千種アルパインクラブヘッダー
千種アルパインクラブ会員募集中
千種アルパインクラブ会の紹介
千種アルパインクラブ入会案内
千種アルパインクラブ山行記録
千種アルパインクラブCACブログ
千種アルパインクラブ年間行事
千種アルパインクラブ写真集
千種アルパインクラブリンク集

唐沢岳幕岩左方ルンゼ


日 時:2008年 1/14日〜15日
メンバー:瀧根(報告)、松尾、市川

夏にはとても登れないオーバーハング滝が、一旦青氷をまとえば自由に登れるというのは重力に逆らう人種にはたまらない…。そんなわけで松尾リーダー・市川・瀧根で通称唐幕、唐沢岳幕岩の左方ルンゼに行ってきました。

唐幕は僕の最も好きな岩場の一つで、七倉ダムのすぐ下から右岸・左岸と渡渉を繰り返して2〜3時間。そこには大町の宿と呼ばれる岩小屋があり、冬でも涸れない水が湧いていて至れり尽くせりだ!そこから見渡す幕岩は大変スケールのでかい岩壁で、登攀者を飽きさせない。

岩壁の高距はいずれも400m位あって、ルートは20本ほど拓かれている。いずれも技術と体力が問われるルートばかりだが、その向かって左端を流れるB沢をつめると左方ルンゼと出合う。

唐幕では少ないアルパインアイスルートだが、当然状況によって氷の難易度は変化する。

13日、大町の宿まで当然入るつもりだったが体調不良の松尾が「早く酒を飲もう」とくすぐる。いたってくすぐったがりやなので、しょうがない、唐沢の出合にテントを張ってしまった。それでも一応真面目にトレースをつけに出かけた。二人ともしぶしぶ?後をついてきている。

これまで何回こうしてラッセルをしてきた事だろう。沢には正月入った痕跡すら見えず、寂しいものだ。ラッセルしながらの渡渉で「ドボン」に気を遣いながら2時間位だろうか、金時の滝に出て引き返す。それぞれ持ってきた日本酒・しょうが焼酎(初めて飲んだ)・かぴたんが無くなってしまったので仕方なく寝る。

14日、4時に起床して5時過ぎ、ラテを点け出発。市川が先頭で引っ張ってくれる。8時過ぎB沢に入った。核心部F2の氷は悪かった。やや前傾になっていて、落ち口は氷じゃなく「雪」。氷は硬く割れ落ちる。僕のリードで左面から登り始めたがテンションレスでやっていて腕がパンプ。一旦下りてメンバーを交代するが、二人とも「こりゃ悪いわ〜」と下りてくる。体調が悪い松尾が「テントに帰って寝てる」と言い始めたが、突破できれば気分も違ってくるだろう。パンプも収まったので再度挑戦し、何とかセンターに回り込んだ。し、しかし!落ち口の雪は分かっていたがその下にあるはずの氷がない。「あー最後にもう一本スクリューをねじ込んでおくんだったぁ」(もう遅い)おそるおそる・だましだまし、緊張で喉がからからになっているのも忘れる。こんな無心の時もたまには悪くない。元気になった松尾がニコニコ登ってきた。あとは部分的に垂直になるいくつかの滝を超えラッセルをしていくと七倉ダムもはるか下に小さくなり、傾斜も緩む。市川は敢えて難しいところを選んで最後のF6を登ってきた。左へいくつかの尾根の弱点を越し、急な疎林帯を下降すると取り付きのB沢に戻る事ができる。(但し雪の状態が良くないと危険だし、慣れてないメンバーがいたらロープが必要)

15時取り付きに戻ってテルモスを空にし、ガチャ分けをした。17時テント着。撤収しラテも点けず葛温泉まで歩く。19時着。

もう15年ほど前の事だが、松尾との唐幕・冬壁の帰りに10歳は上のパーティとすれ違った。その時「我々も10年後に現役でやっていて若いパーティとすれ違うかもな」と話し合った事を思い出す。以来毎冬のように通う唐幕だが、誰にも会わない事が多くなった。

おじさんは一人つぶやく。「こんなに面白くて葛温泉のオマケまであるのに皆、何やってるんだろ」
大町の宿で夫婦で正月を迎えたりしているロマンあふれる初登者の一人、尊敬する山森さんや足繁く通った大町山の会の柳沢さんなどは、この誰もいない唐幕を誰より寂しく思っている事だろう。

葛温泉は最も好きな温泉の一つで湯量も豊富、勿論掛け流し。大町温泉の源泉です。