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■9・11〜欺かれた世界、日本の活路

2007.11.23初稿/2015.8.15一部修正

 

<目次>

はじめに

第1章 9・11は謎が多すぎる

第2章 疑問だらけの同時多発テロ事件

(1)ワールド・トレード・センター崩壊は爆破による解体か

(2)ペンタゴンに激突したのは、757ではありえない

(3)ペンシルバニアの飛行機は撃墜されたのではないか

(4)四機に共通する疑問がある

(5)犯人は本当にテロリストなのか

第3章 アメリカ政府中枢の関与を示す事実がある

(1)アメリカ国民の相当数が政府の公式発表を疑っている

(2)政府は調査委員会の調査を妨害した

(3)アメリカ政府中枢は、事件を前もって知っていた

(4)チェイニーはペンタゴンを攻撃させ、ペンシルバニアでは撃墜を命じた

(5)「21世紀の真珠湾」が待望されていた

(6)FBIは捜査官の捜査を妨害した

(7)CIAとISI、そしてオサマとの濃厚な関係

第4章 関与したとすれば、目的は何か

(1)石油・天然ガスの確保

(2)アメリカ=イスラエル連合の安全保障を強化

(3)戦争による特需の創出

(4)ドル基軸通貨体制の維持

(5)麻薬利権の取り戻し

(6)宇宙空間の軍事化による地球支配

第5章 9・11以後、世界は変わった

(1)冷戦以後と9・11

(2)ハンチントン『文明の衝突』の予測

(3)アメリカ政府が9・11に関与していたなら

第6章 文明の衝突における日本文明の役割

(1)セム系一神教文明群の中の対立

(2)日本文明の果たすべき役割

(3)平和と環境を守る国としての活路

結びに〜わが国は共存共栄の道を

 

ber117

 

はじめに

 

 9・11のアメリカ同時多発テロ事件から、6年たった。9・11は、世界を変えた。この事件の後、アメリカはアフガンニスタンに侵攻し、イラク戦争を始めた。その結果、生み出された文明の対立の構図は、21世紀の世界を長く支配することになるだろう。

 平成13年(2001)9月11日、同時多発テロ事件のニュースを見たとき、私にはいくつもの疑問がわいた。アメリカでは、政府発表の矛盾や不合理を指摘する声が、多数上がった。この事件に疑問を抱く人々は増え続けている。私もその一人である。

事件の真相は、依然として解明されていない。今日、わが国は、テロとの戦いやイラク戦争の関係で、集団的自衛権やテロ特措法の問題に直面している。それらの検討は、9・11の考察を抜きには、なしえない。9・11の真相と、9・11以後の世界と、日本のあり方について考えてみたい。

 

 

第1章 9・11は、謎が多すぎる

 

●9・11直後の感想

 

 私が9・11の事件直後に感じた疑問は、次ぎのようなものだった。

 

@ワールド・トレード・センター(WTC)への飛行機2機の突撃と倒壊

 なぜアメリカ政府は、飛行機を撃ち落さなかったのか。

 飛行機がぶつかったくらいで、ビルが倒壊するか。せいぜい一部破損したり、変形したりするくらいだろう。

 墜落事故のニュースは多く見たが、これほどの火災や爆発は見たことがない。機内に爆弾を持ち込んだのか。仮に持ち込んでも、小型の爆弾ではこれほどの破壊力はない。それに、航空機会社に組織的な協力がないとできないだろう。

 なぜ第7ビルまで倒壊したのか。飛行機はぶつかっていないし、火災も起こっていない。突然倒壊したのは、異常である。

 

A国防総省(ペンタゴン)ビルへの飛行機の突撃と破損

 WTCなら一般のビルゆえまだしも、国家安全保障の中枢施設であるペンタゴンをめざす飛行機を、アメリカ空軍が見逃すなど、ありえない。乗客が乗っていようがいまいが、撃ち落すだろう。ミサイルで簡単に出来る。

 WTCは突撃されてしまっても、その後は、厳戒態勢下を取れたはずだ。

 

Bペンシルベニアでの飛行機の墜落

 乗客がテロリストに抵抗した末、飛行機が墜落したというが、なぜ多量の残骸が残っていないのか。乗客の検死や身元確認は、どうしたのか。

 

C4機に共通する疑問

 なぜブラックボックスが出てこないのか。必ず残るはずだし、録音を再生して、徹底的に世界に報道して対抗行動を呼びかけるべきだろう。

 犠牲者の発表も、不自然だ。テロリストが乗っ取ったという4機に、本当に多数の一般客が乗っていたのか。

 

 事件直後に、私が抱いた疑問は、概ね以上のようなものだった。同時多発テロ事件は、2973名の犠牲者を出した。80を超える国の人々が亡くなった。日本人は24名が犠牲になった。

その後、6年が経過した。この間事件に関するさまざまな証言や告発、推理や仮説が出ている。しかし、アメリカでは、政府も議会もマスメディアも、事件の解明に積極的ではない。事件は、多くの謎に覆われている。そして、真相不明のまま、9・11は世界と日本のあり方に深い影響を与え続けている。

 

●9・11以後に生まれた文明の対立構造

 

9・11以後、アメリカは、同時多発テロ事件を計画・実行したとして、アルカーイダの指導者オサマ・ビンラディンを主犯に名指した。ブッシュ大統領(子)は、テロリズムとの戦争を唱え、国民に支持・協力を呼びかけた。報復に沸騰する世論を後押しにして、アメリカは、アフガニスタンに進攻した。アメリカは、ビンラディンを保護するイスラム教原理主義勢力タリバンを排除するため、イギリス等とともに、平成13年(2001)10月7日、空爆を開始した。

ブッシュ政権は、この戦争は従来のような国家と国家の戦争ではなく、テロリスト集団と国家が戦うという新しい戦争だとした。この規定は、従来の戦争の概念を変えた。連合軍は圧倒的な優勢のうちに作戦を進め、12月には戦争終結にいたった。反米的なタリバン政権に替わって、親米的な政権が樹立された。

次にアメリカは、平成15年(2003)3月19日、イラクに対し、イギリスなどと共に空爆を開始した。湾岸戦争(1990)以来のイラク攻撃であり、第2次イラク戦争とも言われる。ブッシュ大統領は、開戦理由を三つ挙げた。@イラクは大量破壊兵器を保有し続け、その事実を否定し、国連の武器査察団に全面的な協力を行わない。そのことに対する武力制裁のため、Aイラクの一般市民をサッダーム・フセイン大統領の圧政から解放するため、Bテロリストに対する支援国であるイラクを民主的な国に変えるため、という三つである。

ブッシュ大統領は、自衛権の行使としてイラクへの先制攻撃を行なった。これは、先制攻撃に関する新しい解釈に基く攻撃だった。

わが国に続いて、多くの国々が、アメリカを支持して参戦した。NATOははじめて集団的自衛権の行使として参戦した。戦争は短期間に決着を見て、アメリカ側はフセイン大統領を逮捕し、世界の耳目にさらした。そして、勝利宣言を行った。

 開戦理由の第一は、イラクの大量破壊兵器保有だった。ところが、アメリカが派遣した調査団は、平成16年(2004)10月、「イラクに大量破壊兵器は存在しない」という最終報告を提出した。大量破壊兵器を保有しているというCIAの情報は、誤っていたことが明らかになった。それによって、この戦争の正当性は、根底から大きく揺らいだ。

 ブッシュ政権は、誤情報を鵜呑みにしたのか。それとも、核兵器・生物兵器・化学兵器は存在しないことはわかっていて、戦争を始めたのか。真相は明らかではない。アメリカの議会も、国連安保理も、この点を徹底的に追及しようとはしていない。

 イラク戦争の大義は、失われた。それにより、9・11同時多発テロ事件に関する疑問が、アメリカ国民の間に、広がった。わが国においても、この事件を疑う人が増えた。

 

  アルカーイダの単独犯行? それともアメリカ政府中枢が関与?

 

 9・11に関する通説は、この事件は、オサマ・ビンラディンを指導者とするイスラム教原理主義組織アルカーイダが行なったテロで、旅客機をハイジャックし、乗客もろともアメリカの重要建造物に突撃・破壊した事件であり、その方法はアメリカ政府の予想できないものだったというものである。通説とは、ブッシュ政権が出している公式見解であり、それをもとにつくられた説である。

 しかし、私が当初抱いた疑問を挙げたように、WTCのビル倒壊、ペンタゴンへの飛行機の突撃、ペンシルバニアでの飛行機の墜落、どれをとっても不審な点が多すぎる。

 

 通説は、アルカーイダによる単独犯行であり、アメリカは、政府も諜報機関も、一切事前には情報を得ていなかったというものである。これを疑う説がいろいろ出ている。

私の分類では、第一は、黙認利用説である。これは、事件はアルカーイダの単独犯行だが、ブッシュ政権はテロを予め知っていた。攻撃するのを黙認して、中東への侵攻に利用したとする説である。

第二は、利用加担説である。アメリカ政府はテロ攻撃を単に黙認して利用しただけではなく、事前に攻撃計画の情報を得て、テロリストには知られないように秘密裏に攻撃に加担し、より衝撃的、より効果的になるよう利用したとする説である。

第三は、政府共犯説である。これは、アメリカ政府は、秘密裏に加担したのではなく、オサマ・ビンラディンとアメリカ政府中枢が共同謀議をして、事件を起こしたという説である。

第四は、自作自演説である。アメリカ政府中枢が自らシナリオを書き、テロリストによる攻撃と見せかけて実行し、これをテロ事件だとマスメディアを用いて宣伝したという説である。

 黙認利用説は、アメリカ政府中枢が直接攻撃に関ったとは見ない。これに対し、利用加担説、政府共犯説、自作自演説は、政府中枢が何らかの形で攻撃に関ったという見方である。政府の関与を推測するのは、奇説と言えば奇説だが、アメリカでは、事件後、早くから政府の関与を疑う見方が出た。

陰謀というといかにも陰謀くさいが、日本語の陰謀と、米英法に言う共同謀議は、ともにconspiracy(コンスピラシー)の訳語である。

 

 わが国では、アメリカ政府の関与を推測する見方は、陰謀論の類や極少数派の意見と思っている人が多い。ところが、平成18年に行なわれたCNNの全世界規模の世論調査では、「9・11はアメリカ政府による自作自演だと思うか」という質問に対して、75%がイエスと答えた。そしてアメリカ政府の説明を信じる人は、世界中でたったの12.7%しかいなかった。その後行われたCNNの別の世論調査では、5万3000人のうち、83%が「アメリカ政府は嘘をついていると思う」と答えた。トロントスターの調査ではカナダ人の63%、ゾグビー・インターナショナルの調査ではニューヨーク市民の49%が、自作自演説を支持した。

 

 アメリカでは、9・11を真珠湾攻撃にたとえる表現が多く使われている。このたとえは、注意を要する。真珠湾攻撃の場合、ルーズベルト大統領は、日本軍の攻撃を事前に知っていて、ハワイを攻撃させ、それをきっかけに国民を報復戦争に駆り立てた。この場合、アメリカを攻撃したのは、外国である。これは、9・11で言えば、黙認利用説にあたる。これに対し、政府の関与を推測する利用加担説、政府共犯説、自作自演説は、政府が外国勢力によるものと見せかけて、自国民や在米の外国人を無差別攻撃し、それに対して報復を呼びかけ、自国民や他国民を戦争に引き込んだ可能性を提示する。もしそれが事実であれば、9・11は歴史上、類例のない巨大な権力犯罪となるだろう。

 

●真相がわかるには時間がかかる

 

 現代史の真相が見えてくるには、時間がかかる。政府の機密文書の公開には、数十年を要し、非公開のまま隠匿されることもあるからだ。

 

 20世紀の世界で最も大きな影響をもたらしたのは、共産主義である。私が10代後半から20代の初めころは、共産主義が世界を席巻し、世界の共産化が間近に迫っているかの感があった。その後、ソ連・東欧の共産主義政権は崩壊し、共産主義は大きく後退した。しかし、今も総括のされていないことがある。

 ロシア革命の際、英米独の巨大資本は、レーニンやトロツキーを保護し、多額の活動資金を与えていた。ボルシェビキは、欧米の金融独占資本に石油を提供して体制を維持した。共産主義を批判する学者ですら、こういう事実の意味を考究しない。

 

 昭和戦前期のわが国の歴史でも、張作霖爆殺事件、盧溝橋事件等、通説では説明のできないことがいろいろある。ようやく旧ソ連の諜報機関の機密文書が一部公開され、歴史の闇が少しのぞけるようになった。

 ユン・チアンとジョン・ハリディの共著『マオーー誰も知らなかった毛沢東』(講談社)が、わが国でも大きく話題を呼んだ。中西輝政京都大学教授は、ミトローヒン文書、ヴェノナ文書など、各国の諜報活動に関する文書を分析して、現代史の書き換えに取り組んでいる。全体像が見えてくるのは、まだまだ時間がかかりそうだ。

 

 私自身が生きてきた時代のことであれば、J・F・ケネディ大統領の暗殺事件(昭和38年、1963)がある。事件は、私が9歳の時だった。その衝撃は、今も忘れない。

 この事件は、依然として真相が解明されていない。アメリカ議会の調査委員会が発表したのは、オズワルドの単独犯行説だった。これは、子供だましである。何も説明できていない。ケネディの暗殺は、アメリカだけでなく、その後の世界の動向に重要な影響を残している。暗殺の首謀者にはいろいろな説があるが、事実はどうなのか、21世紀の今日も、はっきりしていない。

 

 これらだけではなく、現代史の重要な歴史的事象の多くが、まだよくわかっていない。まして今現在の世界の出来事は、すぐ真相が明らかにならない。

 新聞やテレビは、一定の事実を伝えはするが、表面をなぞるだけで、かえって、大衆を定型的な見方に誘導し、真実への関心を覆い隠す役割をしさえする。今日世界で起こっている出来事には、何十年も先にならないと実態が見えてこないものがある。私たちの生きている世界は、そういう世界だ。9・11アメリカ同時多発テロ事件についても、真相がわかるには、相当時間がかかるだろう。

 

●わが国でもアメリカ政府の関与を推測する議論が広がる

 

アメリカ政府の関与を推測する見方は、わが国でも、一部のジャーナリストや情報通には知られていたが、有象無象の陰謀論の類と見なされ、一般にはほとんど相手にされなかった。しかし、平成16年(2004)10月、「イラクに大量破壊兵器は存在しない」という公式発表以後、わが国でも政府の関与を疑う見方は、単なる陰謀論ではなく、仮説として認知されるようになった。

 

 今年(平成19年)に入ってベンジャミン・フルフォードの本が2冊、わが国で刊行された。フルフォードは、元『フォーブス』誌アジア太平洋支局長で、最近日本国籍を取ったジャーナリスト。書名は、『暴かれた9.11疑惑の真相』と『暴かれた闇の支配者の正体』である。

 発行者は、いずれも扶桑社である。扶桑社は、産経新聞社の系列の出版社である。わが国では、9・11の通説を疑う本は、徳間書房・成申書房・三交社・社会評論社等、陰謀論の本を多く出したり、新左翼系の本を出している出版社のものが目立っていた。これに比し、全国紙の系列の出版社から通説に反論する本が出たことの意義は大きい。

 フルフォードは、事件について、広く情報を集め、詳細な検討を行っている。各界の専門家や目撃者が、さまざまな立場から、この事件について見解と証言を述べていること。多くの科学者が、アメリカ政府に真相の解明を求めて運動していること。アメリカ国民の半数以上が、この事件に関する政府の説明に疑問を持っていることなどが記載されている。何より、付録のDVDの映像は、さまざまな映像情報のエッセンスをまとめており、説得力がある。

 フルフォードは、通説には、あまりにも多くの疑問点や矛盾点があり、アメリカ政府は、その疑問にほとんどまったくと言っていいほど答えていないという。そして、自作自演説を唱えている。自作自演説の本が、全国紙の系列の出版社から出たことは、通説を疑う論議が、一般的な社会問題、国際問題の論議とみなされる段階に入ったことを意味すると私は思う。

 続いて、9月には、デヴィッド・レイ・グリフィン(クレアモント大学院名誉教授)の『9・11事件は謀略か 「21世紀の真珠湾攻撃」とブッシュ政権』(緑風出版)の翻訳版が刊行された。原書は、平成17年(2005)に発行されたもので、9・11に関する最高水準の本として国際的に評価が高い。本書には、国際法・国際政治の専門家リチャード・フォーク(プリンストン大学名誉教授、カリフォルニア大学サンタバーバラ校客員教授)が序文を寄せている。フォークは、「グリフィンのアプローチは冷静であり、彼の議論は一貫してよく考え抜かれ、彼の分析を否定しがたいほど説得力のあるものにしている」と述べ、政府に再調査を要求するグリフィンを支持している。
 グリフィンの著書は、政府の公式発表に対する反対論を整理して、集大成したものである。いわゆる陰謀論の類とは異なる本格的な研究書である。グリフィンは、政府の関与を強く疑い、政府共犯の「決定的証拠」とする事柄を列挙している。今後、国際政治学の専門家は、グリフィンの著書に対し、自説自論を開陳することを迫られることになるだろう。もしそれがなされなければ、アメリカにおける学問の自由や真理探究の自由は、後退していくだろう。

 さらに、本年(平成19年)10月15日には、日本テレビが『世界まる見え!テレビ特捜部』という番組で、9・11について放送した。ビートたけし、所ジョージらがレギュラーで出演し、楠田枝理子が司会をする人気番組である。
 放送では「911 MYSTERIES」という映像作品を20分ほどに編集して流した。いわゆる陰謀論として、揶揄(やゆ)するために流したのではない。元の映像作品は、世界的に有名なもので、グリフィンは「素晴らしい。9・11の映像のうちのベストだ」と言い、スティーブン・ジョーンズ(元プリガム・ヤング大学教授)も「崩壊と9・11に実際に何が起こったかについての偉大な洞察だ」と賞賛している。日テレによる編集版では、専門家たちがアメリカ政府の見解を疑い、WTCの崩壊は爆破解体によるものだという仮説を述べる。爆発音を聞いた、鋼鉄が溶解して流れているのを見たと消防士たちが証言する。また、第7ビルが崩壊する23分前に、BBC第7ビル崩壊したと中継放送している映像も流れた。
 わが国の全国局が、ゴールデンタイムに9・11の真相に迫る番組を放送したことは、画期的なことである。それまでにも、平成16年(2004)9月11日にテレビ朝日が、9・11について取り上げるなどしていたが、今回の日本テレビの番組は、9・11に関する疑いを大衆的なものにしたと言えよう。

 

●ラムズフェルドの奇妙な言動

 

 これから、9・11の謎を検討していきたいと思うが、最初に私が最も注目していることを挙げておこう。

9・11の時点の国防長官だったラムズフェルドは、長官当時、奇妙な言動を繰り返している。

 ラムズフェルドは、ワールド・トレード・センターの第1ビルに最初の航空機が激突する2分前に、テロ攻撃が起こることを述べた(『ファイヤットビル・オブザーバー』)。その後、ペンタゴンへの激突の数分前にもそれを予告している(『デイリー・テレグラフ』)」。事件の翌月、平成13年(2001)10月には、ペンタゴンの事件について、「この建物に被害を与えたミサイル」と語った(『パレード・マガジン』)。また、平成16年(2004)12月、イラクを訪れたラムズフェルドは、スピーチで「ペンシルバニア上空で航空機を撃ち落とした」と言った(CNN)。

 国防長官、わが国で言えば防衛大臣は、軍事に関する責任者である。安全保障に関する国家機密に通じている者が、事件が起こることを予告したり、事件の原因らしきことについて、口を滑らせたりしているのである。

これら三つの発言を整理すると、以下のようになる。

 

@ラムズフェルド国防長官は、ワールド・トレード・センターとペンタゴンに、航空機が激突することを、前もって知っていた。

Aペンタゴンに被害を与えたのは、旅客機ではなく、ミサイルである。

Bペンシルバニアで墜落したとされる航空機は、米軍によって撃ち落された。

 

 私は、ここに真実が露呈しているのだろうと思っている。もしそうでなければ、アメリカ国民は、マスメディアの前で妄想を口走るような人間に、自国の安全保障を委ねていたことになる。

第2章では、9・11について、特に注目すべき疑問点を指摘したい。結論を先に述べておくと、私は、9・11について通説はまったく認められない。アルカーイダの単独犯行ではありえない。また、単なる黙認利用ではない。アメリカ政府が何らかの関与をしている。利用加担、自作自演も考えられるが、政府共犯の可能性が最も高い。ただし、断定するには、まだ決め手を欠く。徹底的な再調査をし、アメリカ政府の情報開示と政府中枢の証言を得ることが必要だというのが、現時点での私の意見である。

アメリカ政府が関与したことを示す事実については、第3章で提示したい。関与したとすれば、その目的は何か。この点は、第4章で論じたい。そして、第5章以下では、9・11以後の世界と、その中での日本のあり方について、述べたい。

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第2章 疑問だらけの同時多発テロ事件

 

(1)ワールド・トレード・センター崩壊は爆破による解体か

 

  通説は物理学の法則に反している

 

 通説は、ワールド・トレード・センター(WTC)の3つのビルは、航空機の衝突とそれに伴う火災が原因で崩壊したとする。これはまったく説得力がない。物理学の法則に反しており、子供だましである。

 

@飛行機の機体は溶解しない

 

 WTCのツインタワーには、2機の航空機が激突したとされる。1機目のアメリカン航空11便は、ボーイング767−200。乗客81名、乗員11名を乗せて、ボストンを午前7時54分に出発。テロリストにハイジャックされて、午前8時46分にツインタワーの第1ビル(ノースタワー、北棟)に突入したという。

 2機目のユナイテッド航空175便も、ボーイング767−200。乗客56名、乗員9名を乗せて、ボストンを午前8時14分に出発。これもハイジャックされ、午前9時3分に第2ビル(サウスタワー、南棟)に突入したとされる。

