った。踏ん張れないどころか足が繰り出せなくなったので、雪壁の所で座り込んでいると「ここまで来い!」との西田さんの大声が聞こえた。気合を入れてそこまで進んでから、水と行動食を口に突っ込んだ。手足のしびれが無くなって動けるようになった。

腰を上げて下降を開始するが、うわさに聞いていた日本海側からの湿った雪は、容赦なく顔に吹きつけてまつ毛を凍らせ、トレースも一瞬にして消し去ってくれる。僕は空気の層と雪面との境が判らず、セッピを踏み抜き片足を中にさらしてしまった。その後は頻繁にまつ毛の氷を落としながら慎重に下降していった。

早月小屋に着いた時には、本当に安心した。

頂上アタック前からその日のうちに、馬場島まで降りることに決めていたので、小屋の玄関で休憩した後さらに下降に取り掛かった。

小屋から下もトレースは消えているだろうと予想していたが、しっかりとしたトレースが残っていたので助かった。数え切れないほどの転倒を繰り返しながら馬場島に辿り着いたのでした。

次の日は警備隊の方の好意により、雪上車で伊折まで送ってもらいました。

長年の夢であった「冬の剱」に登ることが出来て、とても充実感に満ちています。
この成功はパートナーのおかげでもあります。

お互いに切磋琢磨して強くなっていきましょう。そして次なる夢に向けて出発します。