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明神岳V峰東壁右岩溝ルート


L中本、市川(報告)



2008年8月22日に日帰りで行ってきました。初めの目的は中央リンネルートでしたが、岩が崩壊したのか取り付きが見つからず、右岩溝ルートに変更しました。


坂巻温泉0:20−2:00上高地2:15−3:00明神3:30−中央ルンゼF1スタート6:40−10:30カールボーデン・右岩溝ルート取り付き12:00−15:30?峰頂上15:45−19:45上高地20:10−21:45坂巻温泉


*     坂巻温泉に車を止め、真っ暗のなか歩き出す。寒気が大陸から降りてきて、川沿いの道は寒いぐらい。釜トン、上高地を経て、明神まで半分寝ながらヨロヨロ歩く。睡魔に負けて、明神で30分仮眠。明神橋を渡り、信大小屋裏から下宮川谷に入る。暗いとルートが分かりにくい。木に結ばれたリボンや、大岩の赤ペンキを目安に歩く。一時間ほどで谷の上部。五峰の壁がうっすら見えてくる。そのまま登ると、南壁青草テラスを経由して中央ルンゼに入れるように思える。だけど、日帰り予定だから、中央ルンゼに入れなかったら敗退となってしまうので、ここは安全パイ。宮川尾根に向け藪こぎをする。下宮川谷上部から一時間ほどで、ワデ宮川上部の大岩で大休止。ガチャを準備しながら、中央ルンゼを観察する。

*     中央ルンゼ取り付きにはきれいなスノーブリッジが残っていた。水も豊富で、2リットルも担いできたことを後悔。F1は直登もできそうだが、水流が滝のようになっていたので、左岸から取り付く。すぐに古いリングボルト2本のアンカーを見つけた。(F1の1ピッチ目、中本)スラブは濡れていて、ロープを付ける。(2ピッチ目、市川)草付きトラバースでF1上に出る。F2下部はコンテで抜ける。急になってきたところで、スタカットに切り替え、2ピッチ登る。ピンは皆無だった。その上は、大きな急傾斜台地だった。目の前に大きなハングをまとった壁があり、もうカールボーデンに着いたと大喜び(本当はまだF3の下)。中央リンネ取り付きは壁の左の方のはずなので、登れそうなところを探すが・・・ルートらしき岩がない。とりあえず荷物を置いて、傾斜40度ほどのルンゼのスラブをノーロープで試登。壁の上の方に、比較的新しい残置シュリンゲを2つ見つけた。でも、「日本の岩場」などのルート図とは全然違う。あーだ、こーだと言い合っているうちに、左岸側の壁が登れそうに見えてきた。「ここ、F3なんちゃう」と中本リーダーの関西弁。左岸に近寄ると、垂直ボロボロの壁に一カ所だけ登れそうな弱点があった。(F3の1ピッチ目、中本)。確保支点はないので、座ってビレー。触る岩はすべて動く感じ。40メートルほど、洞穴手前でピッチを切る。(2ピッチ目、市川)。垂直に近いリッジを左に越えるあたりが極めて悪い。岩はすべてレンガ状にはがれ落ちる。真下に力がかかるようにしか岩を持てないし、エイリアンで支点を取ると広がるクラックばかり。残置は皆無。ここで落ちたら、2人ともF3下まで50メートルは真っ逆さまだったろう。寿命を5年縮めて、なんとか草付きにたどりついた。ブッシュで確保。(3ピッチ目、中本)草付きルンゼを歩いて、カールボーデンに着いた。目指すルートは登ってないが、もうお腹いっぱいという感じ。

*     天気は快晴。気持ちいいはずだけど、気分はいまいち。目指す中央リンネ取り付きが見つからないから。葉っぱの大きな草が一面に生えた急傾斜地を上に行ったり下に戻ったりしながら、取り付きを探す。確保支点はどこにもなく、1ピッチ目の4級トラバースらしき岩はない。「やばいとこに来ちまったなあ」。鉄人中本がマジな顔で独り言。ボロボロだが、何とか登れそうな壁を、鉄人中本が試登。ほぼノーピン。その上にはルートらしき岩はないとのことで、ブッシュを使って懸垂して取り付きに戻る。今度は市川が階段状になった80度ほどの壁を試登ことにする。結果的に、ここが右岩溝ルートの取り付きだった。