 1機目が既に第1ビルに突撃し、 全世界が注視している中、2機目が第2ビルに突撃したため、テレビでその瞬間が中継された。飛行物体はユナイテッド航空175便だと言われているが、記録映像で見ると、機体は黒く、窓が見当たらない。機体の腹には、黒い物体が見える。形状は、旅客機ではない。本体は軍用機、黒い物体は爆弾ではないか、という疑問がわく。

 ツインタワーに激突した2機は、ともに炎上し、機体は高熱のため焼失し、残骸は何も残っていないと発表されている。しかし、これは、絶対にあり得ない。航空機は、事故で炎上しても、機体のアルミニウム特殊合金は溶解しない。また、飛行機事故では、わずかな破片でも見つかれば、記してある機体番号(シリアルナンバー)で機名などが分かる。ところが、アメリカ政府は、これら2機の部品は、何一つ発見されていないという。最も強固なエンジンの部分すら見つからないなどとは、考えられない。

 

A航空機会社が共謀しているのでは

 

 アメリカ政府は、ツインタワー倒壊後、驚くべき速さで瓦礫を運び出し、廃棄処分にしてしまった。普通は慎重に現場検証をし、収集物を徹底的に調査・分析するだろう。アメリカ政府は、それをせず機体が溶けただの、部品も見つからないだの、エンジンすらないだのという。これは、飛行物体が何であったのか知られないように、完全に破片まで収集して隠したのである。

 もし本当にボーイング767だとするなら、アメリカ政府は残骸を示し、部品やエンジンを公開して、テロリストによる残忍な犯行だと強調するだろう。それをしないのは、飛行物体は、ボーイング767ではなかったからだろう。別の飛行物体が2機、WTCを攻撃した。自国民には、それを旅客機であると思わせることに、アメリカン航空・ユナイテッド航空の幹部も同意していたはずである。そうでなければ、航空機会社は政府に抗議をするだろう。私は、このように考える。

 

Bパスポートだけ残ることは不可能

 

 飛行機の部品は全て火災で溶解したと政府は言う。それなのに、テロリストたちのパスポートが、瓦礫の中から判別可能な状態で発見されたという。それが実行犯特定の決め手となったと発表した。これは、物理的に不可能なことである。溶けるはずのないエンジンすら溶けたというのに、紙でできたパスポートが残るなどありえない。アメリカ政府は、こんなことすらわかるまいと自国民を蔑視しているのだろう。

 

Cジェット燃料ではビルの鋼材は溶解しない

 

 アメリカ政府の説明では、飛行機が溶解するほどの高熱でビルが燃え、鉄骨が溶けて、上層階の重みに耐えられなくなって、ビル全体が倒壊したという。しかし、ジェット燃料による火災では、ビルは崩壊しない、とWTCの鋼材を認証した安全試験機関「アンダーライターズ・ラボラトリーズ」の研究所長ケビン・ライアンは言っている。ビルの鋼鉄の融点は、摂氏1649度。ジェット機の燃料では、どんな条件であっても1000度を越すことはない。ジェット燃料は灯油に近いもので、石油ストーブを焚いても、ストーブは溶けないように、ジェット燃料の火災では、鋼材が溶解することは、物理的に絶対ありえないのである。

 ビルの鉄骨が溶けて流れ落ちている状態を撮った映像がある。専門家は、高熱を発生する特殊な爆薬が使われない限り、そのような高熱を発することはないという。真相の解明には、溶解した鋼材の分析が必要である。しかし、鋼材の残骸は、冶金研究所で調査されることなく、すぐさま廃品置場に運ばれた。これは、証拠隠しとしか考えられない。

 犠牲者の多くはただ圧死したのではなく、気化してしまった。ジェット燃料による火災は温度が低く、短時間で消える。ところが、倒壊したセンターの瓦礫は不断の消火活動にもかかわらず、90日以上燃え続けた。ジェット燃料だけではなく、別に特殊な物質が使われたと考えるのが、合理的である。

 

D火災ではビルは崩壊しない

 

WTCの三つのビルは、歴史上初めて、火災ゆえに崩壊したとされている。特に第2ビル(南棟)と第7ビルでは限局された火災であったにもかかわらず、そのような説明がされている。

もしビルが火災によって崩壊したという前例のないことが起こったとすれば、後で激突されて火災の規模も小さかった第2ビルのほうが先に崩壊するのはおかしい。それにもかかわらず、第2ビルが先に崩壊したという主張がされている。まして、第7ビルは、わずか二箇所に小規模な火災があったに過ぎない。それが突然中折れして崩壊した。

絶対に火災による崩壊ということは、ありえない。

E爆破以外にはありえない現象

 

 ビル崩壊の仕組みを説明するものに、パンケーキ現象がある。重みや歪みによって、上の階が下の階へ落下し、次々に各階が順に押し潰されるようにして崩壊するという現象である。

 アメリカ政府は、WTCのツインタワーの倒壊は、このパンケーキ現象によるとする。しかし、パンケーキ現象による崩壊なら、鉄骨が残っているはずなのに、鉄骨は原形をとどめないほど粉砕されている。それに、政府は、火災によって鉄骨が溶解して、ビルが倒壊したという。パンケーキ現象は、そもそも火災とは関係ない。また、近代的な高層ビルで火災が原因で崩壊した前例はない。それゆえ、WTCビルの崩壊は、パンケーキ現象ではありえない。

 また、パンケーキ現象であれば、各階の落下速度は、空気抵抗のため、自由落下の速度を越えることがない。ところが、崩壊時の映像記録を分析した専門家は、崩壊速度は真空での自由落下速度に匹敵するという。自由落下速度を生み出すのは、爆破による場合のみである。

 ビルの鉄骨は、パンケーキ現象では粉砕されないが、爆破であれば粉砕される。爆薬には、高熱を発生して、鉄骨が溶解するものがある。生き残った人たちの証言にも、爆発音を聞いたと語るものが多くある。WTCの倒壊は、爆破という方法以外には考えられないのである。

 しかも、コロンビア大学の地震研究所の地震計は、第1ビルの倒壊時も、第2ビルの倒壊時も、建物の残骸が地上に落下するより前の時点で、最大値を記録している。落下以上の衝撃が、それ以前にあったわけである。その衝撃は、飛行機の激突の時点ではない。激突と落下の間に、大規模な爆発が地面近くで起こったと推測される。

 

F制御解体だった証拠がある

 

WTCの三つのビルは、計画的に爆破されたと考えることができる。高層ビルの解体には、制御解体という方法が使われる。制御解体を行う業者は、ビルの鉄骨が解体後、ちょうどトラックに詰める長さになるように爆破する技術を持っている。WTCの三つのビルの崩壊では、制御解体をしたときと同じように、鋼鉄の梁と柱のほとんどが、長さ30フィートを超えない断片に切断されていた。そのため運搬処理用の機械に容易に積み込むことができた、と専門業者が証言している。このことは、パンケーキ現象では、絶対に説明がつかない。
 WTCの瓦礫の片づけを行ったのは、コントロールド・デモリッション社。すなわち、制御解体社という社名の会社である。その社のDREXSTMシステムは、鋼鉄の材料を使用機械の吊り上げ能力に適合するように裁断できるという。この社のような技術を持つ業者に制御解体を発注すれば、WTCはきれいに解体され、瓦礫も短時間で片付けられるわけである。
 WTCのビルは制御解体によって破壊された。そう考えられる根拠のひとつに、ビル崩壊によって、多量の粉塵や粉末を生じたことがある。ビルの幅のほぼ3倍になる粉塵の雲が起こり、マンハッタンを粉塵の雲が覆った。あのマンハッタンの高層ビル街に広がった雲は、パンケーキ現象では、説明できない。粉末を分析すると、主に石膏とコンクリートから成っていた。コンクリート板は、落下して地表に激突しても粉末にならない。粉末になるのは、そのようにできる爆薬を使用したときのみである。

G爆発は起こっていた

 

 WTCが突然爆発する様子をとらえたFOX5ニュースの映像がある。その映像は、9月11日午前10時に途切れ、数秒後に、白煙がもうもうとタワーの地下から立ち上っているところを映し出した。キャスターは、「ビルの地下で爆発がありました。‥‥地下から白煙が上がっています。‥‥また、爆発が起こりました! もう一つのタワーが爆発しました!」と叫んだ。

 CNNテレビも、二つのタワーがまだ倒壊していない時点で、一方のタワーから巨大な煙の柱が立ち上る様子をはっきりととらえた映像を放映している。

 倒壊を記録した映像をスローモーションで見ると、飛行機が激突した場所より下の階で、爆発を思わせる閃光が何ヶ所も見られる。まだ上の階が崩れて下の階を押しつぶしていない。それなのに、下の階で爆発らしきことが起こっている。鉄骨が粉々にちぎれて、激しく飛び散っている。

 これらは、飛行機の激突とは、まったく関係のない、別の原因による現象と考えられる。その現象とは、事前にビルに仕掛けられた爆薬の爆発によると考えられる。

 

H爆薬の痕跡が発見された

 

 WTCの倒壊現場で、爆薬の痕跡と思われる物質の反応が出たという。元プリガム・ヤング大学のスティーブン・ジョーンズ博士によると、その物質は、テルミット爆弾を使用したときに残るアルミニウムや硫黄である。通常のビルの倒壊では、絶対ありえないものが発見されたのである。私は、これは、WTC倒壊に関する決定的なポイントの一つだと思う。

 テルミット爆弾は、ビル解体に使われる爆薬と違い、短時間に約3000度という高熱を発する。その温度であれば、ビルの鋼材も溶解する。

 つまり、WTCには、事件前にテルミット爆弾が仕掛けられ、飛行機の激突の後に爆発するようにセットしてあった。爆弾は、ビルの各所に設置されて、時限装置がセットされていた。飛行機の激突とビルの各階の倒壊の時間を、完璧に計算・統御することはできないため、上の階が崩れて下の階を押しつぶす前に、下の階でフライング爆発が起こってしまった。このように考えるのが、整合的だと思う。

 

I第7ビルの倒壊は、爆破による解体に違いない

 

 私がもう一つ決定的なポイントだと思うのは、第7ビルの倒壊である。第7ビルは、飛行機の激突も大規模な火災もなかった。それが、突如倒壊した。周りのビルは無事だった。こうした倒壊は、ビルの構造的な欠陥によるのでなければ、建築物の解体技術に基づく爆破による以外に、見られない。逆に言うと、ビル解体の方法であれば、ありふれた光景だったとも言える。

 第7ビルには、CIA、FBI、ニューヨーク市災害対策室等が入っていた。このビルでは、被害者は出ていない。事件の3日前から、「警備の都合」により、ビルで働く人々はすべて退去させられていたという。この3日間の間に、専門技術者がビル解体用の爆発物をセットしたのではないかと考えられる。第7ビルには、9・11の指令塔があって、証拠隠滅のためにビルごと破壊されたという疑いもある。

 第7ビルは、飛行機が激突せず、火災も起きずに倒壊した。それが、爆破による解体だとすれば、第1ビルも第2ビルも、同じ仕方で計画的に破壊されたという推理が成り立つ。

 

これに関連することだが、ジュリアーニ市長は、ABCニュースのピーター・ジェニングスに対し、次のように語った。彼は、9・11の朝、WTC第7ビルの緊急指令センターにいたとき、「WTCがこれから崩壊するので」ビルから人々を退避すべきだと言われた、と。これは、最初に崩壊した第2ビルが崩壊する前のことである。第2ビルが崩壊するまで、鋼鉄構造の高層ビルが火災によって崩壊した例はない。誰がそういう前例のないビル崩壊を前もって知り、ジュリアーニ市長に伝えたのか。市長は、そのことを証言していない。
 

J爆破計画にビルのオーナーが同意か

 

 秘密裏にビルに爆薬を仕掛けて解体することは、外国人テロリストには無理である。作業中に見つかってしまう。ハイジャックより難しいだろう。爆薬のセットは、ビルの管理者が承知のうえの作業と考えられる。しかし、解体がビルのオーナーに損害を与えるものであれば、後で大問題になる。あれだけの超高層ビルを失うならば、莫大な損害だろう。仮に政府による策謀が疑われれば、オーナーは徹底的に真相を追究し、政府を相手に戦うだろう。

事件が起こったとき、WTCの所有者は、ラリー・シルバースタイン氏だった。シルバースタイン氏は、9・11の当日、第7ビルには飛行物体が激突せず、また2箇所小規模な火災が発生していたにすぎないにもかかわらず、ビルを pullすることを決断した。この場合、pull は専門用語で、ビルを解体することを言うと解釈される。自動車ではないのだから、単に引くという意味ではありえない。爆破による解体は、急にできるものではない。火災が発生したからといって、それから爆薬をセットしに行ってできるものではない。事前に専門業者が時間をかけて爆薬をセットしなければ、不可能なことである。ビルの所有者として、シルバースタイン氏は、ビルの解体を事前に指示していたか、承認していたに違いない。
 加えて奇妙なことに、消防署員が事前に第7ビルが崩壊することを知っていた。消防士に、ビルが崩壊するから退避するように、という命令が出されていた。9・11まで火災によってビルが崩壊した前例はない。それにもかかわらず、消防士に退避命令を出すという判断は、尋常ではない。第7ビルが計画的に制御解体の手法によって解体されたという仮説を裏付ける事実のひとつである。

 

実は、シルバースタイン氏は、事件のわずか6週間前にWTCのすべてのビルのリース権を得ていた。そして、多額のテロ保険金をかけていた。氏は、ビルの倒壊によって、保険会社から46億ドル(約3680億円)もの保険金を受け取った。事件の当日、氏は、事前に病院の予約があったということで、ビル内にいなかったという。

 よほど運のいい人間か、それともすべて承知の上で、政府と軍等の中枢と共謀していたのか。疑惑が上がっている。

 

●WTC倒壊前の不可解なBBCの放送

 

 WTC倒壊に関する主な疑問を書いたが、そこで強調したように、第7ビルの倒壊は、事件全体で際立っている。第7ビルは、飛行機の激突も火災もなかった。それが、突如倒壊した。当初からこのことへの疑問が多く出ている。WTCの三つのビルの倒壊のうち、最も物理的にありえない事態である。第7ビル倒壊の原因を解明できれば、WTCの倒壊ひいては9・11全体の真相が浮かび上がってくるだろう。その点で気になることを補っておきたい。

 

 イギリスのBBCテレビが、9・11の検証番組を製作して放送した。内容は、陰謀論を否定するものだった。ところが、過去のBBCの放送記録を調べた人たちが、不可解な映像を発見した。

 

 問題の映像は、BBCニューヨーク支局の女性記者による中継映像である。第7ビルは、平成13年(2001)9月11日の午後5時20分ころに倒壊した。ところが、その10分以上前から、現地の女性記者が、「たった今、ソロモン・ブラザーズ・ビルが倒壊したという情報が入ってきました」と中継しているのである。ソロモン・ブラザーズ・ビルとは、第7ビルの名称である。記者の後方右手には、第7ビルがはっきり映っている。倒壊していない。それなのに、記者は、ビルが倒壊したというレポートをしている。

 そのまま中継が10分近く続けられた。そして突然、中継映像が乱れ出した。おそらく現場スタッフが第7ビルに異常がないことに気づいたか、本社側で映像と記者の報告があっていないこと気づいたかして、中継が中断されたのだろう。

 飛行機が激突したのでも、大規模な火災を起こしているのでもないビルが倒壊したなどと、想像でものを言えるわけがない。重要な事実は、ビルが直立しているのに、ビルが倒壊したと記者が報じていることである。

 この発見に対して、9・11検証番組を作成したBBCのポーター記者は、ブログにコメントを書いて答えた。「映像も残っていないし、もしブロガーたちが言っていることが正しければ、間違っていただけの話でそれ以上ではない」と。

 

 ポーター記者のコメントは、説明になっていない。映像があったから発見したのである。間違えたのはタイミングであって、倒壊という報道内容は間違っていない。ちなみにこの中継映像は、平成19年10月15日、日本テレビの番組で全国に放送された。

 いったい女性記者は、第7ビルが倒壊することを、どうやって知り得たのか。予知能力を持っていたのか。それとも、事件の前または第7ビルの倒壊の前に、報道内容が準備されていたのか。レポートが原稿なしのしゃべりだったのか、記者が読む原稿があったのかどうかを調べ、原稿があった場合は物証として示し、それをいつ誰が書いたかを確認してほしい。第7ビル倒壊など誰も想像しえない時点で、報道内容を準備した人間は、BBCの内部にいるのか、それとも外にいるのか。報道の女性記者に特殊な能力があるかも調べ、それも報告してほしいものだ。

 

 仮にBBCでは、事件の前に報道すべき内容が準備されていた。女性記者はその原稿を渡され、記者か現場スタッフが、原稿を読むタイミングを早まって、第7ビルの倒壊前にレポートを始めてしまったということであれば、第7ビルの倒壊、さらに9・11の疑惑は、より大きなものになる。なぜならば、9・11にはマスメディアも何らかの形で、事件前から関与していた可能性があるからである。

 ドナルド・ラムズフェルド国防長官は、WTCの第1ビルに最初の航空機が激突する2分前に、テロ攻撃について述べた。(『ファイヤットビル・オブザーバー』)。その後ペンタゴンへの激突の数分前にもそれを予告していた(『デイリー・テレグラフ』)。9・11の「テロ」を前もって知っていた人間がいた。その人間のいる組織であれば、前もってメディアに極秘情報を流しておこうと思えば、不可能ではない。

 ここに明確に浮かび上がってくるのは、WTCの三つのビルは、計画的に爆破されたという可能性である。

 

(2)ペンタゴンに激突したのは、757ではありえない

 

●ペンタゴンへの飛行物体の激突

 

 WTCは、アメリカの経済力の象徴とはいえ、民間のビルである。これに対し、アメリカ国防総省、通称ペンタゴンのビルは、国家の中枢の一角である。ペンタゴンは、アメリカの軍事力の象徴である。これを攻撃するとは、大胆不敵である。WTCの倒壊は、謎が多いが、ペンタゴンの破壊は、それ以上に首をかしげることが多い。ペンタゴン攻撃の不審点が解明できれば、9・11の真相に迫ることができるだろう。

 通説によると、テロリストがハイジャックした3機目の旅客機、アメリカン航空77便は、ボーイング757−200。乗客58名、乗員6名を乗せて、ワシントンを午前8時20分に出発し、午前9時38分にペンタゴンに激突したとされる。しかし、数々の疑問が噴き上がっている。

 

@空軍機は発進せず迎撃しなかった

 

 仮にWTCの攻撃は隙を突かれたとしても、その時点からは、厳戒態勢がしかれるだろう。ペンタゴンへの攻撃は、WTCの最初の攻撃から59分後だった。ところが、ペンタゴンに向かった飛行物体は、まんまと建物に突撃している。

アメリカ政府は、アメリカン航空77便は、追尾したF16戦闘機を振り切って、ペンタゴンに突入したと発表している。F16の極めて高い性能から言って、追尾していれば、旅客機がペンタゴンの近くに達する前に楽々接近し、ミサイルで撃墜できたはずである。実際には、政府発表と異なり、空軍は何の対応も取らなかった。

航空機がハイジャックされた場合、通常は15分以内に空軍の戦闘機がスクランブル発進することになっている。それが、9・11に限って行われなかった。警戒解除命令が出されていたのである。ペンタゴン近くの基地では、当日大規模な軍事演習が行なわれていた。そのため多くの警戒態勢が解除されていたという。いくら演習をするにしてもペンタゴンを無防備状態にするのは、間抜けすぎる。

 

A迎撃システムが作動しなかった

 

ペンタゴンは、5つの極めて高性能の対ミサイル迎撃システムで防衛されている。ところが、9・11には迎撃システムが機能しなかった。それはなぜか。
軍用機にはトランスポンダーがついており、それによって対象物が敵か友軍かを見分けることができる。トランスポンダーとは、航空交通管制用自動応答装置のこと。と「友軍機」の信号を発信するトランスポンダーを積載していない民間航空機ならば、ペンタゴンの対ミサイル迎撃システムによって自動的に撃墜されたはずである。
 仮にペンタゴンに、友軍の軍用機かミサイルが向かっていた場合、迎撃システムは反応しないだろう。このことは、ペンタゴンを破壊したのは、民間の飛行機ではなく、軍用機かミサイルではないかという疑いをもたらしている。
 

B建物の損傷が小さすぎる

 

 ペンタゴンに突っ込んだとされるのは、大型の旅客機757である。同機が、5層構造の建物の3層を突き破って爆発炎上したというわりには、明らかに建物の損傷が小さすぎる。

 同機は両翼が38メートル、全長47メートル、高さ13.6メートルある。これだけの大きさのものが激突すれば、中心部には相当の大きさの穴が開き、左右にも損傷が広がるだろう。ところが建物には、最大で5メートルの丸い穴が開いているだけである。穴が開いているのは1階・2階で、3階・4階の損傷は少ない。機体の高さを考えると、3階以上にももっと被害が出ていないとおかしい。

 しかも、建物の手前の芝生には、損傷が全く見られない。旅客機が1階・2階に激突し、爆発炎上したのであれば、広範囲の芝生が焦げ、剥かれ、穴が開くなどするだろう。それがないということは、芝生が損傷するほどの事故ではなかったからだろう。

 

C飛行機がレーダーから消えたとは考えにくい

 

ペンタゴンに激突したとされるアメリカン航空77便は、ワシントンのダレス空港を8時20分に出発した。その後、8時56分にインディアナポリスの航空管制官のレーダーから消えた。管制官は、同機が墜落したかもしれないと警告した。ところが、9時33分になって、同機らしき飛行物体が再度レーダーに写ったという。この間の約37分間、旅客機がレーダーに写らなかったというのは、極めてありそうにない事態である。

私は、この報告に嘘があるか、あるいは、この間に77便と実際にペンタゴンに激突した飛行物体のすり替えが行われたのではないかと想像する。ちなみに77便には、9月11日の発着記録が存在しないというのである。

D進入経路と激突箇所が不自然

 

 激突した飛行物体は、東側から飛来した。そのままペンタゴンの建物にぶつかったのではない。まっすぐ進入していれば、ラムズフェルド国防長官の執務室のある場所の近くに、突っ込んだだろう。ところが、飛行物体は、そこを避けるように、急旋回して反対側に回り込んでから、建物に突っ込んでいる。

 激突した箇所は、建物のうち、事件の前にそこだけミサイル攻撃にも耐えられるような補強工事がされていた場所だった。またそこだけ消火用のスプリンクラーが着いていた。テロ攻撃なら、一人でも多く高官を殺傷しようとするだろうが、激突場所には、政府高官は一人もいなかった。死亡したのは、作業していた民間人ばかりである。飛行物体は、あたかもその場所を攻撃するように進入し、そこを見定めてぶつかったと見られる。

 

Eブラックボックスから有益な情報が出ないのは不思議

 

 政府は事件の3日後に、ブラックボックスが発見されたと発表した。解析のため押収したFBIのロバート・ミューラー長官は、「フライトデータレコーダーからは有益な情報が得られず、ボイスレコーダーは回復できなかった」と説明した。建物に機体がぶつかったくらいで、ブラックボックスがそこまでの損傷を受けるとは考えられない。

 本当にハイジャックされていたのだとすれば、ハイジャック犯は何か音声でその英雄的な行為を明かすために、記録を残すだろう。アメリカ政府はそれを公開して、確かにテロリストによる仕業だと宣伝し、報復を呼びかけるべきところではないか。

 

F押収された記録映像が、公開されていない

 

 ペンタゴン攻撃は、テロリストの卑劣な仕業だと強調し、愛国心を高揚するには、生の記録映像を使うのが最も効果的だろう。しかも敵は、大胆にもアメリカの国防の象徴、ペンタゴンを破壊したのである。映像は、反撃のために、絶好の宣伝材料である。

 ところが、アメリカ政府はボーイング757が突っ込んだ瞬間をとらえた動画や写真を、一つも公開していない。ペンタゴン付近の商店やガソリンスタンドなどには、防犯カメラが設置され、その数は84台だという。事件後、間もなくFBIがやってきて、これらのカメラをすべて押収した。

 FBIの動きもおかしい。晴天の霹靂のような事件のはずなのに、どうしてこれほど迅速にカメラの回収ができるのか。事前に計画や下調べがあったのではないか。

当然カメラには、飛行機突入の瞬間が写っているはずである。しかし、証拠の動画は一切公開されていない。疑問が上がると、当局によって、監視カメラの静止画が、5枚だけ公開された。5枚だけというのもおかしな話で、動画のコマを切り出したのだろうが、動きを連続して撮った写真でなければ、確認はできない。確かに何かが飛来し、追突し、爆発炎上したらしい。その飛行物体の全体はわからない。機体の一部しか見えない。それは、大型旅客機ではなく、小型機と思われるサイズでしかない。

 なぜアメリカ政府は、監視カメラの映像を決定的な証拠として公開しないのか。公開を求める要望に対し、政府は応えようとしない。宣伝に使わないどころか、公開を拒否している。

 普通こういう場合、見せては都合の悪いものが映っていると考えるのが自然だろう。一体何が映っているのか。真相の解明のために、映像の公開を強く求められている。

 

G残骸は、片付けられたのか、もともとなかったのか

 

 ペンタゴンに757が激突という事件の現場写真は、異常である。事件の直後なのに、機体の残骸がない。消火作業中だというのに、残骸がない。飛行機事故の消火活動は、結構時間がかかる。燃えている途中に、残骸だけ運び出すことなどできるわけがない。

 それに、記録映像と同じことだが、ここは残骸を大いに撮影し、世界に報道し、被害の大きさを伝え、テロへの怒りを駆り立てるはずのところである。だが政府は、残骸がないのは、飛行機が建物の中にすっかり入ってしまったからだという。それならば、建物の内部なら機体を引き出して見せればよい。WTCの時と違って、高熱で溶解したはずはない。大型機の機体の残骸といえば、部分部分が大きく、総量も相当量になる。それをどこかに運ぶには、大型機械を入れて、切断・解体・運搬などの作業をしなければならないだろう。機械と人員の調達を含めて、かなりの時間を要するはずである。あまりにもスムーズに片付いてしまっているのは、おかしい。

 アメリカ政府は、残骸の証拠を提示するなどの反論を一切行っていない。反論できない理由があるからだろう。

 

H爆弾が仕掛けられていたのか

 

 飛行物体が衝突した直後、建物の損傷は大きくなかった。ところがその後、壁が崩壊し、建物3階層までが破壊された。政府の説明は、大量の燃料を積んだ航空機が激突して爆発炎上したので、その火災の影響で建物が倒壊したという。WTCの倒壊と同じ説明である。物理的には、ありえない。

 しかも、驚くべき写真がある。事件の3日後に撮影されたペンタゴンの崩壊した建物の内部に、パソコンが置かれているファイルキャビネットや木製の机が、そのままの姿で残っている。1階の爆発口のすぐ隣に、本が開かれたままの状態で燃えずに残っている。建物が崩壊するほどの火災・高熱の中で、木や紙が燃えずに済むとは考えられない。

 その一方、建物の壁が崩壊し、3階層までが大きく損傷している。こういう壊れ方は、爆弾の使用を疑わせる。現場付近で、コルダイト爆薬のにおいがしたという証言がある。コルダイトとは、ニトログリセリンとニトロセルロースでできた無煙火薬の一種。国防総省本省職員のドン・パーカルは、「数分おきに建物内で爆弾が2回爆発する音がし、コルダイト爆薬のにおいがした。どこかに爆弾が仕掛けられていた」と述べている。

 

I国防総省はシミュレーションを行なっていた

 

 国防総省は、テロの前年に航空機がペンタゴンに突っ込むテロのシミュレーションを行っていたという。その時にパイロット役をしていた者が、空軍をやめ、アメリカン航空に就職した。そのパイロットが、9・11にペンタゴンに突っ込んだ飛行機の操縦をしていたという。偶然にしてはできすぎた展開である。

 本当に飛行物体に、そのパイロットが乗っていたのか。遠隔操作による無人飛行機だったのではないかという見方もある。シミュレーションをした経験のある者が遠隔操作をすれば、精度は高くなり、成功の確率は上がる。

 国防総省が行ったシミュレーションが防衛のためにやったものならば、シミュレーションにいて警備体制を完備し、9・11のペンタゴン攻撃を阻止できただろう。結果がそうなっていないのを見ると、シミュレーションは、偽装攻撃計画の策定のためではなかったのかという疑いが生じる。

 ペンタゴンが建物の補強工事をし、その部分に飛行物体は突入した。空軍機は、発進せず、攻撃しなかった。警戒態勢が解除されていた。迎撃ミサイルは作動しなかった。これらのすべてが偶然の重なり合いとは考えがたい。むしろこれら全体が、一つの作戦計画と考えたほうが、整理がつく。

 

J「ミサイル」だったとラムズフェルド長官が言っている

 

 政府発表は、飛行機が建物を「貫通した」という。これについて、航空宇宙エンジニアのマイケル・マイヤーは、ボーイング757がペンタゴンの鉄筋コンクリートの壁に衝突した場合、機体はアルミ缶のようにちゃんこにつぶれ、貫通はしないという。鉄筋コンクリートに、丸い小さな穴が空けることができるのは、指向性爆薬つまりミサイルのようなものだという。

 ミサイルといえば、先にラムズフェルド国防長官の言葉を引用した。ラムズフェルドは、平成13年(2001)年10月、ペンタゴンの事件について「この建物に被害を与えたミサイル」と口を滑らせた(『パレード・マガジン』)

 航空機に見せかけたミサイルかミサイル搭載の軍用機を、ペンタゴンに向けて、国防長官の命令で放ったとすれば、長官の執務室周辺を外すように、指示することもできただろう。

 

この項目の最初に、ペンタゴン攻撃の不審点を解明できれば、9・11の真相に迫ることができるだろうと書いた。ペンタゴン攻撃で最もありうるストーリーとは、攻撃に軍が関与し、国防長官の指示でミサイルが放たれたというものとなるだろう。

 

(3)ペンシルバニアの飛行機は撃墜されたのではないか

 

●ペンシルバニアでの旅客機の「墜落」

 

 政府発表に基づく通説では、4機目のユナイテッド航空93便は、ボーイング757−200であり、午前8時42分、乗客37名、乗員7名を乗せて、ニューヨークを出発した。4名のアラブ人ハイジャック犯は、ホワイトハウスかアメリカ議会に自爆攻撃をしようとしていた。この暴挙を、乗客・乗員が命を賭けて阻止しようとした。そのため、同機は午前10時3分、ペンシルバニア州ピッツバーグ郊外で墜落したとされる。

 この墜落事故については、「ユナイテッド93」という映画がつくられ、ボーイング757内で起こったという物語が、国民の復讐心を高揚させた。しかし、この事故に関しても、アメリカ政府の公式発表には疑問点があり、政府はこれについて明確な説明をしていない。

 

@ただの墜落では、残骸が13キロも飛びはしない

 

 ユナイテッド航空93便の残骸は、広範囲に飛び散り、現場から13キロも離れた場所でも発見された。旅客機が墜落すると、地面に激突する。そこで、変形し、分解する。そこから残骸が13キロもの遠方に飛び散ることは絶対にない。テーブル大もあるエンジンの部品が、どうして数キロも離れたところに、飛んでいくものか。

 

A墜落現場には機体の残骸がなく、ジェット燃料が燃えた跡もない

 

 ボーイング757は、全長50メートル以上、6トン以上のエンジン2基を搭載している。ところが、墜落現場では、機体全体が9メートルの深さまで沈み、乗客・乗員・荷物が跡形もなくなっていた、水平尾翼や翼のような大きな部分さえ見つかっていない、という。

 飛行機の墜落事故は多くあるが、地面に激突すると、機体は折れてつぶれ、分解する。地面にすっぽりめり込むなどということはない。また、墜落現場には、ジェット燃料が燃えた後がない。機体がその現場に到達した時点では、既に分解しており、燃料も燃え尽きていたと考えるのが、合理的である。

 

B現場の詳しい映像が公開されていない

 

 普通の航空機事故なら、テレビは、上空からヘリコプターで撮った事故現場の映像を流す。事故現場に取材班が到着すれば、接近して機体を撮る。ところが、ペンシルバニアの農地だという現場については、墜落した93便の機体を詳細に撮影した写真が、一切公開されていない。

 もし公式発表のように、機体全体が9メートルの深さまで沈んだとすれば、その穴を映すだろう。100メートルもある深い穴でも、現代のカメラは、はっきり物体を映す。それに、9メートル程度なら、当然検証のために、調査員をやって、機体や犠牲者の確認、遺骨・遺品の収拾をするだろう。その様子を、テレビが中継放送をするだろう。

 なぜそれをしないのか。できないからだと考える以外に、結論はない。

 

Cテロリストの所持品だけが残るはずがない

 

 墜落現場には、機体も乗客・乗員・荷物も姿形もなくなっていた。しかし、FBIの発表によると、テロリストの赤いバンダナとパスポートがそこで見つかったという。いまどき、子供でもこれほどお粗末な話には、だまされない。もしテロリストのものだけが見つかったとすれば、誰かが後で置いたのである。

 

D犠牲者の血液が発見されていない

 

 墜落現場を管轄しているサマセット郡の検死官は、墜落現場に「1滴の血」もなかったと証言している。乗客・乗員を乗せたまま、機体が激突していれば、何らかの形で、血液が飛散するはずである。血痕が見つかれないとすれば、地面に到達した時点では、血液は空中に飛散してしまっていたと考えられる。それほどまでの破壊は、空中での爆発以外では起こりえない。

 

E1万mの上空から携帯電話の連絡はほぼ不可能

 

 ハイジャックされた機内で、乗客が家族に携帯電話で連絡をした。夫は妻に、「さあ、行くぞ(Lets roll.)」と言って、テロリストとの戦いに向かった。この勇気ある行動が、アメリカ国民の愛国心、団結心を高めることになったとされる。

 しかし、事故当時の携帯電話は、高度1万メートルの上空からでは、通常つながらないという。南オンタリオ大学のデュードニー名誉教授が、実験したところ、飛行中の旅客機から携帯電話で通話することはほぼ不可能と報告している。そのうえ、電話会社の請求書には、携帯電話の記載がない。請求書に記載がないということは、電話があったことを示す客観的な証拠がないということである。そんな通話はなかったと考えるのが、妥当だろう。

 

Fハイジャックの黙認利用は困難、墜落なら物証を使うはず

 

 WTC、ペンタゴン、ペンシルバニアの事件のうち、最もありうるのは、最後のハイジャックに対する抵抗による墜落だろう。とはいえ、アメリカ政府が前もってテロリストによるハイジャック計画を知って黙認し、泳がせて、計画通りやらせたとしても、乗客・乗員が自発的に抵抗し、またその結果、ホワイトハウスやキャピトルヒルへの攻撃を防ぎ、郊外で墜落するという展開になるとは限らない。むしろ、そういう展開は、小説のなかのストーリーでもないと、殆どありえない。

 もし本当に勇気あるアメリカ人の行動で、飛行機が墜落することで、ホワイトハウスやキャピトルヒルが守られたとすれば、墜落現場を徹底的に撮影し、9メートルの穴の細微まで撮影して、これを自国民や世界の視聴者に報道するだろう。そうしないのは、なぜか。できないからだと考えるしかないだろう。

 

G最後の3分間の録音が残っていないのは不合理

 

 当初、地震計の記録から、墜落は午前10時6分と発表された。記録は、午前10時6分5秒プラスマイナス2秒をさしている。ところが、その後、ペンタゴンと9・11独立調査委員会により、時間は午前10時3分と修正された。この3分間の違いが疑問を呼んだ。

 ボイスレコーダーの内容が公開されたが、録音内容は、10時3分までしかない。もし飛行機が急降下して地面に激突したとすれば、その間の音声が残っているはずである。10時3分に何が起こったのか。そして、それから10時6分までの3分間、飛行機はどういう状態だったのか。

 墜落説では、この点が説明できない。仮に同機が爆発したのであれば、10時3分に爆発が起こって、機体が破壊され、重量のある部分が地上に到達したのが、10時6分と考えることができる。

 

Hラムズフェルドは、ミサイルで撃ち落したと言っている

 

 事件当日、F16戦闘機2機が93便を追跡しているのを見たとか、93便の墜落後、白いジェット機が飛び去るのを見たと言う証人が複数いる。デヴィッド・グリフィンは、F16がサイドワインダー(空対空ミサイル)を2発発射し、うち1発はエンジンに当たり、機体が石ころのように落ちていったと推測している。そのミサイルはエンジンを狙うのである。

 平成16年(2004)12月、ラムズフェルド国防長官は、イラクを訪れた際、スピーチで次のように語った。「ペンシルバニア上空で航空機を撃ち落とし」と(CNN)。

 国防長官が撃墜したと言うのだから、撃墜したのだろう。実際、チェイニー副大統領が、撃墜を命令したという証言がある。(第3章の(4)を参照)

米軍機が撃墜したとする場合、なぜ自国民が乗っていた航空機を撃ち落す必要があったのか。撃ち落すのなら、WTCやペンタゴンに向かう飛行機こそ、撃ち落すべきだろう。WTCやペンタゴンの事件の場合は、空軍機は出撃すらしていない。一方、ホワイトハウスやキャピトルヒルには激突せず、ペンシルバニア上空を飛んでいた飛行機は、もはや新たな攻撃の可能性はなくなっていたのである。それを撃墜した上で、墜落に見せかける必要はあったのだろうか。

 撃ち落す予定の飛行物体と、撃ち落さないことにしていた飛行物体があったと私は推理する。WTCやペンタゴンでは飛行物体はビルに激突する。ペンシルバニアでは墜落に見せかけて撃墜する。それらの全体で、一つの目的を達した。事件のそれぞれが最大の効果を生むように、計画されていた。そこに浮かび上がってくるシナリオは、アルカーイダが単独で計画・犯行したという通説とは、似ても似つかぬものとなる。政府中枢の関与を想定せずに、9・11の真相には迫りえないのである。

 

(4)四機に共通する疑問がある

 

●ハイジャックされたという飛行機への疑問

 

 これまで、WTCの倒壊、ペンタゴンへの飛行物体の激突、ペンシルバニアでの旅客機の「墜落」について、疑問点を書いてきた。それぞれのところで飛行機に関することを書いたが、ここで三つの出来事における四機に共通することを補いたい。

 

@空軍機は発進しなかったのに嘘の説明、しかもその内容変わった

 

 米軍は、航空機がハイジャックされた場合、通常は15分以内に空軍の戦闘機が緊急発進して、迎撃することになっている。これを迎撃の通常対応措置(SOP)という。平成13年(2001)9月11日は、この通常対応措置が行われず、飛行物体は、次々にWTCのツインタワーとペンタゴンに激突した。
 事件直後の9月13日、アメリカ上院軍事委員会で、空軍のリチャード・B・マイヤーズ将軍は、戦闘機を緊急発進させたが、それはペンタゴンが激突された後だったと答えた。しかし、緊急発進には、上からの命令は必要ない。緊急発進するな、という命令が出ない限り、通常の対応措置が取られる。そのため、この最初の公式説明には、疑問が集中した。
 数日後、NOARD(北米航空防衛司令部)は、WTCとペンタゴンが激突される前に戦闘機を緊急発進させたが、現場到着が間に合わなかった、という新しい説明を出した。これを公式説明の第2版と呼ぶ。国家の安全保障に関わる重大問題、約3000人もの犠牲者を出した事件に関し、軍の説明が大きく変わったのである。
 公式説明の第2版によれば、WTC第1ビルに激突したアメリカン航空第11便と、第2ビルに激突したユナイテッド航空第175便を迎撃するジェット戦闘機の緊急発進命令は、マクガイア空軍基地ではなく、より遠方のオーティス空軍基地に対して出されたという。
 またワシントンを防衛するためのジェット戦闘機の緊急発進命令は、アンドリュース空軍基地ではなく、より遠方のラングレー空軍基地に対して出されたという。
 しかし、NOARD(北米航空防衛司令部)のタイムラインと、オーティスおよびラングレー基地から発進した操縦士がより長い距離を飛行しなければならなかったという事実を考慮しても、全速力で飛行していたならば、WTCの第2ビルとペンタゴンへの攻撃を阻止するのに間に合っていたはずである。
 公式説明の第2版では、WTCの2回目の攻撃を防ぐために、8時45分にF15戦闘機が2機発進したという。一人のパイロットは全速力で飛んだと証言している。もしそうしていれば、マンハッタンまで約8分で到着し、旅客機を撃墜するまで3分の余裕があったはずである。ところが、公式説明は、175便が第2ビルに激突したとき、F15はまだ70マイル手前にいたという。これはまったく計算の合わない説明である。
 同じく公式説明の第2版では、第11便と第175便を迎撃するには遅すぎたジェット戦闘機は、第77便がハイジャックされて、ワシントンへ引き返しつつあったことが知られていたにもかかわらず、ワシントンに向かうことを命令されなかった。
 このように政府の公式説明は、支離滅裂である。実際には空軍機は、ニューヨークとワシントンでは、発進・迎撃しなかった。だから、公式説明は、このことを隠すためにつくった嘘である。嘘だから、つじつまが合わない。何らかの飛行物体が、WTCに2機、ペンタゴンに1機激突した。通常どおり迎撃体制が機能していたら、激突前に打ち落とせたはずなのに、である。アメリカ政府の説明は、矛盾だらけで、完全に破綻している。9月11日は、通常の対応措置を行わないようにという命令が上層部から出ていたとしか考えられない。

A乗客がひどく少ないことを、テロリストは不審に思わなかったのか

 

 ハイジャックされたとされる旅客機4機のうち、2機は定員375人のボーイング767。もう2機は、定員289人のボーイング757。合わせると1328人の乗客を運べる計算となる。4機とも平日朝8時台の非常に人気のある時間帯のフライトである。いつも100%の搭乗率であり、9月11日当日も、他の便は満席だった。それにもかかわらず、事件に巻きまれた飛行機は、4機合わせて、わずか266人しか乗っていなかった。1062席もの空席があったことになる。搭乗率は、ジャスト20パーセント。他の便が、搭乗率100パーセントであったのと、著しい対照をなす。

 ハイジャックを計画していたテロリストは、予定していた便に乗り込もうとしている段階で、乗客が異常に少ないのを見て、これはおかしい。犯行計画を読まれているのではないかと気づくだろう。もしアメリカ政府発表のように、本当にテロリストが行動したというなら、この時点で不審を感じないほど間抜けだとは思えない。

 

B発着記録がなかったり、到着地変更と記録されたりしている

 

 普通、旅客機は、80パーセントもの空席があれば、フライトをキャンセルするか、故障を口実にするなどして飛ばさないだろう。一体、これらの4機は、本当に飛んだのだろうか。

 WTC第1ビルに激突したとされるアメリカン航空11便(ボーイング767)は、ロサンゼルスに向かう途中でハイジャックされたという。ところが、この機は、9月11日の発着記録が存在しないのである。同機は、テロ当日爆発物を積んでいたということで、緊急着陸して全員を下ろしたという記事が一時報道された。しかし、アメリカ政府の発表に疑問を持った人たちが追及したところ、この記事はネット上から削除された。

 ロサンゼルスに向かう途中でハイジャックされたというのは、ペンタゴンに激突したとされるアメリカン航空77便(ボーイング757)もそうである。ところが、この機も、9月11日の発着記録が存在しない。