*     (1ピッチ目、市川、?+グレードはすべて体感)確保支点はないので、小さなエイリアンで取る。「落ちなきゃいいんだ」と、自分に言い聞かせながら登る。25メートルで、比較的新しいリングボルト1本発見。正規ルートと分かりちょっと安心。でも中央リンネなのか、別のルートなのか分からない。小リッジを左に越え、バンドにあった古いハーケン2本で確保。1本は効いていた。(2ピッチ目、中本、?+)右にトラバースするほうに、ハーケンが数本見える。その先にはチムニー状の巨大な岩の溝が見える。どうやら、右岩溝ルートを登ってるらしい。まあ、無事抜けられればどうでもいいやという気持ち。トラバースは、岩は硬いものの、ピンチホールドばかり。足の下は切れ落ちていて怖い。鉄人中本がキョン足などを使いながら華麗に越えていく。フォロー市川は、もちろんアブミで越える。体感5級。アングルとナイフブレードを打って、小さなエイリアンの計3つで確保する。(3ピッチ目、市川、?+)。簡単な草付きと堅いスラブ。40メートルでピンが取れたのは、小さめのロックス1つ。岩溝上部を押さえつけるように突っ立った岩で確保。残置ハーケン1本とエイリアン、トライカムでばっちり。(4ピッチ目、中本、?)岩溝右のスラブに出て行く。ピンは全くなし。草付きにアイアンクローをきめる場面が多くなる。アングル、ロストアローを打って確保。(5ピッチ目、市川、?)傾斜が急になる。将棋の駒型の岩を乗り越せない。木の枝をつかんで、右足をアングルに乗せて越えた。あとは垂直の木登り。木で支点を取れるのは安心だが、枝が邪魔で登りにくい。その上は、ノーピン、スタンスもないカンテ越え。カンテ手前で小さめのエイリアンを固め取りしてつっこむ。あー怖かった。(6ピッチ目、中本、?)草の生えた緩斜面。落ちたら助からないので、一応ロープを付けていく。(7ピッチ目、市川、?)明神縦走路まで。

*     ?峰頂上で大休止。うまくいけば、上高地からの最終バスに間に合うかも。「穂高岳の岩場」(白山書房)には「前明神沢からだと一時間(!)で上高地に降りられる」と書いてあり、一時間の誘惑に負けて前明神沢に降りる。でもこれが大間違い。上部は急傾斜で後ろ向きに降りる場面もしばしば、途中には滝が続き、懸垂を3ピッチ。中下部は倒木と藪との戦い。石も不安定でつまずいたり転んだりして、7月に甲斐駒で捻挫した左足をまた痛めてしまった。鉄人中本からかなり離される。途中で、真っ暗になり、ヘッドランプを付ける。結局最終バスにも乗り遅れ、気分は最悪。ヘロヘロになったころ、岳沢の縦走路に合流。無人の夜の上高地で大休止。あとは舗装道路を「居眠り歩行」しながら釜トンネルまで。ゲートの所で、松本に行くというホテル関係者らしき男性から声をかけられ、坂巻温泉まで乗せてくれた。

*     21時間半の長旅。怖い思いもたくさんしたし、下山でつらい思いもしたけれど、自分で登れそうなところを探し、支点を作って登るというクライミングの本来の楽しさを味わった気がする。出発が早く、時間がたくさんあったのが良かった。最初は午前5時に釜トンゲートが開いてから行こうか迷ったけど、5時スタートだったら敗退確実でした。快適なルートじゃないんで、あんまりお勧めできませんけど・・・。僕らも二度と行きませんしね。