 WTC第2ビルに激突したとされるユナイテッド航空175便(ボーイング767)の記録は、「到着地変更」となっている。激突して全壊したはずの飛行機が「到着地変更」と記録されているのは、おかしい。まさか「到着地はWTC」、というブラックジョークでもあるまいに。

 当日午前10時45分、ボストンを出発したユナイテッド航空ボーイング767が、爆発物を積んでいたため、クルーブランド・ホプキンス空港に、緊急着陸したという。便名は公開されていないが、当日朝ボストン発の767とは、WTC第2ビルに激突したとされる航空機もそうである。ユテッド航空175便の「到着地変更」は、この緊急着陸機なのではないかという疑問が出ている。

 ペンシルバニアで墜落したとされるユナイテッド航空93便(ボーイング757)も、「到着地変更」となっている。乗客・乗員が勇敢にテロリストと戦う中で墜落したはずの飛行機の記録が「到着地変更」とは、これもおかしな話である。実際に墜落した飛行機は、ユナイテッド航空93便(ボーイング757)ではなかったのだろうか。

 

C途中で飛行物体のすり替えが行なわれたのではないか

 

 9・11でビルに激突したり、墜落したとされる飛行物体は、本当にアメリカ政府が発表しているような旅客機だったのだろうか。途中ですり替えられたとも考えられる。乗客の旅客の乗っていた飛行機は、空港を出発して途中まで飛んだところで、別の場所に飛ぶ。入れ替わりに、別の飛行物体がその旅客機に成り代わって、攻撃目標に向かう。WTCにも、ペンタゴンにも、別の飛行物体が突撃する。ペンシルバニアの空には、別の飛行物体が飛ぶ。こういう可能性もある。

 4機について、発着記録が存在しないとか、到着地変更と記録されているとするならば、自然に出てくる推理である。

 

D航空機会社幹部が了解していなければ無理

 

 アメリカン航空、ユナイテッド航空は、あらゆる記録を公開して、徹底的に事実関係を明らかにすべきだろう。また、連邦航空局に対し、ハイジャック機のパイロットと、航空交通管制官との全交信記録を公表するよう求めるべきだろう。

 これだけの大事件、大事故なのに、航空関係者が真相究明に積極的でない。航空会社は、機体の残骸の処理方法や証拠の非公開に、なぜ同意したのか。経営者は、記者会見で詳細に報告・説明しなければ、社の信用に関わるはずである。

 航空機会社の経営者や幹部は、事件について前もって知っており、何らかの形で参加・協力していたのではないか。また、社内に緘口令を敷いているのかも知れない。自由とデモクラシーの国・アメリカでは、非常に考えにくいことではあるが。

 

E9・11が投機の対象となっていた

 

9・11の直前の数日間、WTCの22階を占める大手投資会社モーガン・スタンレー・ディーン・ウィッターとアメリカン航空とユナイテッド航空の株について、極端に大量のプットオプションの購入がされた。プットオプションとは、指定時間内の指定価格での売りつけ権利のことをいう。事件に先立つ3日間、数ある航空会社の中で、アメリカン航空とユナイテッド航空の2社の株のみ、取引高が1200%も増大した。CIAとその他の情報機関は、常時株の動きを監視している。この動きを察知していただろう。
 プットオプションを購入するは、株価の急落に賭けることを意味する。事件後、3社の株価は急落した。オプションの価値は100倍にもなり、何百万ドルもの利益を生み出した。この異常な投資行動は、一部の投資家が、9・11のテロ攻撃を事前に知っていたことを示唆する。投資家は、どうやってこんな情報を得るのか。CIA長官の多くは、ウオール・ストリートの出身である。情報機関が投資家に情報を流し、投資家がその情報を元に株式市場を操るというような巨大なネットワークがあるという推測も可能だろう。

ブッシュ政権は、アメリカン航空、ユナイテッド航空、モーガン・スタンレー・ディーン・ウィッターのプットオプションを購入したのは、誰であるかを明らかにしていない。

(5)犯人は本当にテロリストなのか

 

 WTCのビルに向かった飛行物体は、空軍機が発進・迎撃しなかったので、激突できた。ビルの崩壊は、制御解体による可能性が高い。ペンタゴンに向かった飛行物体は、警戒態勢が解除されている中で接近し、迎撃ミサイルが作動せず、あらかじめ補強されていた部分に激突した。ペンシルバニアで墜落したという飛行物体は、米軍機に撃墜されたとしか考えられない。

 一体これほど大掛かりで計画的なテロ攻撃が、アルカーイダの単独で可能なものだろうか。

 

●テロリストが犯人だとするとおかしなことが

 

@  アルカーイダの犯行だとするのは、犯行声明によるのみ

 

 アメリカ政府の公式見解は、イスラム教過激派のテログループが4機の乗客機をハイジャックして、WTCやペンタゴンに突っ込んだとする。また、平成16年(2004)11月はじめ、オサマ・ビンラディンが「モハメド・アタを通じて犯行を指揮した」と証言したというビデオが全世界に流された。この犯行声明により、事件はアルカーイダの犯行だとする報道が行なわれてきた。

 9・11の直前、各国の諜報機関は、テロリストによる攻撃が差し迫っていることをとらえた。イギリス、ロシア、イスラエル等の各国政府が諜報機関の情報に基づいて、アメリカ政府に警告していた。アフガニスタンのタリバンも、8月の時点で、オサマ・ビンラディンがアメリカに大きなテロを行うと警告した。だから、テロリストによる攻撃計画があったことは、確かである。

 自作自演説が、テロリストの計画などなく、アメリカ政府中枢がすべてテロリストの犯行に見せかけて計画・実行したという説だとすれば、ここが弱点の一つである。

 テロリストによる計画はあったとした場合、問題は、それがそのまま実行されたのかどうかである。テロリストによる犯行だとするのは、彼らの声明や供述のみである。しかし、これには疑問視される点がある。ディック・チェイニー副大統領は、9・11同時多発テロ事件とアルカーイダの関係を示す証拠を持っていると公式に発言したが、未だに証拠は提示されていない。

9・11の犯人について、通説は、アルカーイダによる単独犯行である。アメリカは、政府も諜報機関も、一切事前には情報を得ていなかったというものである。これを疑う説がいろいろ出ている。

繰り返しになるが、私の分類では、第一は、黙認利用説である。これは、事件はアルカーイダの単独犯行だが、ブッシュ政権はテロを予め知っていた。攻撃するのを黙認して、中東への侵攻に利用したとする説である。

第二は、利用加担説である。アメリカ政府はテロ攻撃を単に黙認して利用しただけではなく、事前に攻撃計画の情報を得て、テロリストには知られないように秘密裏に攻撃に加担し、より衝撃的、より効果的になるよう利用したとする説である。

第三は、政府共犯説である。これは、アメリカ政府は、秘密裏に加担したのではなく、オサマ・ビンラディンとアメリカ政府中枢が共犯で事件を起こしたという説である。

第四は、自作自演説である。テロリストの計画などなく、最初からアメリカ政府中枢が自らシナリオを書き、テロリストによる攻撃と見せかけて実行し、これをテロ事件だとマスメディアを用いて宣伝したという説である。

 黙認利用説は、アメリカ政府中枢が直接攻撃に関ったとは見ない。これに対し、利用加担説、政府共犯説、自作自演説は、政府中枢が何らかの形で攻撃に関ったという見方である。

政府共犯説の場合、テロリストの計画はあったが、実はアメリカ政府中枢と共同謀議をして、各国の諜報機関にもテロリストの犯行と思わせるほど高度な偽装が行われたという見方となるだろう。これを、そこまで高度な偽装をするテロリストは、もはや自立した組織ではなく、CIAのエージェントだと見れば、自作自演説に近いものになる。

私は断定するには、まだ決め手がないと思っているが、さまざまな疑問点とあわせて、犯行者の実態を検討したい。

 

A計画を知らなかったという米政府が、なぜすぐ犯人を発表できたのか

 

 アメリカ政府が実行犯として公表し、写真も公開した容疑者は19人。政府は、なぜ彼らを事件後すぐ犯人と特定して発表できたのか。捜査や本人確認には時間がかかる。まして、遺体は、ほとんどが消滅している。所持品も、一部発見されたというものを除いて、焼失している。それにもかかわらず、すぐ誰彼が犯人だと発表できるとすれば、テロリストの計画を完ぺきにつかんでいた場合だけだろう。しかし、アメリカ政府は、事前に多発テロ攻撃計画を知らなかったというのである。これは、矛盾している。政府は、うそをついている。

 考えられるのは、アメリカ政府は事件前にテロリストの計画を知っていた。だから、事件後、すみやかに発表できたというケースである。この場合、政府は、テロ攻撃を黙認したことになる。存在したのは、テロリスト単独の計画ではなく、政府中枢が関与した計画だったという可能性もある。この場合、政府中枢は、実行犯のリストを前もって作り、事件後に発表することを決めていたことになる。

 

B全員死亡したはずの犯人のうち、7人は生きている

 

 19人は当然ハイジャック機の突撃や墜落によって、全員死亡したはずである。ところが、そのうち7人は生存しているという。

 旅客機を操縦して、WTCに突撃死したはずのアブドルアジズ・アルオマリは、自分が犯人にされていることに驚き、自分は生きているという声明を発表した。すると、FBIは、操縦していたのは、モハメド・アタであると修正した。ところが、アタの父親は、事件の翌日にアタと電話で話したと証言した。また空港の監視カメラがとらえた映像を見て、これは息子ではないと否定した。アタが搭乗前に空港に預けたという荷物だけが飛行機に積み込まれず、FBIに押収されるという。これも考えにくいことである。まるで最初から犯人と決めておいて、荷物を抜いたかのようである。

 犯人だと発表してから、本人たちが事件に直接参加していなかったというのは、黙認利用・利用加担・政府共犯・自作自演のいずれであっても、発表内容がずさんすぎる。すぐ後でつじつまが合わないのが、ばれるようなお粗末な話である。9・11はきわめて精緻な計画と、あきれるほど杜撰(ずさん)な発想が混合した奇怪な事件である。

 

Cテロリストたちの技術では操縦は不可能

 

 ハイジャック犯たちは、アメリカで飛行訓練を受けていたとされる。WTCに突っ込んだというモハメド・アタらは、アリゾナ州やフロリダ州で飛行訓練を受けていたことがわかっている。彼らがイスラム教過激派だとわかっていて、出入国を許可していたアメリカ政府の対応は、おかしい。飛行訓練を受けさせていたのも、変である。飛行学校での彼らは、半年間セスナとプロペラ機を操縦しただけだった。関係者の証言によれば、英語が十分でなかったり、まともに離着陸さえできなかった。結局のところ飛行学校を追い出されてしまい、学校を転々とするような有様だった。

 仮に小型機の操縦はなんとかできたとしても、彼らがボーイング767や757の操縦能力を持っていたとは考えられない。これらの旅客機は、専門的な訓練を受けたパイロットでなければ、操縦できない。しかも、専門家によれば、767でWTCに突撃するには、同機の高度なデジタル機器を駆使する技術が必要だという。

 

D別のジェット機を遠隔操縦か自動操縦でぶつけたのでは

 

 では一体、誰が飛行機を操縦していたのか。それぞれの飛行機のパイロットが、テロリストに脅迫されて、指示されるままに目標物に向かったのだろうか。パイロットは、それに従わない選択ができる。銃で脅迫したところで、パイロットを撃ち殺したら、飛行機は目標物にぶつかる前に、墜落してしまう。テロリストが操縦できるようなローテクの飛行機ではないからである。

 飛行物体がボーイング767、757ではなく、別の小型ジェット機であったとすれば、遠隔操作か自動操縦で飛ばせた可能性がある。最新鋭の商用ジェット機では、離陸から着陸まで、すべて自動で運行することが可能だという。WTCを目標に突撃させることは、現在の自動操縦技術であれば、さほど難しいものではないらしい。また、遠隔操作技術も実用化されており、アフガニスタン戦争以降、無人航空機(UAV)が使用されている。9・11の時点でも米空軍であれば、無人機の遠隔操作が可能だったという見方もある。

 

●オサマ・ビンラディンという不可思議な存在

 

 本当に犯行を行ったのは、誰なのか。謎の焦点は、イスラム教過激派の頭目とされるオサマ・ビンラディンにある。

 

@  サマはアメリカと、ビンラディン家はブッシュ家と関係がある

 

 オサマ・ビンラディンは、ラディン一族の出身。一族は、サウディアラビアの財閥「サウディ・ビンラディン・グループ」を形成し、一族の巨額な財産が、オサマのテロ活動の資金源になっているといわれる。

 オサマは、旧ソ連がアフガニスタンに侵攻した際(1979年〜89年)、アフガン義勇兵として旧ソ連軍と闘った。旧ソ連の敗退後、オサマは反米活動に転じ、過激派組織アルカーイダを組織し、多くのテロ事件を指導している。

 ブッシュ政権は、9・11の同時多発テロ事件後、首謀者はオサマだと断定した。オサマは当初事件への関与を否定していた。しかし、事件から3年を経た平成16年(2004)10月、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラが、オサマがアメリカ同時多発テロ事件を行ったことを認めるビデオを放映した。この犯行声明により、事件はアルカーイダの犯行だとする報道が行なわれてきた。声明に対し、ブッシュ大統領は「脅しには、屈しない」と決意を述べた。

 かくしてオサマ・ビンラディンは、アラブのテロリストの首領にして悪魔のごとき存在として、多数の人々の憎悪の的となっている。しかし、この人物ほど、謎と疑惑に包まれた人物はいない。

 実は、オサマが作ったアルカーイダとは、旧ソ連がアフガニスタンに侵攻していた時代、CIAが育てた武装抵抗組織だった。

 そのうえ、ラディン・グループは、古くからブッシュ家とビジネスでつながりがある。オサマの父ムハンマドは、ブッシュ(父)とともに、カーライル社という投資会社の役員だった。また、長兄サレムは、1970年代初頭、ブッシュ(父)がアルブスト・エネルギー社を設立した際のビジネス・パートナーだった。ラディン家とブッシュ家は、切っても切れない関係にある。

 こういう関係が一変して対立関係に転じることは、ままあることだが、ブッシュ家としては、大きな汚点である。もっともナチス・ドイツとの関係という消すことのできない、もっと古いしみがブッシュ家には、あるわけだが。

 

A  メリカの協力者説、替え玉説、死亡説などが飛び交っている

 

 9・11の前、平成13年(2001)7月、オサマは、アラブ首長国連邦のドバイにある「アメリカン・ホスピタル」に入院した。腎臓の病気を治療するためだ。オサマは、アメリカ人外科医の治療を受けた。この時、CIAのドバイ支局長やサウディ高官などが面会に訪れていた、とフランスの新聞『フィガロ』は報じている。

 オサマが米資系の病院に入院するのは、そもそもおかしい。敵に命を預けるようなもので、すぐワシントンに通報されるだろう。医療と見せかけて謀殺されるかもしれない。そこに、CIAの要員が面会に行き、捕まえもせず、暗殺もせずに帰るというのは、不思議な関係である。こういう点などから、オサマはCIAの協力者ではないかという疑惑が出ている。もっともCIA本部は、『フィガロ』紙の報道を否定している。

 オサマは、9・11後、パキスタンの新聞『ウムマット』とのインタビューで、事件への関与を否定した。そして、「アメリカ政府は米国内で攻撃者を発見しなければならない」「アメリカの組織の一部でありながらアメリカに背いて他の組織のために働く人々が、これらの攻撃を起こし得た」「ユダヤ系アメリカ人は、この行為の立案者であるかもしれない。米情報部の関与の可能性も大である。情報部は毎年何億ドルもの資金を必要とする」等と語った。そして、西側に対する聖戦に参加するようパキスタンの人々に強く訴えたという。この内容は、オサマの実像を思わせるものであると私は思う。

 その一方、事件の3年後、オサマが9・11の犯行を認めたとされるビデオには、信憑性を疑う専門家がいる。イスラム学者・アラブ学者のケヴィン・バレットは、1990年代はじめにオサマの音声を翻訳した経験にもとづき、平成13年(2001)年以降に発表された多くのオサマの音声だとされるテープは、語法の特徴から本人のものではないという見解を発表している。スイスのダル・モール知覚的人工知能研究所(IDIAP)は、CIAが「本物」だと断定した平成14年(2002)秋発表のテープを声紋分析した結果、「替え玉による録音」と報告した。 一部には、オサマは、既に死亡しているという説もある。死亡した人間を、替え玉を使って、時々登場させ、悪役として利用しているのではないか、というのである。

 この点は、第3章の(7)で、より詳しく述べたい。

 

 犯人については、以上のようにさまざまな疑問がある。いずれにせよ9・11はテロリストの計画・行動だけで、あれほどのことを行なうのは不可能である。私は、アメリカ政府中枢が、単にテロ計画を黙認利用したとは思えない。利用加担か、政府共犯か、自作自演かについては、まだ決め手を欠く。決定的な物証やブッシュ政権の幹部による証言が出ていない。しかし、アメリカ政府中枢が、9・11に何らかの形で能動的にかかわっていることは、間違いないと私は確信する。

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第3章 アメリカ政府中枢の関与を示す事実がある

 

(1)アメリカ国民の相当数が政府の公式発表を疑っている

 

  「アメリカ政府は嘘をついていると思う」と83%が回答

 

 昨年、平成18年(2006)年5月、アメリカの世論調査会社ゾグビーは、国際調査の結果を発表した。それによると、アメリカ国民の42%が、「アメリカ政府と9・11独立調査委員会は、公式調査の結果に反する決定的に重大な証拠が明らかになるのを恐れ、それらに対する捜査を拒否したり、または不利な証拠を隠した」と思っている。

 同年10月のニューヨークタイムズ紙とCBSニュースの世論調査では、28%が、「ブッシュ政権の官僚のほとんどは、9・11前に得ていた攻撃に関する情報について、嘘をついている」と答えた。

 つまり、9・11には、嘘やごまかしや証拠隠しがあると思っているアメリカ国民は、相当数いるのである。

 同じく昨年7月、スクリプス・ハワード社とオハイオ州立大学による調査は、もっと突っ込んだ質問を行なった。次のようなことが、あり得ると思うかときいたである。

 

 「連邦政府の官僚たちがWTCかペンタゴンの攻撃に参加していたか、それらの動きを黙認した」

 「WTCのツインタワー崩壊は、秘密裏に仕掛けられた爆薬によるものだった」

 「ペンタゴンはハイジャックされた航空機ではなく、軍の巡航ミサイルによって攻撃された可能性がある」

 

 日本人の多くは、これらの質問は馬鹿げており、陰謀論好きの特殊な人間以外は、そんなことは考えないだろうと思うのではないか。しかし、この調査に回答したアメリカ国民の36%は、「連邦政府の官僚たちがWTCかペンタゴンの攻撃に参加していたか、それらの動きを黙認した」ことが、「非常にあり得る」または、「あり得るかもしれない」と答えた。16%は、「WTCのツインタワー崩壊は、秘密裏に仕掛けられた爆薬によるものだった」ことが、「非常にあり得る」または、「あり得るかもしれない」と答えた。また12%は、「ペンタゴンはハイジャックされた航空機ではなく、軍の巡航ミサイルによって攻撃された可能性がある」ことが、「非常にあり得る」または、「あり得るかもしれない」と答えたという。

 さらに数字の高い調査結果もある。平成18年に行なわれたCNNの全世界規模の世論調査では、「9・11はアメリカ政府による自作自演だと思うか」という質問に対して、75%がイエスと答えた。そしてアメリカ政府の説明を信じる人は、世界中でたったの12.7%しかいない。CNNの別の世論調査では、5万3000人のうち、83%が「アメリカ政府は嘘をついていると思う」と答えている。

 

●アメリカ国民と日本国民の違い

 

 9・11から5周年を迎える直前、平成18年(2006)9月、アメリカの各主要メディアは、9・11の陰謀論に関する記事を一斉に発表した。その中の一つ『タイム』誌は、「陰謀論は少数者が唱える迷信ではない。明白な政治的事実なのだ」と書いた。世界的に読まれている一流雑誌『タイム』が、このように書くに至っているほど、アメリカ国民の政府及び調査委員会の報告への疑問は、強まっているのである。

 こうした疑問は、ブッシュ政権が始めたイラク戦争への疑問に直結する。当初ブッシュ政権が開戦の理由に掲げた大量破壊兵器は存在しなかった。戦争の大義は失われた。ところが、その戦争で、アメリカ人兵士が、昨18年9月時点で2696人死亡している。今年(19年)5月の時点では、3452人に増えた。大統領が戦争終結を宣言したのに、イラクの治安は好転せず、泥沼化している。ところがブッシュ政権は撤退どころか増派を決め、莫大な戦費が予算に計上されている。イラク戦争は失敗であり、アメリカは撤退せざるを得ない。平成18年(2006)の中間選挙で共和党が歴史的な大敗を喫したのは、イラク戦争への不満が一要因である。国民の疑問は、戦争のきっかけとなった平成13年(2001)9月11日の事件にも向けられている。

 わが国のように、議院内閣制の政体を取る国であれば、ブッシュは政権を維持できず、とっくに内閣総辞職・解散総選挙となっているだろう。アメリカの場合、任期4年の大統領制で権力が大統領に集中している。任期中はよほどでないと大統領の交代にはならない。ウォーターゲート事件でニクソン大統領が任期中に辞任したのが、建国以来、唯一の例である。こうしたアメリカの政体の安定性は、その反面に硬直性として表われている。

 日本人の多数は、9・11に関するアメリカ政府や調査委員会の発表を疑わない。通説の矛盾を追及する議論を、低俗な陰謀論と蔑視する人が多い。それは、自分の国の問題だという意識が薄いからだろう。そこが、第一の当事者であるアメリカ国民との大きな違いだろう。しかし、私たちは忘れてはならない。9・11では、24人の同胞が犠牲者となっていることを。日本国民も、まぎれもなく、当事者なのである。そして、私たちは、今日この欺かれた世界に生きているのだ。

 

(2)政府は調査委員会の調査を妨害した

 

●9・11独立調査委員会の報告書は、真相解明になっていない

 

 平成16年(2004)7月、アメリカ政府によって『9・11独立調査委員会報告書』が出された。この報告書は、「9・11同時多発テロ事件に関わる事実と状況の最大限可能な説明」を目的とする。それにもかかわらず、政府の公式説明と異なる事実は、いっさいなかったかのように、無視、省略または歪曲された内容だった。そのため、かえって疑惑を深めるものとなった。

 例えば、WTCの倒壊の際、爆発音を聴いたという証言者が多数いる。しかし、アメリカ政府や9・11独立調査委員会は、それらの証言をまったく採用せず、調べようともしない。証言者の一人、ビル警備員ウィリアム・ロドリゲスは、ブッシュ大統領に5回も面会して再調査を訴えたが、大統領は「その必要はない」と拒否した。

 政府も調査委員会も、真相解明に積極的でない。CNNテレビは、平成14年(2002)1月29日に、この消息を伝えた。それによると、ブッシュ大統領が自らトム・ダッシェル上院院内総務及び数人の下院議員と私的な会合をもち、「9・11に関する議会の調査を限定するように」要請した。共和党幹事長でもあるダッシェル議員は、この要請に同意し、9・11に関する議会の調査は大幅に縮小されたという。これはもみ消し以外のなにものでもない。

 こうした政府や調査委員会の姿勢は、多くのアメリカ国民に不満をつのらせている。

 

●調査委員会への妨害が繰り返し行われた

 

実は、9月11日の攻撃がいかにして成功しえたのかについての委員会の調査を、ホワイトハウスは繰り返し妨害したのである。
 「9・11独立調査委員会」は「独立」とは名ばかりで、ブッシュ大統領は、自分が議長を指名することを委員会の設置の条件とした。大統領は、ヘンリー・キッシンジャーを議長に指名した。しかし、キッシンジャーはユノカル社やサウディとのつながりを疑われたため議長を辞任した。その後、議長に指名されたトマス・キーンは、「大統領への情報概況報告日誌」という大統領向けの情報機関の報告書について政府が要求する制限に同意した。同意によれば、政府は日誌を委員会に送る際に手直しでき、それを見ることが出来るのは一部の委員だけとすることになっていた。
 大統領は、事務局長も指名した。事務局長になったフィリップ・ゼリコーは、コンドリーザ・ライスと共著があり、ブッシュ政権と深いつながりのある人物だった。委員のうち、そのゼリコーとジャミー・ゴアリック委員の2名だけが、高度機密文書への幅広いアクセスを認められた。マックス・クレランド委員(民主党の元上院議員)は、「その決定がまさに9・11委員会の使命そのものを危険にさらした」と告発した。ティモシー・ローマー委員(民主党)も、政府は「9ページの報告書からわずか二つ三つの項目だけしか出そうとしてないので、どんな決定的証拠でも隠せるだろう」と不満を述べた。
 証人喚問にも条件をつけ、大統領自身は宣誓証言をしないことを表明した。その他、さまざまな仕方で、ブッシュ政権は、委員による調査を妨害し、制限し、検閲した。しかし、委員たちは、最初から9・11について政府の公式説明が正しい、テロ攻撃は政府機関や軍等の機能不全のために起こったという前提を疑わなかった。政府高官の共犯はありえないと想定し続けたようで、共犯の可能性を調査するための質問は行なわれなかった。
 委員会の調査報告に対し、犠牲者遺族たちは、委員会が徹底的な調査をしなかったことに対して怒りを表している。

 

(3)アメリカ政府中枢は、事件を前もって知っていた

 

●ライスらの幹部は、嘘をついていた

 

アメリカ政府が、事前にテロ計画を知らなかったと発表したのは、真っ赤な嘘である。ブッシュ政権の幹部は、9・11に起こることを事前に知っていた。

 平成13年(2001)当時、大統領補佐官だったライス現国務長官は、政府高官に対し、9月11日は航空機に乗らないよう、またニューヨークに行かないよう警告していた。サンフランシスコ市長には、事件の8時間前に電話で警告していた。

 9・11の約1ヶ月前、8月6日のブッシュ大統領のための情報概況報告日誌に、イギリス情報部が提供したメモが書かれていた。この警告は、アルカーイダが複数の飛行機のハイジャックを伴うアメリカへの攻撃を計画しているというものだった。ライス補佐官は、この日誌を大統領に提出していた。題名は「ビンラディンがアメリカへの攻撃を決定」。ビンラディンがWTCを狙っており、飛行機をハイジャックする計画であることがその報告に書かれている。ライスは、9・11独立調査委員会では、そういう内容は書いていないと言っていた。しかし、翌年8月4日に情報開示されたことで、嘘をついていたことが明らかになった。

ブッシュ政権の幹部は、事前に計画を知っていた。知ってそれを阻止しようとしたのであれば、事前に察知して、阻止しようとしたが失敗してしまったと発表すればよい。そして、真相解明に徹底的に取り組めばよい。ところが、知っていながらそれを阻止しようとした形跡がない。

ブッシュ政権の高官は、米国へのテロ攻撃の武器として飛行機が使われる可能性を思いつかなかったと何回も述べている。ところが、そうした可能性は広く知られていた。
 平成5年(1993)、ペンタゴンに委嘱された専門家は、飛行機が国家的象徴となる建物を攻撃するミサイルとして使われる可能性があることを示唆した。平成7年(1995)、フィリピン警察が押収したアルカーイダのコンピュータにテロ攻撃計画のデータが入っていた。計画のひとつは、飛行機をハイジャックして、WTC、ペンタゴン等のような標的に激突させるという内容だった。
 元ドイツの閣僚で、国防省次官だったアンドレアス・フォン・ビューロウは、数分以内で4機の旅客機をハイジャックして、1時間以内に標的に激突させるなどという神業は、CIAの支援なしには考えられないと述べている。NATOを通じてアメリカの防衛体制を知っている氏の発言は、軽々しいものではない。

 アメリカ政府中枢が、テロ攻撃を阻止しようとていないことについては、特にペンタゴンへの攻撃に、それが言える。

 『ファイヤットビル・オブザーバー』誌によると、ラムズフェルド国防長官は、WTC第1ビルに最初の航空機が激突する2分前にテロ攻撃を予言したという。またイギリスの「デイリー・テレグラフ」紙によると、長官は、ペンタゴンへの激突の数分前にも予言したという。

 

 国防総省では、長官のラムズフェルドだけが、事前に事件を知っていたのではない。平成13年(2001)9月24日発行の『ニューズ・ウィーク』誌は、次のように伝えている。事件の2週間前から、ペンタゴンは緊急体制を敷いていた。前日の10日には、国防総省の高官たちは「保安上の懸念」から、突然飛行機の予約をキャンセルした。11日当日の朝の便を予約していた職員も全員キャンセルした、と。

 

●当日のブッシュ大統領の行動は、不自然すぎる

 

 ライスは、事件の約1ヶ月前、8月6日付でブッシュ大統領に大統領日報を提出していた。題名は「ビンラディンがアメリカへの攻撃を決定」。ビンラディンがWTCを狙っており、飛行機をハイジャックする計画であることがその報告に書かれている。ライスは、9・11独立調査委員会では、そういう内容は書いていないと言っていた。しかし、翌年8月4日に情報開示されたことで、嘘をついていたことが明らかになった。

 

 ブッシュ大統領は、9・11の事件の時、フロリダにいた。事件勃発後、現地の小学校にいた大統領は、側近からテロ攻撃について報告を受けた。これだけの大事件であれば、大統領は、まず身の安全を確保し、その上で速やかに指示・命令を出すのが、危機管理上の鉄則だろう。しかし、ブッシュはその場所に20分間居続けた。その行動に疑問が出ている。すぐ避難しなかったのは、テロ攻撃が自分には向けられていないことを大統領が知っていたからではないかという疑問である。

 ブッシュ大統領は、後日の記者会見で、奇妙なことを言った。自分はテロ攻撃を「小学校のテレビで見た」「航空機が最初のビルに飛び込んでいくのが見えた」と言うのである。しかし、その時点では、WTCに激突した1機目の航空機の映像は、公開されていなかった。テレビで放映されていない段階である。どうして、ブッシュはそういう映像を見たと言ったのか。それとも、まったくの記憶ちがいか。

 少なくともブッシュ大統領は、ライス補佐官から、ビンラディンがWTCを狙っており、飛行機をハイジャックする計画であることを知らされていた。9月10日から11日にかけて、特別に警戒すべき状況にあることは、理解していたに違いない。

 

ブッシュ大統領は、9・11当日、フロリダ州サラソタの小学校を訪問することになっていた。公式説明のひとつによると、大統領は9時少し前に、小学校に到着してはじめて、飛行機がWTCの第1ビルに激突したことを知らされた。ライス補佐官から電話で状況についての最新情報を得たという。ライスは当然、他にも飛行機がハイジャックされたことを伝えただろう。大統領はアメリカ軍の最高司令官として、他にハイジャックされた飛行機はないか、軍に撃墜準備ができているか等をたずね、指揮をとるべきところである。
 しかし、大統領は小学校の校長に、WTCに旅客機が激突したが小学生たちの本の朗読を続けようと言って、予定通り学級参観や写真撮影を行った。ハイジャックされた飛行機がまだ何をするかわからない危機的状況におけるこの大統領の行動が不審をかっている。しかも大統領は、WTC第1ビルに激突した飛行機以外に二機がハイジャックされていることに気づいていないという印象を与えた。

 大統領は、WTC第2ビルが攻撃されたと知らされた後で、アメリカが史上最大のテロ攻撃を受けていることを聞いて驚くという、最高指揮官らしい振る舞いをしなかった。
 自国がテロ攻撃を受けたと知ったら驚くとともにあらゆる予定を変更して、緊急対応をするのが、国家最高指導者の責務だろう。ところが、ブッシュ大統領は小学校の教室に居続けてで、子供たちが山羊さんの話を読むのを聴き、冗談を言い、笑い、教育政策について語った。その時間に、WTCでは多くの人が火災や崩壊によって死亡していった。大統領の行動はあまりにも、事件に対して無関心であり、無責任である。
 実際には、大統領のシークレットサービス(大統領護衛官)は、最初の旅客機がWTC第1ビルに激突した後、1分以内にそのことを知り、大統領に伝えていただろう。ところがその後、約1時間にわたり、大統領は、自分がテロ攻撃の標的になっているのではないかという恐怖を表さなかった。側近も大統領を防護しようという行動を起こさなかった。そして、一行は大統領専用機エアフォース・ワンに乗り込んで、ワシントンに戻った。この時も、専用機は戦闘機の護衛をつけずにアメリカの空を飛んだ。
 上記のような大統領の奇妙な行動は、大統領とシークレットサービスが、大統領はテロ攻撃の標的ではないことを知っていたからではないかという疑いを生む。それとともに、9・11は、政府中枢が事前に計画内容を知っていたか、計画そのものに関与した事件だったのではないかという疑いと結びつく。

 

(4)チェイニーはペンタゴンを攻撃させ、ペンシルバニアでは撃墜を命じた

 

●チェイニー副大統領は、ペンタゴン攻撃を止めなかった

 

 私は、ブッシュ政権の幹部のうち、テロ攻撃に直接最も深く関わったのは、チェイニー副大統領ではないかと考える。そう考えられる複数の証言がある。

 これは、9・11独立調査委員会で、ノーマン・ミネタ運輸長官が証言したものである。

 「9・11当日の9時20分ごろ、ホワイトハウスの大統領緊急作戦センターに向かった。そこでは、チェイニー副大統領は指揮をしていた。航空機がペンタゴンに向かっている間、若い男性が入ってきて副大統領にこう言ったと思う。

 『(航空機がペンタゴンの)50マイル先です』『30マイル先です』と。そして、『10マイル先です』となったとき、その若い男性は副大統領に、『命令はまだ有効ですか』と訊ねた。すると副大統領は振り向き、首を激しく振ってこう言った。『もちろん有効だ。何か違うことでも聞いているのかね』と。

 その命令とは、明らかに『スクランブルをかけないように』という内容だったと思う。なぜなら、その航空機は50マイル、30マイル、10マイルそれぞれ離れた位置で確認されており、それでもなお迎撃されなかったからだ。宣誓した上での尋問、さらには副大統領の弾劾によって答えが出るだろう」

 9・11独立調査委員会は、報告書にこの証言を掲載していない。また、ミネタ長官の証言を録画したビデオも、調査委員会のサイトから削除されている。

 調査委員会がすべきことは、委員会にチェイニー副大統領を呼んで、尋問することである。記録を削除することではない。チェイニー副大統領は、ミネタ長官の証言が誤りだと思うならば、正々堂々、積極的にそれを否定する発言をすべきである。それをしないということは、ミネタ長官の証言は、事実を伝える内部告発であって、ブッシュ政権は、その証言は都合が悪いからもみ消した。そう見られても仕方がない。

 

 チェイニーは、ペンタゴンに飛行物体が近づいているのを知りながら、米軍に戦闘機の緊急発進を命じなかった。あるいは、緊急発進をするな、という命令を変更しなかった。

●チェイニーはペンシルバニアでの撃墜を指示した

 

次の証言は、ペンシルバニア州ピッツバーグ郊外での飛行機の「墜落」に関する証言である。

9・11の当日、通常の迎撃態勢が取られず、WTCに2機、ペンタゴンに1機の飛行物体が激突した。この間、空軍機は発進していない。WTC第1ビルに最初の激突があったのは、8時46分。実にそれから1時間以上もたった9時56分過ぎになって初めて、ハイジャックされたいかなる飛行機も撃墜せよという命令が出された。3機目が突入したペンタゴンの破壊が9時38分ころゆえ、それよりも後である。この最終命令が出された後、軍事顧問がチェイニー副大統領に次のように言ったと報道されている。(『USAトゥデイ』『ワシントン・ポスト』等)

「飛行機は80マイル先にいます。その空域に戦闘機がいます。撃墜すべきですか」。チェイニーは答えた。「そうしてくれ」。F16が93便を追跡し、接近した。軍事顧問は、撃墜するかどうか2回確認を求めた。チェイニーに2回とも、「そうだ」と答えた。
 チェイニーは、ミネタ運輸長官が証言しているペンタゴン攻撃の際にも、緊急発進をしなくてよいという趣旨の了解をしている。9月11日は、米軍に通常の対応措置を行わないようにという命令が出ていたとしか考えられない。ニューヨークとワシントンを無防備にすることになる警戒態勢解除の命令が出されていたのだろう。国防上、絶対にありえない命令である。それを出しうるのは、米軍の最高司令部以外にはない。最高司令部には、ブッシュ大統領、チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、統合参謀本部議長代理だった空軍のマイヤーズ将軍が含まれる。なかでもチェイニー副大統領も、警戒解除命令に関与したに違いない。彼はペンタゴンに飛行物体が接近している緊急事態において、戦闘機の発進・迎撃を命じなかったのだからである。

このことを合わせ見ると、チェイニーは、9・11の事件の際、ワシントンで米空軍に直接命令を出す最高位の立場にあり、彼の意思でペンタゴンへの攻撃は黙認され、ペンシルバニアでは旅客機が撃墜されたことがわかる。ブッシュ大統領は、フロリダを訪問中だったから、副大統領のチェイニーが総指揮を取っていたのである。

ちなみにチェイニーは、湾岸戦争のときなど、国防長官として指揮を執って戦勝に導いた経験もあり、軍事を知り尽くしている人物である。私がチェイニーの関与が最も深いのではと思うのは、そのことにもよっている。

 

(5)「21世紀の真珠湾」が待望されていた

 

●「21世紀の真珠湾」とネオコンのプロジェクト

 9・11の攻撃は、アメリカ国民の愛国心を目覚めさせ、真珠湾攻撃を受けと時と似たような反応を引き起こした。
 ブッシュ大統領は、9月11日の夜、就寝前に、日記に「今日、21世紀の真珠湾が起こった」と書いた。
 この「21世紀の真珠湾」という言葉は、ブッシュの思いつきではない。

 ネオコンのシンクタンクの一つである「アメリカ新世紀プロジェクト」(PNAC、ピーナック)は、平成12年(2000)9月、つまり9・11の1年前に、『アメリカ防衛の再建〜新しい世紀のための戦略・力・資源』という出版物を刊行した。この文書に「ニュー・パールハーバー(新しい真珠湾攻撃)」という表現が登場する。ブッシュ大統領は、この文書を読んでいたはずであり、その著者たちから「ニュー・パールハーバー」という言葉を聴いてもいただろう。
 『アメリカ防衛の再建』は、軍事費の大幅な増加、国土安全保障局の設立、中東軍事基地の建設、宇宙の軍事化による軍事技術の革新など多岐にわたる提言をしている。そしてアメリカ政府に「軍事革命(RMA)の完遂」を求めている。この革命は、パクス・アメリカーナ、すなわち「アメリカの平和」を、より効果的に確立するための革命である。すなわち、アメリカが世界的な覇権を確立するために、抜本的な戦略転換を呼びかけるのが、『アメリカ防衛の再建』という文書である。

 著者たちは、次のように書いている。「変革のプロセスは、たとえそれが革命的な変化をもたらすものだとしても、新しい真珠湾攻撃のような何か破局的で世論を刺激する触媒的な出来事がない限り、長い時間を要するだろう」と。
 言い換えると、もし新たな真珠湾攻撃のような事件が起これば、軍事革命がもっと迅速に完遂できるという予測である。なぜなら、必要な巨額の予算を得ることができるからである。」
 オーストラリアのジャーナリスト、ジョン・ピルジャーは「9・11の攻撃は、その新しい真珠湾攻撃なるものを提供した」と書いている。

 『アメリカ防衛の再建』を刊行したPNACは、ブッシュ政権に参画する事になる多くの人々によって結成されたものである。そのなかには、ディック・チェイニー(副大統領)、ドナルド・ラムズフェルド(国防長官)、ポール・ウォルフォウイッツ(国防副長官)、ルイス・“スクーター”・リビー(チェイニーの首席補佐官)らがいた。言わば、こういう戦略思想・軍事政策を持った一団がブッシュ政権の中枢となり、9・11以後のアメリカの世界政策を進めているのである。

●アフガン戦争及びイラク戦争は、早くから計画されていた

 『アメリカ防衛の再建』は、イラクに対する戦争が、アフガニスタンに対する戦争と同様、9・11より前に、アメリカ政府高官によって計画されていたことを裏付ける。
 イラク戦争は、サッダーム・フセインを排除し、イラクを民主化することを真の目的とするものだったのか。『アメリカ防衛の再建』は、次のように述べている。
 「アメリカは何十年もの間、ペルシャ湾岸地域の安全保障にもっと恒久的な役割を果すことを求めてきた。未解決のイラクとの紛争は、当面の正当性を提供するものであるが、サッダーム・フセイン体制の問題は湾岸におけるアメリカの確固とした軍事的プレゼンス(存在)の必要性に比べればとるに足らないものである。」
 ブッシュ政権の中枢メンバーは、9・11の1年前に、PNACの出版物で、サッダーム・フセイン政権を転覆する目的を公言していたのである。彼らの主な関心事は、「湾岸におけるアメリカの確固とした軍事的プレゼンスを獲得すること」であって、フセイン体制の打倒は、そのために当面の口実を提供したにすぎないのである。

 『アメリカ防衛の再建』の様々な構想は、中東・ユーラシアにおける石油・資源の確保という目的と結びついて、ブッシュ政権の9・11以後の世界政策に、主要なテーマを提供したと考えられる。この文書は、米軍の望ましい再編が「新しい真珠湾攻撃のような何か破局的で世論を刺激する触媒的な出来事がない限り、長い時間を要するだろう」と記している。そして、この文書の著者たちは、文書刊行後、間もなくブッシュ政権の高官に就任し、彼らの構想を実現する好機を得た。それが、9・11だったのである。
 平成15年(2003)9月、『ガーディアン』紙に、イギリスの元環境大臣マイケル・ミーチャーは、「9・11はPNACの計画を実行に移すうえで、きわめて都合のいい口実を提供した」と書いた。この記事は、大きな反響を巻き起こした。実際、9・11の攻撃は、アメリカの軍事費の増大を要求するのに格好の機会となった。
 ブッシュ政権の中枢メンバーは、政権に入る前から「新しい真珠湾攻撃」を願望していた。そして、ブッシュ大統領自身によって「21世紀の真珠湾」と呼ばれたこの事件は、予測可能な多くの利益をもたらした。そのことが、政府高官の共犯の動機と想定できるだろう。

 ところで、アメリカでは、9・11を真珠湾攻撃にたとえる表現が多く使われている。このたとえは、注意を要する。真珠湾攻撃の場合、ルーズベルト大統領は、日本軍の攻撃を事前に知っていて、ハワイを攻撃させ、それをきっかけに国民を報復戦争に駆り立てた。この場合、アメリカを攻撃したのは、国外の勢力である。これは、9・11で言えば、黙認利用説にあたる。
 ただし、真珠湾攻撃は、日本という国家がアメリカを攻撃したものであり、国家による宣戦布告を伴う。9・11は、テロリストによる自爆テロとされており、国家間の戦いとは違う。わが国の兵士による特攻とも違う戦時国際法無視のテロ攻撃である。

 これに対し、9・11に政府の関与を推測する利用加担説、政府共犯説、自作自演説は、政府が外国勢力によるものと見せかけて、自国民や在米の外国人を無差別攻撃し、それに対して報復を呼びかけ、自国民や他国民を戦争に引き込んだ可能性を提示する。もしそれが事実であれば、9・11は歴史上、類例のない巨大な権力犯罪となるだろう。

 

(6)FBIは捜査官の捜査を妨害した

 

●FBI本部は事前に計画を知っていた

 

FBIが9・11攻撃についての事前情報をもっていたに違いないことを明かす事実がいくつかある。
 ペンタゴンへの向かい側には、軍専用のガソリンスタンドがある。ペンタゴンに飛行物体が激突後、数分以内にFBIはそのガソリンスタンドに到着し、監視カメラから記録映像を押収した。この速さは、事前に押収が計画され、カメラのある場所を調査し、現場の地図、人員・車両等を準備していたことを物語る。
 9・11の4日後、ハイジャック犯の多くが米軍の施設で飛行訓練を受けていたことが知られた。これが知られる以前、9・11の事件発生の18時間後、FBIの捜査官が、ハイジャック犯が訓練を受けたフロリダ州ベニスにある二つの飛行学校に来て、学生名簿を抜き取っていった。FBIは政府が発表する犯人が以前訓練を受けた学校を事前に調べてあり、事実を隠蔽しようとしたものだろう。
 デヴィッド・スキッパーズ弁護士は、9月13日、アシュクロフト司法長官にFBI捜査官から入手した情報に基づくマンハッタン攻撃計画について、その6週間前に警告したと公言した。スキッパーズは、FBIの捜査官たちには攻撃の日時・標的・犯人の名前等がわかっていたが、FBIがその捜査を妨害し、この情報を公開したら捜査官たちを訴追すると脅迫していたとも主張した。保守系雑誌『ニューアメリカン』は、3人の捜査官にインタビューして、彼らが「スキッパーズに提供した情報は、9月11日以前からFBIのなかでは広く知られていたものだった」と述べた記事を掲載した。
 これらのことなどから、FBIは、事件の数ヶ月前から、攻撃計画について相当具体的な情報を得ていたことが確実である。その情報は当然、政府の中枢へ、そして大統領へと上がっただろう。

●捜査妨害が各地で告発されている

 

ミネソタ、ニューヨーク、シカゴ等のFBI捜査官から、テロ計画を解明できたかもしれない捜査を、FBI本部に妨害されたという告発が上がっている。
 9・11の前月、ミネアポリスの飛行学校のスタッフが、同校で訓練を受けているザカリアス・ムサウィはボーイング747を武器として使おうとしている疑いがある、とFBI事務所に連絡した。FBI捜査官はムサウィを逮捕し、FBI本部に彼のコンピュータを調査する捜査令状を請求した。ところが、本部はこれに応じず、請求を上げることを阻止された。
 平成10年(1998)、FBIの捜査官ロバート・ライトは、米国大使館爆破事件に使われた資金がシカゴに住む
サウディアラビアの百万長者から来たかもしれないと疑って、シカゴのテロリスト組織を追跡した。しかし、上司から捜査を妨害されたり、脅されたりし、平成13年(2001)に入ると捜査を打ち切られた。ライトはこの事情を本に書いて出版しようとしたが、FBIは許可しなかった。
 9・11の3週間ほど前になる8月21日、ニューヨークのFBI事務所は、ハリド・アルミドハルが米海軍コール号の爆破事件に関与しているに違いないと考えて、FBI本部に犯罪捜査の着手を許可するよう求めた。ところが、本部は、この要請を却下した。
 このようにFBI本部は、9・11の攻撃を防ぎ得たかもしれない捜査を妨害したとして、内部告発されている。ミネアポリスのFBI事務所の捜査官たちは、捜査を阻止した本部の職員は「オサマ・ビンラディンのために働いているスパイか二重スパイに違いない」と冗談を言った。シカゴで捜査妨害を受けたライトは、「9・11はFBIの国際テロ部門が無能力だったために招いた直接の結果だ」と語った。シカゴの連邦検察官マーク・フレスナーは、「司法省やFBI内部に私より大きな力があって、刑事事件の立憲をさせなかった」と述べている。あるニューヨ−クのFBI捜査官は、FBIの国家安全保障法部門の責任を指摘し、「オサマ・ビンラディンは彼らによって最大の保護を受けている」と欲求不満を表している。
 対テロ専門家のジョン・オニールは、アメリカ政府で「オサマ・ビンラディンと彼のアルカーイダ・テロ・ネットワークの最も献身的な追跡者」と言われていた。平成13年(2001)8月22日にFBIを辞職したオニールは、アルカーイダ調査に対し、上層部から度重なる妨害を受けた、と言及している。
 DIA(国防情報局)のエージェントであるジュリー・シアーズは、平成13年(2001)にアフガニスタンに旅行し、北部同盟の指導者アーメド・マスードに会った。その後、オサマ・ビンラディンがマスードを暗殺しようとしているという証拠を含む情報を、アメリカに持ち帰った。空港で彼女は荷物を押収され、その後、DIAとFBIの尋問を受けた。その後、彼女は最後には、辞職に追い込まれた。
 アーメド・マスードは、9・11の直前、9月9日にISIによって暗殺された。彼の存在は、アメリカのアフガン攻撃計画の邪魔になっていたのだろう。ISIの部長マームード・アーマド将軍は、9月4日から18日まで、アメリカに滞在した。9・11の前後である。マスードの暗殺は、アーマド将軍がCIAジョージ・テネット長官等の政府高官と会談した後に行われた。ISIによるマスード暗殺の背後に、CIAがあることは想像に難くない。

 こうした情報機関における捜査妨害は、9・11の後も続いた。トルコ系の女性シベル・エドモンズは、FBIに翻訳の仕事で雇われていた。9・11の少し後、エドモンズは、自分と同様に翻訳のために雇われた同僚の一人キャン・ディッカーソンが、9・11についての捜査を妨害しているスパイだ、とFBIに報告した。FBIは彼女に対し、内部告発を続けると、彼女の親戚が危うくなる、と脅された。エドモンズが司法省に苦情を申し立てると、FBIから解雇された。このことで彼女が提訴すると、アシュクロフト司法長官は、FBIのミューラー長官の要望を受けて、判事に提訴を却下するよう求めた。
 エドモンズは、平成14年(2002)に9・11の犠牲者の遺族、約600家族がサウディアラビア政府とサウディの数人の要人を相手に損害賠償を求めた民事訴訟で証言するために召喚された。アシュクロフトは、法廷に圧力をかけて、この召喚をつぶし、エドモンズの情報開示を阻止した。
 このことによって、FBIは9・11以後も、積極的に捜査を妨害していることがわかる。これはFBI単独の判断ではあるまい。ミューラー長官の上には、政府の中枢がいる。上の意思が強く働いていると想定できよう。

●大失態でも解雇されず、昇進した者さえいる

 9・11は、政府にとっても軍にとっても、大失態であったはずである。ところが、国防総省や空軍幹部は、誰もこの事件の責任を追求されていない。普通なら、降格とか解任に当たる問題だろう。責任を追及する報告書は、提出されていないとのことである。

 処分がされていないのは、命令に違反した者はおらず、政府中枢からの命令に従って行動したからではないか。

 

FBIが、9・11の発生を許したことは、重大な失敗である。ところが、FBI本部の高官で解雇やそのほかの処罰を受けた者はなく、逆に何人かは昇進している。CIAなどのほかの情報機関でも、9・11に関連して無能力を理由とした処罰はなかった。このことと、9・11に関連した捜査を熱心に行おうとした情報機関員が上司から否定的な扱いを受けたという事実と、強い対照を成している。
 そのほかの政府機関、軍においても、9・11における職務怠慢等によって処罰されたという発表はない。FAA(連邦航空庁)、FBI、CIA、DIA、NSA(国家安全保障局)、司法省、ホワイトハウス、NOARD、ペンタゴン、米軍一般に務める者が処罰されたという報道はない。彼らは無能力でも不作為でもなく、むしろ、上の命令に従って行動したのだろう。

(7)CIAとISI、そしてオサマとの濃厚な関係

 

●9・11では、パキスタンの情報機関が工作している

 

9・11には、パキスタンの統合情報部(ISI)が関与している。CIAとISIは、1980年代から密接な関係を保っている。旧ソ連がアフガニスタンに侵攻していた時、CIAはソ連軍に対抗するため、ISIを通じて工作を行った。現在では、ISIはパキスタンの「見えない政府」と言われる存在となっている。
 9・11にISIがかかわっていることが発覚した。ISIのエージェントであるサイード・シェイクが、事件の首謀者とされるモハメド・アタの銀行口座に、10万ドル電子送金していたことが明らかになったのである。シェイクは、アタへの送金をISI長官マームード・アーマド将軍の指示で行っていた。アーマド将軍は、ほかにも北部同盟の指導者アーメド・マスードの暗殺、オサマのパキスタンへの逃亡幇助などに関わっている可能性が高い。
 シェイクは、『ウォールストリート・ジャーナル』誌の記者ダニエル・パールの殺害にも関与していた。パールは、パキスタンで過激派に関する調査を行っているとき、誘拐され殺害された。
 平成14年(202)パウエル国務長官は、パールの殺害とISIの幹部の間につながりはないと宣言した。『ガーディアン』誌は、パウエルの否認はショッキングだ、と述べた。圧倒的な証拠があるにもかかわらず、ISIとの関係を否定するアメリカ政府の姿勢は、疑惑を深めている。

アルカーイダの背後にはISIがある。ISIはCIAと深くつながっている。この関係を明らかにしようとする者は、生命の危険にさらされる。この部分の解明に踏み込むことができなければ、9・11の真相の全貌は明らかにならないだろう。

それにしてもパキスタンという国は、わかりにくい国である。パキスタンは、中国の技術援助で核兵器を開発・保有した。研究の中心となったカーン博士のグループが、北朝鮮やアラブ、アフリカの国に核の技術を提供する闇のルートがあるという。そういう国でありながら、一方で「見えない政府」とまで言われるISIは、CIAやアルカーイダとつながっている。中国・北朝鮮・テロリストにも、CIA・アルカーイダともつながっているというところに、したたかな生き様を感じさせるのである。

 

●アメリカはオサマを捕まえず、逃走させてさえいる

 

9月11日以降の「ビンラディン狩り」の間、オサマとアルカーイダは、繰り返し逃亡を見逃されている。
 アフガニスタンの首都カブールの多くの住民によると、9・11の後の11月上旬のある晩、アルカーイダの隊列が画期的な逃走をした。少なくとも1000台の自動車とトラックの隊列だった。衛星システムを持つアメリカが、これに気づかぬわけはない。アメリカの情報分析官は、オサマたちは国境を越えて逃げようとしていると結論した。しかし、アメリカの中央軍司令部は、彼らの逃走を阻止するための行動を起こさなかった。
 あるアフガニスタンの情報部員は、アメリカが一番はっきりしている脱出経路を遮断するために兵力を配置しなかったことに驚いたと語った。米軍がタリバンとアルカーイダを三方面からだけしか包囲せず、パキスタンへの退路を空けておいたことにショックを受けた、と戦闘の目撃者たちは語った。
 米軍の特殊部隊のある兵士は、11月28日、オサマ・ビンラディンがいると考えられている地域へ2機のヘリコプターが飛んで行き、乗客を乗せてパキスタン方面に飛び去るのを見た、と証言している。
 『ニューズ・ウィーク』誌は、多くのトラボラ住民が「奇妙な黒いヘリコプターがやってきて、夜間に山の上を低空飛行し、アルカーイダの最高指導者たちを乗せていった」と主張した、と報じている。12月下旬、アフガニスタンの内務大臣ユニス・カノーニは、ISIがアフガニスタンからオサマが逃げるのを助けたと主張した。
 アメリカ政府中枢とオサマ・ビンラディンの共犯説や、オサマはCIAのエージェントだという説、オサマの死亡・替え玉説、ブッシュ政権とサウディアラビアのビンラディン家とパキスタン統合情報部(ISI)の共謀説など、さまざまな説があるのは、アメリカがオサマを捕まえず、逃がしているという情報がいくつもあることにもよっている。
 9・11の謎は、こうしてオサマ・ビンラディンの謎、そしてアメリカ及びブッシュ政権の謎へとつながっている。

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第4章 関与したとすれば、目的は何か

 

●政府関与の場合、目的は何か

 

 もしブッシュ政権の首脳陣が、9・11のテロを利用して破壊活動に加担したか、テロリストと共同謀議をしたか、あるいはテロを装って自作自演したとすれば、何のためにそうしたのだろうか。一体、目的は何か。

 政府が攻撃に関与したという見方に立てば、9・11以後、ブッシュ大統領の挙げた「テロリズムとの戦争」という訴えは、まったくおかしなことになる。当時もイスラム教のテロリストは、世界各地で活動していた。アメリカにとって、テロは脅威であり、深刻な問題だった。しかし、9・11の事件に限っては、純粋にテロリストによる攻撃なのではない。テロリストの計画や行動や組織を利用して、むしろアメリカ政府自身がアメリカの国民と政府施設を攻撃した史上前例のない策略だったと考えられる。それをすべてテロリストによる攻撃だと主張し、報復のためにと戦争を起こしたのが、ブッシュ政権である。

 

 戦争目的は、オサマ・ビンラディンを庇護するタリバンが活動の本拠としているアフガニスタンに侵攻すること。そして、テロの首領を捕らえ、テロリストの巣窟を撃つこと。続いて、イラクが大量破壊兵器を保有・提供し、テロリストが核兵器を使用する可能性があるので、先制攻撃でこれを防ぐこと。そして、中東諸国に自由とデモクラシーを実現すること。

 しかし、9・11をきっかけとした戦争は、表向きの目的とは、異なる目的を秘めている。テロ攻撃への報復という目的は、この別の目的を隠し、偽装する役割をする。むしろその目的を達成するために、いかなる手段をとっても、中東に侵攻する口実を得る必要があったところに、9・11は計画されたと考えざるを得ない。

 

 考えられる目的は、六つある。

 

@石油・天然ガスの確保

Aアメリカ=イスラエル連合の安全保障の強化

B戦争による特需の創出

Cドル基軸通貨体制の維持

D麻薬利権の取り戻し

E宇宙空間の軍事化による地球支配

 

(1)石油・天然ガスの確保

 

●中東とユーラシアの資源

 

 第一の目的とは、中東とユーラシアの石油・天然ガスの確保である。 

20世紀末から、世界の石油の需要は、飛躍的に増えている。平成5年(1993)から平成27年(2015)までに、世界の石油消費量が倍増することが予想されている。そのほとんどは急速な発展を遂げている東アジアで起こると考えられている。この需要を満たすため、欧米の石油メジャーは、膨大な埋蔵量を誇る中東及びユーラシアの石油・資源を支配することが、焦眉の急となっている。アメリカ国内の石油も、あと11年で枯渇すると試算されている。

 アメリカの石油メジャーにとって、産油国の政体は、専制体制であれ、民主体制であれ、本質的には、どちらでも構わない。親米であればよい。こう書くとイラク戦争の目的の一つは、イラクの民主化のはずだという反論があるだろう。世界最大の産油国サウディアラビアは、王家や首長による専制体制が敷かれているが、アメリカは一切問題にしていない。サウディは、中東随一の親米国だからである。アメリカにとって、そういう国は、それでよい。自由やデモクラシーや基本的人権など、広める必要はない。大義名分より、石油である。問題は、反米的な国家をどうするかなのである。アメリカの言うことを聞かない国々に、親米的な政権を実現し、石油・天然ガスの利権を得ること。その利権を安定的なものにすること。これが、アメリカの石油メジャーの願望だろう。

 

 なぜブッシュ大統領は、アフガニスタンに侵攻することを宣言したのか。オサマ・ビンラディンがいるから。タリバンが活動しているから。それは確かに理由であるが、もっと重要なことは、資源である。アフガニスタンの北、ロシアのカスピ海沿岸地域には、広大な油田がある。この地域の油田には、中東にまさるほどの石油が埋蔵されているという。

 ロシア、中国などもカスピ海地域の油田を虎視眈々と狙っている。中東とともに、この地域を支配する者が、事実上、世界のエネルギー市場を支配する。ひいては世界の覇権を手にすることになる。

 アメリカが、カスピ海地域のエネルギー資源の利権を獲得するためには、石油の搬出パイプラインをロシアや中国の側に伸ばさずに、アフガニスタンとパキスタンを経由して南下させる必要がある。それには、一つ問題があった。カスピ海地域の石油を既存のパイプラインにつないで送るには、アフガニスタンを押さえる必要があったのである。

 

●パイプライン建設計画がタリバン政権と衝突

 

 アフガニスタンは、地政学的に重要な場所である。そこからはインド、シナ、中東、ロシア等、どちらにでも進むことができる。アジアの東西南北を結ぶ交差点なのである。古くはアレクサンダー大王、ジンギスカンがここを征服して大帝国を築いた。ナポレオンも征服を企てた。19世紀には、大英帝国とロシア帝国が、この地の覇権をめぐって壮大な争奪戦を繰り広げた。

 米ソ冷戦の時代、昭和54年(1979)、ソ連がアフガニスタンに侵攻した。ソ連は、共産主義のイデオロギーのもと、周辺諸国を衛星国とする体制を築いていた。中央アジアでこの体制を守るためには、アフガニスタンを掌中にすることが必須だった。

 ソ連の動きにアメリカが対抗した。CIAがイスラム教の武装抵抗組織タリバンを作って、支援した。宗教的情熱を、アメリカの技術力とサウディアラビアの資金力が支え、戦争は長引いた。アメリカのベトナム戦争にたとえられた。疲弊したソ連は、平成元年(1989)、ついに撤退した。この戦争による経済的負担は、ソ連が崩壊にいたる一つの要因となった。

 もともと地政学的な要所であるアフガニスタンは、20世紀後半、石油・天然ガスを得るためにも、重要な場所となった。ソ連の崩壊後、中心国となったロシアは、ユーラシアの油田に干渉する余力がなく、アメリカは、またとない好機を得た。この時、カスピ海地域の石油を搬送するパイプラインを建設する計画を立てたのが、ユノカル社だった。計画は、アフガニスタンを通ってパキスタンに続く全長2400キロのパイプラインを建設するという壮大なものだった。ユノカル社の顧問を務めていたのが、忍者外交で有名なヘンリー・キッシンジャーである。

 

 ユノカル社の石油利権は、アフガニスタンの政権を取ったタリバンの方針と衝突した。アメリカが育てたタリバンは、反米的な姿勢に変わった。平成10年(1998)2月、ユニカル社の代表は、米下院国際委員会で、パイプラインの建設計画を延期すると発表した。そして、「アフガニスタンの内紛をアメリカの影響力で集結させてほしい」と要望した。

 翌11年(1999)から13年(2001)にかけて、アメリカはアフガニスタンに多額の援助をした。親米政権を確立し、パイプラインの建設を実現するためだ。しかし、埒が明かなかった。そこで報じられたのが、平成13年(2001)10月までにアメリカがアフガニスタンに侵攻するという計画である。だがアメリカ国民の多くは、戦争を望んでいなかった。9月10日、アフガニスタン侵攻計画は、ブッシュ大統領の承認待ちという状態になっていた。

 いわゆる同時多発テロ事件は、その翌日の9月11日に起こったのである。事件後、ブッシュ大統領は、ただちにテロリズムとの戦争を宣言し、10月7日に、アフガニスタンへの爆撃を決行した。アメリカは、瞬く間にアフガニスタンを占領した。反米的なタリバンを追い払い、親米的なハミド・カルザイを大統領の座につけた。これによって、障害が取り除かれ、ユノカル社によるパイプライン建設は再開された。そのユノカル社の顧問を以前にしていたのが、カルザイ大統領だった。すなわちアメリカは、ユノカル社の利権にまみれた傀儡政権を、アフガニスタンに樹立したのである。そして、9・11の後に急遽アフガン侵攻が計画されたのではなく、アフガン侵攻が計画されているところに、9・11が起こったのである。9・11は、攻撃決行に口実を提供したと見るべきだろう。9・11がなければ、アフガン侵攻は正当化されない。9・11は、アフガン侵攻を正当化するには、絶好の出来事だったのである。これを偶然と見るか、策謀と見るか。策謀の可能性を考える人は、9・11が通説とは、まったく違うものとして浮かび上がってくるだろう。

 

●テロリストの攻撃を中東への侵攻に利用か

 

 アフガン侵攻の2年後、アメリカは、イラクに侵攻した。実は、アフガン侵攻同様、イラク侵攻にも事前に計画があった。平成10年(1998)、ネオコンのシンクタンクのひとつであるアメリカ新世紀プロジェクト(PNAC、ピーナック)は、イラクがアメリカとイスラエルへの石油供給を脅かしているとして、イラクとの戦争を主張した。PNACには、ブッシュ政権の首脳陣となるチェイニー、ラムズフェルド、ウォルフォウイッツ、リビーらが参加していた。

ブッシュ大統領は、9・11の前に、イラクの石油目当てに、サッダーム・フセインを追放するための戦争を計画していた。イラクは、石油埋蔵量で世界第2位である。アメリカの計画を知ったフセインは、攻撃をされないように、国連安全保障理事会常任理事国のフランス・ロシア・中国にイラクの石油を売っていた。安保理がイラク攻撃を決議しないように図ったのである。しかし、アメリカは、イラク戦争を開始した。フセインはアルカーイダを支援しており、大量破壊兵器を渡すおそれがある。テロリストが核兵器を持てば、国家が相手と違って抑止力が働かず、防ぎようがない。だから、脅威が感じられる時点で先制攻撃をしなければならないーーこういう理屈で、先制攻撃が正当化された。アメリカは、イラク戦争に戦勝後、フランス・ロシア・中国の石油に関する権利をなくし、イラクの石油利権を独占した。

 ユノカル社が深い関係のある会社に、ハリバートン社がある。ユノカル社は、当時ハリバートン社を含むセントガス社の救済を行なっていた。ハリバートン社は、イラク戦争で軍需関連の仕事を多く受注し、多大な利益を上げるようになった。かつて同社のCEO(最高経営責任者)をしていたのが、チェイニー副大統領である。チェイニーがハリバートン社に仕事をもたらし、チェイニーも利益を得ただろうことは、想像にかたくない。

 このような経緯を知ると、9・11及びアフガニスタン=イラク戦争は、中東及びユーラシアの石油・天然ガスの確保を狙った一連の計画だったという推察が成り立つ。父子とも大統領となったブッシュ家は、テキサスの石油業界をバックに持っている。現ブッシュ政権の中枢は、石油メジャーと関係の深い人物が集まっている。石油メジャーや電力会社等のエネルギー産業、また軍需関連産業や巨大国際金融資本などの共通利益のために、アメリカの政府は、戦略的に動いていると想像される。

 

 アメリカの国民に対し、「石油がほしいから戦争をしたい」とは、言えない。国民に、これは正義の戦争だ、アメリカには戦う使命があると思わせる理由がいる。そこで考え出されたのが、テロリストによるアメリカへの攻撃の利用だったのではないか。

 かつて日本の真珠湾攻撃は、卑劣な不意打ちとされ、「リメンバー・パール・ハーバー」という標語が使われた。ルーズベルト大統領は、欧州での戦争に参入したがっていた。しかし、彼は、戦争に加わらないことを選挙の公約としていた。だから、真珠湾攻撃は事前に知らなかったと偽って、国民が報復と正義のための戦争に立ち上がるように図った。

 9・11は、アメリカが中東に侵攻する口実を得るために利用または計画された。アメリカは、キリスト教国である。イスラム・テロリストとの戦いは、新しい十字軍とイメージされ、国民は熱烈に戦争を支持した。しかし、その戦争の目的の第一は、石油・天然ガスの確保だったと考えられるのである。

 

(2)アメリカ=イスラエル連合の安全保障を強化

 

●ネオコンによるイスラエル擁護政策

 

 次に考えられる第二の目的は、アメリカ=イスラエル連合の安全保障を強化することである。これは、ブッシュ政権の首脳陣には、ネオコンと呼ばれる親イスラエルの軍事強硬論者が集結していたことによる。

 冷戦の終結後、アメリカは世界で唯一の超大国となった。このとき、アメリカの世界的な覇権を確立するために、その圧倒的な軍事力を積極的に使用すべきだという戦略理論が登場した。それが、ネオ・コンサーバティズム(新保守主義)、通称ネオコンである。

 ネオコンの源流は、反スターリン主義的なユダヤ系の左翼知識人である。その一部が第二次世界大戦後、民主党に入党し、最左派グループとなった。彼らは、レーガン大統領がソ連に対抗して軍拡を進め、共産主義を力で克服しようとしたことに共感し、共和党に移った。

 ネオコンは、自由とデモクラシーを人類普遍の価値であるとし、その啓蒙と拡大に努める。西洋近代的な価値観を、西洋文明以外の文明に、力で押し付けるところに、闘争性がある。その点では、戦闘的な自由民主主義と言えるが、そこにユダヤ=キリスト教の世界観が結びつき、イスラエルを擁護するところに、顕著な特徴がある。

 

 ソ連の崩壊後、ネオコンは、アメリカの脅威の源は、共産主義からアラブ諸国とイスラム教過激派に移ったと認識した。アラブ=イスラム教に対する彼らの見解は、イスラエルの強硬派リクードに近いものだった。ネオコンの多くがユダヤ人だったことが、彼らの主張を、親イスラエル的・シオニスト的なものとした。中東においてイスラエルを支持し、アラブ諸国を軍事力で押さえ込み、石油・資源を掌中にし、自由とデモクラシーを移植する。こうした戦略は、アメリカの国益を追求するとともに、イスラエルの国益を擁護するものともなった。

 9・11のいわゆる同時多発テロ事件がなければ、ネオコンの理論は、主流に躍り出ることはなかったかもしれない。9・11は、アメリカ国民に、テロの恐怖を引き起こし、報復への怒りを沸き立たせた。そして、ネオコンの理論を、アメリカが取るべき方針だと国民に思わせた。

 

●イスラエル・ロビーとキリスト教的終末論の影響

 

 ここで重要なのが、イスラエル・ロビーの存在である。アメリカで政府や議会に影響を与える活動をしている団体の最大勢力が、イスラエル・ロビーである。ユダヤ系アメリカ人の一部のほか、非ユダヤ系キリスト教徒も活動している。彼らの活動の目的は、アメリカの外交をイスラエルに有利なものに導くことである。

 イスラエル・ロビーは、豊富な資金を持ち、優秀な頭脳が集まっている。彼らによってイスラエルを批判していると見なされた者は、選挙で落とされる。そのため、いまやアメリカのほとんどの政治家は、共和党・民主党にかかわらず、イスラエル・ロビーの主張に同調したり、イスラエルの外交政策を支持するようになっている。アメリカの国益よりイスラエルの国益を優先することが、自国の国益にもなると考える政治家が多数いるような状態に、なってしまっている。

 ネオコンの親イスラエル的・シオニスト的な戦略が、イスラエル・ロビーの支持するものとなっているのは、言うまでもない。しかし、これをユダヤの陰謀と見るべきではない。ユダヤ系アメリカ人の7割以上は、イラク戦争に反対している。ユダヤ系といっても、ユダヤ教徒だけでなく、キリスト教徒や唯物論者もいる。政治的にも穏健派から過激派まで、多様な意見がある。もともとユダヤ系アメリカ人には、民主党支持者でリベラル(修正自由主義)な思想を持つものが多い。

 

 もう一つ私が重要な働きをしただろうと思うのは、キリスト教的終末論である。キリスト教的終末論とは、人類の滅亡を説くものとは違う。世の終わりに、キリストが再臨し、最後の審判が行われて、救済が実現するというものである。なかでもヨハネの黙示録は、善と悪の最終戦争が行われた後、神が降臨し、正しい者のみが救われ、千年王国が建設されることを、象徴的な表現で描いたものとされる。

 終末論は、キリスト教圏で歴史上、繰り返し高揚した。それが、20世紀から21世紀への世紀の変わり目に再燃した。そして、9・11以後の戦争が、終末論的な最終戦争とイメージされ、善と悪の戦いという構図が生み出された。その戦いを唱導し、指揮している者こそ、ブッシュ子大統領なのである。

 キリスト教的終末論において、特別の意味を持つのが、イスラエルの存在である。終末論的キリスト教徒にとって、イスラエルは絶対に守らなければならない土地である。こうしてユダヤ教の強硬派とキリスト教的終末論が結びつき、アメリカとイスラエルの連合は、不離一体のものとなった。この強力な連合に戦略を与えるものが、ネオコンの理論なのである。

 

●中東にはイスラエル=パレスチナ問題が存在する

 

 西欧や東欧・ロシアのキリスト教徒は、ユダヤ人を迫害してきた。ルターがユダヤ人に激しい憎悪と敵意を表したことは、よく知られている。その伝統の中から生まれた極端な反ユダヤ主義が、ナチスだった。

差別に苦しむユダヤ人の間に、19世紀末から、自らの国家を建設しようという運動が起こった。この運動は、エルサレム地方の古称であるシオンの地に帰る運動なので、シオニズムと呼ばれる。西欧で巨富を築いたロスチャイルド家は、シオニズムを支持し、資金を提供し、政治的影響力を振るった。大正6年(1917)に、当時中東の多くを支配していたイギリスは、パレスチナにおけるユダヤ人国家の建設とその支援を約束するバルフォア宣言を発した。これを受けて、昭和22年(1947)、国連によるパレスチナ分割決議がなされ、23年(1948)に、イスラエルが建国された。

 イスラエルの建国は、ユダヤ人が土地を得て国家を作る権利を実現するものだったが、その土地には、もともと住民がいた。そのため、イスラエルの建国は、パレスチナの住民には大災厄だった。イスラエルは、パレスチナ住民を抑圧し、周辺地域に侵攻して領土を拡張しようとする。これに対し、アラブ諸国は強い憤りを表す。このイスラエル=パレスチナ問題が、中東紛争の最大の要因となっている。

 

 戦後中東では、数次にわたって戦争が起こった。中東は、まさに世界の焦点となっている。中東の和平が世界平和の鍵である。イスラエルとパレスチナ及びアラブ諸国との間に融和をもたらすことが、国際社会の安定には不可欠である。昭和42年(1967)の第三次中東戦争以後、アメリカはイスラエルとの関係を深め、イスラエル・ロビーの活動が、外交政策に影響を与えてきた。戦後アメリカの大統領の中で、中東和平の実現に最も努力したのは、ジミー・カーターだった。しかし、1980年代以降のアメリカは、公平な仲介者ではなく、明らかにイスラエルの側に立ってきた。

今日、イスラエルが核兵器を保有していることは半公然の事実である。イスラエルは、約200発の核兵器を持つと見られており、中東諸国の中では、圧倒的な軍事力を誇っている。アメリカは、イスラエルの核保有を追認しており、イスラエルに対しては、制裁を行なおうとはしない。その一方、イラクやイランの核開発は、認めない。明らかにダブル・スタンダードを使っている。イスラエルが自由とデモクラシーの国であり、アメリカと価値観を共有しているというのが、その理由だろうが、核の問題は別個である。アラブ諸国の核開発は認めないが、イスラエルの保有は擁護するというのでは、ムスリム(イスラム教徒)が反発するのは、当然である。

 オサマ・ビンラディンは、サウディアラビアの王族の一員だが、イスラエルがパレスチナ住民を虐げていることに憤り、アメリカがそのイスラエルを支持していることへの怒りが、彼の反米活動の源泉であることを公言している。ムスリムによる過激なテロの背景には、イスラエル=パレスチナ問題が存在する。

 

●戦後世界に歪みをもたらしているホロコースト説

 

 イスラエルの建国は、西欧において迫害を受けてきたユダヤ人に、住む土地を与えて、自らの国を作る権利を認めたものだった。ユダヤ人の多くは、イスラエルの建国を正当化するために、ナチスによるユダヤ人大虐殺を語る。しかし、だからと言って、イスラエルによるパレスチナ住民への抑圧が正当化されるものではない。

 ナチスによって、600万人のユダヤ人が、民族絶滅の方針のもと、強制収容所のガス室で計画的に大量虐殺されたという説は、ホロコースト説と呼ばれる。それが、歴史的事実とされている。確かにナチスは、ユダヤ人の虐待を行い、多数のユダヤ人が死亡した。その非人道的な行いは、断じて許されるものではない。しかし、ホロコースト説には、実証的な批判が多く出されている。

 それによると、犠牲者が600万人というのは、過大な数字である。民族絶滅の方針があった証拠は見つかっていない。存在したのは東方への強制移住計画である。アウシュヴィッツなどのいわゆる「ガス室」は、人間を毒ガスで多数殺せるような構造になっていない。サイクロンBの青酸ガスは、シラミ等の消毒用であって、人間を多数殺すことはできない。大量の死者が出た原因は、チフスの流行である等が主張されている。ホロコースト説を批判する者には、ユダヤ人も多くいる。収容所からの生還者やレジスタンスでナチスと戦った勇士もいる。医者や毒ガスの専門家などもいる。

 ところが、ユダヤ教の過激派は、通説を批判する者に、反ユダヤ主義者・ネオナチなどのレッテルを貼り、言論や表現に圧力が加えられる。ちなみに私は、ヒットラーの野望を見抜き、日独伊三国同盟の締結に強く反対した大塚寛一先生を深く尊敬している。ユダヤ人を組織的に虐待していたドイツと提携した昭和戦前期のわが国の指導層は、日本精神から外れていた、と私は考えている。

 

 戦後ホロコースト説は、イスラエル建国の正当性を証し、イスラエルへの支持を集めるために、不可欠のものとして機能してきた。欧米社会でユダヤ人が活動する際、ホロコーストを語ることは、彼らの活動への批判を封じる決まり手となっている。それと同時に、第2次世界大戦の勝者として、長く世界を二分支配したアメリカとソ連にとっても、ホロコースト説は有効だったと思われる。米ソがドイツを押さえ込むには、いかにナチスがユダヤ人に残忍なことをしたかを強調することが有効だった。また、ソ連は、ポーランド、チェコスロバキア等の東欧諸国に対し、ナチスの支配から解放したことを、共産主義体制の正当性の根拠とできたのである。

 そのため、ホロコースト説は、戦後の世界秩序において、疑うべからざるドグマの一つとなった。しかし、歴史の真相を探る実証的な研究は、排除されてはならない。それなくして、戦後世界の歪みを正し、中東に和平をもたらすことはできないだろう。

 ナチスのユダヤ人虐待は、決して忘れられてはならない。それととともに、現在のイスラエルのパレスチナ住民への抑圧も、見逃されてはならない。イスラエルの側に一方的について、中東問題に介入するならば、対立・抗争を助長するばかりである。ところが、それをやってしまったのが、ブッシュ子政権であり、ネオコンである。9・11及びアフガニスタン=イラク戦争の目的の一つには、アメリカ=イスラエル連合の安全保障の強化を図ることがあった。しかし、そのための計画・行動が、かえってアラブ諸国・イスラム教過激派との対立・抗争を激化させてしまったのである。

 

(3)戦争による特需の創出

 

●戦争は儲かるビジネス

 

 ブッシュ政権は、いかなる手段をとっても、中東に侵攻する口実を得る必要があった。そこで9・11のいわゆるテロ攻撃を利用して加担、共同謀議または自作自演したと考えざるを得ない。背後にあった目的として、次ぎに戦争による特需の創出を挙げたい。

 戦争は、破壊である。破壊をするためには、兵器を使用し、弾薬を消費しなければならない。兵隊を動かすには、エネルギーや食糧や様々な物資を消費する。消費は、需要を生み出す。政府は、民間企業に多くの発注をする。軍需産業にとっては、戦争は最高のビジネス・チャンスとなる。

 

 第2次大戦を経て、アメリカはイギリスを超える大国となった。アメリカには、ソ連による世界の共産化を防ぎ、自由とデモクラシーを守る使命があった。そのため、軍事力を増強し、世界各地に広く軍隊を派遣した。それによって、巨大な軍産複合体が成長した。軍産複合体とは、政府・軍部と軍需産業との相互依存体制である。早くも昭和36年(1961)、アイゼンハワー大統領は、辞任演説で、軍産複合体の弊害を警告した。当時、巨大化した兵器工業界、軍事技術開発機関、軍事関係議員、軍事ロビイスト等が連携し、それぞれの利益のために軍拡路線を推進しようとしていたのである。

 その後、アメリカでは、軍産複合体が肥大し、ペンタゴン・CIAと軍需産業が一つのグループをなし、相互に人事交流している。軍需産業から政府首脳となり、ペンタゴンから民間企業に天下ったりする。アメリカの歴代首脳の多くが、軍需産業の幹部を歴任している。

 

●冷戦後、軍事的な需要は減少していた

 

 システム(組織・体制)というものは、一旦成長すると、それ自体を維持し、発展させようとする力が働く。資本も軍隊も官庁も同じである。アメリカの軍産複合体にとって、自己を維持し、発展させるには、戦争が必要である。世界のどこかで戦争が起こり、そこに関与する必要があった。

1960年代において、その場所と見なされたのが、ベトナムだった。アメリカは、ベトナムの共産主義・民族主義運動に対抗するため、南ベトナムの反共政権を支援した。しかし、ケネディ大統領は、ベトナムからの撤退を進めようとしていた。また、彼は、巨大な力を持つようになったCIAの縮小を表明した。こうした政策は、軍産複合体にとっては、不利益だった。昭和38年(1963)、JFKは暗殺された。事件の真相は、今も謎に包まれている。軍産複合体やそれと連なるCIAが、何らかの形でかかわっているのではないかという説は、今も絶えない。さらにJFKは、通貨の発行権を民間から政府に取り戻そうと考えてもいた。軍事を含めて経済を支配する巨大国際金融資本のJFKへの反発があったのではないかという見方もある。

 JFKの暗殺後、副大統領から大統領に就任したジョンソンは、昭和40年(1965)、北ベトナムへの爆撃を開始した。ジョンソンは、軍産複合体の意思を体現した人物だった。アメリカは以後、昭和48年(1973)に撤退し、戦争終結が宣言されるまで、泥沼のような戦争を続けた。その結果、アメリカの社会や文化は、大きく変貌した。道徳は低下し、治安は悪化し、人心は荒廃した。しかし、戦争は軍需を生み出し、軍産複合体は、さらなる成長を続けていた。

 

 共産主義の脅威は、軍産複合体にとっては、自己を維持し、発展させる外因となった。米ソの冷戦は、巨大に成長した軍産複合体が生息しやすい環境だった。平成3年(1991)12月、ソ連が崩壊し、冷戦が終結すると、軍事的な需要は減少した。同年1月に勃発した湾岸戦争は、わずか42日で終了してしまった。

 ソ連の崩壊によって、アメリカは唯一の超大国になった。アメリカの世界的な覇権は、圧倒的な軍事力と、ドルを基軸通貨とする経済力、そして優秀な諜報機関がもたらす情報力によっている。簡単に言えば、力(ちから)と金(かね)と情報である。アメリカは、そのどれにおいても、無双の存在になった。アメリカに挑戦する者は、当面なくなった。アメリカは世界の警察官を自認し、国際紛争の処理を行なった。

 湾岸戦争後、1990年代の世界は、比較的安定していた。大規模な戦争がない状態が続くと、軍産複合体は、経営や組織維持が苦しくなる。平成13年(2001)9月11日、いわゆる同時多発テロ事件が起こったのは、そういう状況においてだった。

 

●アフガン戦争及びイラク戦争は、軍需産業を潤している

 

 アメリカの政府中枢は、9・11のテロを事前に知っていた。知っていながら、それを阻止しようとしなかった。むしろ、テロの計画または行動を利用し、さらに大きな破壊をもたらすものにしようとした。さらに、テロと見せかけて共犯したり、自作自演をした疑いもある。

 その裏には、石油・天然ガスの確保と、アメリカ=イスラエルの安全保障の強化という目的があるだろうと先に書いた。これらの目的を持って、アフガニスタン・イラクに侵攻すれば、戦争の特需が発生する。逆に戦争の特需を生み出すために、石油・天然ガスの確保と、アメリカ=イスラエルの安全保障の強化を促進しようという動きがあったのかもしれない。後で他の目的もいくつか挙げるが、それらの要因が相互作用を起こしたとも考えられる。

 

 いずれにせよ、結果として、アフガン戦争及びイラク戦争は、膨大な戦争特需を創出した。戦争をするには、武器・弾薬・エネルギー・食糧・物資等が必要となる。それらは、アメリカ政府が民間企業に国家予算を当てて発注する。戦争は、古い兵器や弾薬の大量消費となる。新兵器の実戦的なテストとなり、兵器を売る国へのプレゼンともなる。また、戦争は、それまでの敵対国に、新たな市場を広げ、新たな消費者を生みだす。破壊された都市の復興のために、建築・インフラ等の多大な復興特需も創り出される。

 アフガニスタンでの戦争は、平成13年(2001)10月に始まり、12月に終結した。しかし、戦争目的は達成されていない。オサマ・ビンラディンは、未だにつかまっていないというのである。アメリカは、オサマを逃亡させ、泳がしているようにも見える。そして表向きは、アフガニスタンとパキスタンに拠点を置くイスラム・テロリストの行動を鎮圧するため、今なお多数の国々が、軍隊を派遣して、地上洋上で作戦を展開している。

 イラク戦争は、平成15年(2003)3月、アメリカ・イギリスの連合軍のイラク侵攻に始まり、翌月には米英軍が首都バクダードを占領し、フセイン政権は打倒された。だがブッシュ大統領の終戦宣言後も、イラクの治安は回復せず、内戦状態が続いている。アメリカ・NATO等の軍隊は、今日なおイラクに駐留している。このようにして、戦争や駐留が長引けば、それだけ軍事的な需要は継続する。

 

●ブッシュ父子が関係の深いカーライル投資グループが大儲け

 

 アメリカの国家予算において、軍事費は50兆円を超える。50兆円とは、世界全体の軍事費100兆円の50%を占める。わが国の国家予算が80兆円台だから、いかに巨額であるかがわかる。当然、この戦費は、軍需産業にとって、収入になる。

 戦争特需に預かる企業の代表的な存在が、カーライル投資グループである。問題は、このグループとブッシュ大統領の私的な関係である。1990年代初頭、カーライル社は、一人の実業家を庇護し、子会社の一つケータエア社の役員にした。彼がテキサス州知事に選ばれるまでのつなぎとして、カーライル社が仕事を斡旋したのだ。その後、知事は合衆国の大統領になった。それが現在のブッシュ大統領(子)である。そして、ブッシュが州知事から大統領になるに当たって、同社が資金的に支持してきたわけである。

 

 カーライル社は、以前は無名だったが、現在は世界三大の投資会社の一つとなり、またアメリカ最大の軍需関連企業となっている。実は、ブッシュ父も、カーライル社の顧問をしている。彼のスタッフだったジェームズ・ベーカー元国務長官も、同社の顧問。社長は、フランク・カールッチ元国防長官である。ブッシュ(父)は、ベーカーとともに、公共事業をカーライル社に発注し、同社を巨大企業に育て上げた。カールッチ社長は、ラムズフェルド前国防長官と大学が同窓で、関係が深い。

 もう一つ注目すべき事実は、オサマの兄セーラムなどビンラディン一族が、カーライル・グループに莫大な投資をしてきたことである。しかも、ブッシュ(父)は、カーライル・グループを通じ、サウディアラビアにおけるビンラディン一族の事業に関与している。つまり、アメリカ政府が戦争による需要を生み出すと、カーライル投資グループが儲け、ビンラディン一族も利益を得るという仕組みになっているのである。

 アフガン戦争及びイラク戦争が、大統領とその父親、その取り巻きがかかわる会社に膨大な利益をもたらしているという事実は、9・11の利用加担、政府共犯または自作自演には、戦争による特需の創出という目的もあるのではないかと思わせるに十分である。

 

(4)ドル基軸通貨体制の維持

 

●双子の赤字でも繁栄を生むドルの力

 

 アメリカの世界的な覇権は、圧倒的な軍事力、GDP世界一の経済力、そして優秀な諜報機関による情報力による。そのうち経済力については、アメリカは双子の赤字を抱える世界最大の赤字大国でもある。双子の赤字とは、財政赤字と貿易赤字をいう。アメリカは25年以上も貿易赤字を続け、また40年以上も財政赤字を続けている。普通の国なら、通貨が大暴落し、天文学的なハイパーインフレが起こり、破産しているはずである。それなのに、アメリカは史上空前の繁栄を続けている。なぜこんなことが可能になるのか。それは、ドルの力による。

 ドルは、世界経済の基軸通貨、事実上の世界通貨となっている。国際間の資本・貿易取引において、ドルは幅広く決済に使われている。アメリカ以外の国は、ほとんどの場合、対外決済にドルを用いねばならない。ドルがないと、ものの売買ができない。だから、ドルを買い、ドルを外貨として準備しなければならない。

 これに対し、アメリカは、自国の通貨で決済できる。だから、いくら債務が増大しようとも、必要なだけドルを印刷すればいい。ただの紙切れを増刷すれば、それが100ドルの価値に化ける。この魔法のような仕組みが、アメリカの繁栄をもたらしている。アメリカの覇権維持は、世界通貨発行権を持つことに多くを負っている。しかも、いくら増刷してもそのドルが自国に還流するような仕組みを作っている。他国との金利差、米国債の販売、為替介入の要請等である。

 

 アメリカは、基軸通貨ドルの力を維持することで、その圧倒的な軍事力を維持している。またその軍事力によって、海外に投資した資本を守っている。石油を初めとする資源も、押さえている。ところが、ここにドルに対抗しうる通貨が登場した。ユーロである。二度の大戦でそのまま没落をたどるかに見えたヨーロッパは、しぶとく協調と統合の努力を重ね、ECを結成した。その後、拡大ECには、東欧やアジアの一部までが参画している。平成11年(1999)1月1日には、欧州統合通貨ユーロが誕生した。当時の参加国11カ国を合わせると、人口2億9千万人。国内総生産(GDP)6兆3千億ドル。アメリカは、人口2億7千万人、GDP7兆8千億ドルだから、ほぼそれに匹敵する。そこに、ドルの特権的な地位を奪いかねない通貨が出現したのである。

 現在、世界の貿易は、ほとんどがドルで決済されている。世界の主要商品である石油も、当然そうである。しかし、もしドル以外でも石油の売買が大々的になされるようになれば、アメリカは特権的な地位を失う。そのことをよく理解している指導者が、アラブ諸国にいた。湾岸戦争で敗れ、アメリカの経済制裁を受けて敵愾心を燃やすイラクの独裁者。すなわち、サッダーム・フセインである。

 

●ユーロでの石油取引をさせない措置

 

 フセインは、ユーロが誕生した翌年、平成12年(2000)9月24日、今後、石油の代金はドルではなく、ユーロで受け取ると宣言した。そして、11月には実際にユーロに転換した。フセインは、アメリカに挑戦する指導者として、アラブ諸国では大衆的な英雄である。イラクは、石油埋蔵量世界第2位である。もしアラブ諸国がこれに同調し、石油はユーロで決済することが標準となったら、アメリカは、ドルでユーロを買って石油を手に入れなければならなくなる。アメリカの覇権を支えるドル基軸通貨体制が揺らぐ。アメリカは、膨大な財政赤字・貿易赤字を抱えている。ドルを印刷して、債務を事実上帳消しにする魔法が使えなくなる。それは、アメリカ帝国の没落のはじまりとなるだろう。

 9・11以後、アメリカがイラクを攻撃した目的の一つには、ドル基軸通貨体制の防衛がある。ブッシュ大統領は、イラクが大量破壊兵器を保有しているといったが、事実は異なっていた。大統領は、フセインがアルカーイダを支援している、大量破壊兵器をテロリストに流している疑いがあるとも言ったが、フセイン自身はアルカーイダを嫌っていた。攻撃の理由は、どれも表向きのものであって、ドルを守ることこそ、重要な目的の一つだったに違いない。

 ドルを守ることは、アメリカの世界的な覇権を守ること。そのためには、アメリカは軍事力を行使する。しかも、中東ではそれは、石油の確保にもなる。イラク戦争に勝利したアメリカは、イラクの石油取引をユーロからドルに戻した。そして、フセインを逮捕し、世界のさらし者にした。しかも、フセインがアメリカの攻撃を避けるために、石油利権を与えていたフランス・ロシア・中国から利権を奪い、アメリカはイラクの石油利権を独占した。

 

 実は、アメリカでドルの発行権を持っているのは、政府ではない。連邦準備制度理事会(FRB)という名称の民間団体である。そこに参画しているのは、ロックッフェラー財団、ロスチャイルド財団等、米欧の巨大国際金融資本である。アメリカという国家を双子の赤字に置きながら、ドルを増刷して、世界経済を管理しているのが、FRBである。アメリカのイラク攻撃には、何らかの形で、巨大国際金融資本の意思も働いていると考えられるのである。

 

●アメリカの戦費を、間接的に日本が分担

 

 ここでアメリカの戦費と日本経済との関係を記しておきたい。国家予算は、税金でまかなっている。戦費が嵩めば、財政赤字が増える。赤字を税金で減らそうとすれば、国民には重税となる。国民の不満が募り、政権は支持を失う。しかし、アメリカは、自国の経済に他国の経済を組み込むことで、国家財政を維持する構造を作り上げた。そして、その国家間経済構造が、アメリカの圧倒的な軍事力を支えている。

 冷戦下の1980年代、ソ連の増大する軍事力が西側諸国に大きな脅威となっていた。これに対抗するため、レーガン大統領は、強力な軍事力をつくりあげる政策を打ち立て、その経済的な分担を、日本に要求した。そして、アメリカの軍事力と日本の経済力が合体することにより、ソ連の経済を行き詰まらせ、遂に共産主義体制の崩壊を引き起こすことに成功した。共産主義の克服と世界平和の実現に向けて、日米は歴史的な役割を果たした。

 しかし、この過程は、日本にとって、日本経済が、アメリカ経済に構造的に組み込まれる過程でもあった。その組み込みをもたらした発端が、昭和60年(1985)9月のプラザ合意である。プラザ合意とは、日米独の協調介入で、ドルを1ドル240円台から140円台に下降させたものだった。それによって、日本はアメリカの財政赤字と貿易赤字を支える。アメリカは双子の赤字を膨らませながら、繁栄を維持できるという構造が作られた。その後、日本は20年以上も超低金利政策を取り続けている。金利が低ければ、資金は金利の高いほうに動く。つまり、日本の資金はアメリカに流れる。アメリカにとっては、ドルが還流してくることになる。こうした日米合意の金利政策が、ドルの下落を防ぐ役割をしている。

 

 アメリカは、GDP世界一を誇る経済大国である。それとともに、1000兆円以上の財政赤字を抱えた世界最大の債務国家でもある。アメリカは、国債を他の国々に買わせて、財政を支えさせている。その債務請負人の筆頭が、わが国・日本である。

 日本国は、アメリカ国債を約1兆ドル(1ドル=100円として約100兆円)保有している。民間も含めると2〜3兆ドルになっているとも見られる。総額430兆円になるという推算もある。この債券は実際には、売ることのできないものである。売却すれば莫大な為替差損を計上しなければならない。またドルを売ることゆえ、円高を促進してしまう。それゆえ米国債は、回収不能の不良債権と同じである。事実上の永久債である。

 いかに圧倒的な軍事力を持っていても、経済が崩壊すれば、その力を維持することはできない。アメリカは、ドルを防衛しないと、軍事的優位を維持することは、できないのである。その点で、わが国がアメリカの世界的覇権を支えているもう一つ要素が、為替介入である。

 わが国は、ドルの暴落を防ぐために、巨額のドル買をしている。平成15年(2003)から平成16年(2004)8月にかけては、35兆円も投入して、ドルを買い支えた。わが国は、献身的な為替介入をしている。その資金は、もとを正せば、国民の富である。日本人が働いて生み出した富の相当部分が、アメリカの赤字を埋めるために差し出されている。

 

●従属構造を脱するには、憲法の改正あるのみ

 

 アメリカは、9・11以後、アフガン戦争及びイラク戦争を行なった。戦争は終結した事になっているが、実質的には続いている。米軍の撤退の見通しも立っていない。戦費は、増大している。わが国は、軍事・政治だけでなく、金融においてもアメリカに従属している。この従属構造は、わが国に利益をもたらしてもいる。自ら国を守るための軍事費を抑え、アメリカに国を守ってもらうという利益。中東から輸入する石油の輸送経路、シーレーンをアメリカの軍事力で守ってもらうという利益。そういう点では、わが国が差し出している富は、まったく見返りのないものではない。しかし、一個の独立主権国家のあり方としては、国民が自国への誇りや気概を失い、他に言われるがまま付き従い、求められるままに献上し、精神的に腑抜けになっているのが、わが国の姿なのである。

 

 このような状態になった根本原因は、憲法にある、というのが私の見方である。現行の日本国憲法は、独立主権国家として立つべきわが国の主権を制限している。国防をアメリカに依存せざるをえない規定となっている。そのことが、上記のような従属構造をもたらしているのである。

 9・11以後、アメリカが起こしたアフガン=イラク戦争に、わが国が付き従わざるをえなかったのも、ここに根本的な原因がある。憲法を改正し、独立主権国家としての自主性・主体性を回復・発揮していかない限り、わが国は、この構造から抜け出すことはできない。

 9・11という謎の多い事件は、日本人に、自らの精神を取り戻し、自らの意思によって立つことを迫る出来事だと私は思う。この点は、後に第5章以降で、9・11以後の世界における日本のあり方として詳しく述べたい。

 

(5)麻薬利権の取り戻し

 

●アフガニスタンは世界最大のアヘン産地

 

 9・11の背後に考えられる第五の目的は、アフガニスタンにおける麻薬利権を取り戻すことである。アフガニスタンは、世界最大のアヘンの生産地なのである。麻薬などという話は、いかにも陰謀論的で、文字を見ただけで、読みたくなくなる人は多いだろう。事実は、麻薬は、石油に匹敵するほどの国際商品であり、国際的な麻薬売買のルートが存在する。そして、石油取引に匹敵するほどの資金が動いているといわれる。

 参考に、わが国に入ってくる麻薬の大半は、北朝鮮から来ている。北朝鮮は、世界市場に売り出せる商品がごく限られている。そこで外貨を獲得するために、金正日が力を入れているのが、ケシの栽培である。そして、麻薬は、暴力団など、闇のルートでわが国に密輸され、北朝鮮に多額の富をもたらしている。北に運ばれるのは、パチンコの上納金だけではないのである。もう一つ北朝鮮が、外貨を獲得するために作ったのが、偽ドルである。極めて精巧な偽ドルをつくるため、日本人の印刷技術者を多数拉致し、ドイツ製の高性能印刷機が使用されているらしい。

 政治学者のアカデミックな講義やマスメディアの管理された報道だけでは、国際関係の動因は、とらえつくせない。ちなみにオウム真理教事件における北朝鮮ルート、ロシア・コネクションは、オウム裁判では、まったく触れられていない。この2・26事件以来最大の国内治安問題は、真相への扉を閉ざされている。

 9・11に話を戻す。9・11と麻薬との間に、どういう関係が考えられるのか。

 1980年以前、アフガニスタンはアヘンをまったく生産していなかった。だが、ソ連と対抗するためにCIAが入り込むと、CIAはアフガニスタンでケシの栽培を始めた。昭和61年(1986)には、アフガニスタンは、ヘロインの世界供給量の40パーセントを生産するようになった。

 

●麻薬密輸はCIAの資金源

 

 CIAが世界最大の麻薬取扱い組織であることは、公然の秘密である。1960年代、アメリカは、インドシナの内戦に介入し、泥沼のベトナム戦争が繰り広げられた。この戦争は、アメリカとソ連の代理戦争といわれるように、自由主義と共産主義のイデオロギーの戦いであり、また西洋白人諸国とアジア有色人種の戦いでもあった。日露戦争・大東亜戦争に続く、西洋の文明とアジアの文明との衝突でもあった。

 インドシナは、地政学的に重要な場所である。もしアメリカがベトナムの共産化を許したら、東南アジアにドミノ現象が起こり、アジアにおける米ソの力関係が逆転するおそれがあった。そこに途中から共産中国が事実上参戦したことにより、戦争は長期化した。この戦争と麻薬との間には、知る人ぞ知る関係がある。

 当時インドシナ半島には、「黄金の三角地帯(ゴールデン・トライアングル)」と呼ばれる地域があった。ラオス・ビルマ・タイにまたがるこの地域は、世界最大のアヘンの産地だった。1960年代の世界で、アヘンの70%を生産していたのである。そして、アメリカがベトナム戦争に関わった目的の一つは、「黄金の三角地帯」におけるアヘン貿易を独占することだった。この地域の麻薬生産の支配権を手に入れることによって、CIAは世界最大の麻薬ディーラーになった。

 どうして麻薬なのか。麻薬は、CIAの重要な資金源なのである。世界的に諜報活動を展開するには、莫大な資金がいる。国家予算として公表される費用以外に、自由に使える資金が必要である。その秘密資金を生み出すのが、麻薬取引と見られる。ブッシュ(父)は、大統領になる前、1970年代にCIAの長官をしていた。彼が大統領だった平成元年(1989)、アメリカは、パナマのノリエガ長官を急襲・逮捕した。これは、CIAの麻薬の利権にかかわる事件だったことが、アメリカ議会で明らかにされている。

 

 さて、アフガニスタンは、CIAが1980年代にアヘン栽培を進めたことにより、インドシナの「黄金の三角地帯」を上回る世界最大のアヘン生産地となった。平成11年(1999)、アフガニスタンは4600トン(別の説では3200トン)のアヘンを生産した。これは世界全体の供給量の75%(別の説では80%)にあたる。だが、ここでアメリカの予想外の事態が発生した。ソ連のアフガニスタン撤退後、国土の大半が、タリバンの支配下となり、タリバンはほとんどすべてのケシ畑を潰した。そのために3000〜4000トンもあった生産量が、僅か185トンほどにまで落ち込み、90パーセント以上も減少した。

 アヘンは、CIAの諜報活動に重要な資金源である。この資金源となるアヘン生産地を取り返すことは、CIAにとって死活問題となっていた。9・11以後、アメリカは、アフガニスタンに侵攻し、CIAが支援するアフガニスタン北部同盟がタリバンを追い出した。その後、ケシ畑には元どおりケシが植えられ、麻薬の栽培が行なわれているという。麻薬をめぐる戦争という点でも、ベトナム戦争とアフガン侵攻は好対照である。

 

 以前に書いたが、アメリカの世界的な覇権は、圧倒的な軍事力と、ドルを基軸通貨とする経済力と、抜群の諜報機関による情報力によっている。アフガニスタンに親米政権を樹立して、CIAが麻薬利権を回復することは、ネオコンの戦略のもとに中東及びユーラシア政策を行うために欠かせない課題だったのだろう。すなわち、アフガニスタンにおける麻薬利権の取り戻しも、9・11の背後にある目的の一つと考えられるのである。

 

(6)宇宙空間の軍事化による地球支配


●宇宙軍を発展させた地球の管理体制

9・11の背後に考えられる第六の目的は、宇宙空間の軍事化による地球支配である。
 9・11の攻撃は、ラムズフェルド、エバーハート将軍、マイヤーズ将軍らが主導する宇宙軍の予算の大幅増額を可能にした。グリフィンは「彼らにとってミサイル防衛システムへの新しい支持は、9・11から生じた最も重要な利益であったかもしれない」と述べている。
 かつて1980年代、レーガン政権において、戦略防衛構想(SDI)と呼ばれる構想があった。当時全盛期にあった旧ソ連の軍拡に対抗するための画期的な計画だった。この計画は、莫大な費用がかかること、当時の技術では非現実的な点があること、政権が替わったこと等の理由で中止された。しかし、計画は廃案となったのではなく、軍事機関において、発展的に検討されてきた。

 PNACによる『アメリカ防衛の再建』は、「軍事革命」を提唱した。その目玉が、宇宙の軍事化と、それによる宇宙支配計画だった。宇宙とここで言うのは、大気圏外の空間を意味する。
 『アメリカ防衛の再建』は、主要なテーマの一つに、ミサイル防衛のための軍事費の大幅な増加の必要性を挙げている。そして、次のような注目すべき見解を明らかにしている。「本来は弱いはずの“ならずもの国家”による攻撃にさらされるときには、従来の軍事力で対応することはずっと複雑で制限の多いものになるだろう。効果的なミサイル防衛システムを構築することが、アメリカの優位性を維持するための必要条件である」と。
 つまりミサイル防衛システムは、単なる抑止力ではなく、他国がアメリカの攻撃を抑止するのを阻止することによって、「アメリカの優位性を維持するための必要条件」と位置づけている。

 宇宙の軍事化に重点を置いた「軍事革命」については、PNACによる『2020年のビジョン』と呼ばれる文書が、よりはっきりとその目的を述べている。
 文書は冒頭で、次のように言う。「アメリカの宇宙軍は、米国の利益と投下資本を守るために、軍事作戦による宇宙支配をするものである」と。この目的を達成する方法は、「全領域の支配」つまり「地球規模の戦闘空間の支配」である。「全領域の支配」とは、陸海空だけでなく、大気圏外の宇宙空間をも支配することである。つまり宇宙の軍事化による地球規模の支配を通じて、米国の利益と投下資本を守ることが、この軍事革命計画の目的である。


●9・11による軍事費の増額が戦略転換を可能にした

 

『2020年のビジョン』が公表した構想は、三つの部門からなる。

第一部門は、「ミサイル防衛の盾」を構築することである。敵国が発射したミサイルを空中で打ち落とすというものである。わが国が導入しているミサイル防衛システム(MDシステム)がこれである。

第二部門は、宇宙空間に監視テクノロジーを配置することである。これは、地球上のいかなる場所でもあらゆる相手を正確に同定し、照準を合わせられることを目標としている。この部門は、すでにかなり実現しつつあるらしい。

第三部門は、宇宙にレーザー砲を含め実際の兵器を配置することである。このプログラムが、通称「スターウォーズ」と呼ばれている。人工衛星にレーザー兵器を配置すれば、アメリカはいかなる国が打ち上げた軍事衛星でも破壊できるだろう。他国が宇宙空間を利用することを一切認めないという意思の表れである。アメリカの宇宙軍は、それによって全面的かつ恒久的に地球支配を維持できるだろう、と『2020年のビジョン』は目論んでいる。

 

ブッシュ政権が9・11の翌年、平成14年(2002)に公表した『国家安全保障戦略』は、PNACによる『アメリカ国防の再建』の提言をほとんど取り入れている。さらに加えて、「われわれの最良の防衛は攻撃である」と言っている。ブッシュ大統領は、テロリストが大量破壊兵器を保有ないし使用する可能性のあるときは、国家間の場合と違って通常の抑止力は働かない。先制攻撃で相手の攻撃を抑えるしかない。こういう論理で積極的な先制攻撃戦略を打ち出した。

この新しい戦略による先制攻撃の最も重要な新しい構成要素こそ、アメリカの陸海空軍を本格的な宇宙軍で補完することによって可能になる「全領域の支配」なのである。

宇宙の軍事化は、国防予算の大幅な増額を要する。それを可能にしたものこそ、9・11の攻撃だったのである。

 

●ラムズフェルドは「宇宙の真珠湾攻撃」を想定

 

平成13年(2001)1月、ラムズフェルドは、「米国の国家安全保障からみた宇宙の管理と組織を評価する委員会」、通称ラムズフェルド委員会の議長として報告書を出した。彼が国防長官になる少し前のことである。この報告書は、ABM(ICBM迎撃用ミサイル)制限条約の破棄を提唱した。それと同時に、陸海空すべての軍事力と情報機関の宇宙軍への従属を含む根本的な変革を提案した。

報告書には次のような一節がある。「歴史には、外からの予期せぬ出来事が、抵抗する官僚機構に対応措置を取ることを強制するまで、警告の徴候が無視され、変革に対する抵抗が続く事例がたくさんある。問題は、アメリカが宇宙での無防備状態を減らすために責任をもって十分迅速に行動するほど、賢明かどうかということである。さもなければ、過去におけるように、わが国と国民を無力にするような攻撃、“宇宙の真珠湾攻撃”のような出来事によってのみ、国民を奮起させ、アメリカ政府に行動を取らせることができるだろう」と。

9・11は、飛行物体によるWTCとペンタゴンへの攻撃によって、アメリカ国民にこの宇宙空間が無防備なのだという感覚を引き起こした。そして、国防長官という要職に就くことに成功したラムズフェルドは、国民の不安を自分の目指す目的に利用できる立場に立っていた。

 

●9・11に重要な立場にいた者たちが、「新しい真珠湾攻撃」を利用?

 

 宇宙軍に多大な関心を抱いていたのは、ラムズフェルドだけではない。他の主要な提唱者には、ラルフ・E・エバーハート将軍とリチャード・マイヤーズ将軍がいる。エバーハート将軍は、宇宙軍の現在の司令官である。9・11の時は、NOARDの司令官として航空管制を担当していた。リチャード・マイヤーズ将軍は、統合参謀本部の議長である。『2020年のビジョン』の作成責任者をした。9・11の時は議長代理だった。前職は宇宙軍の司令官だった。だった。グリフィンは、「アメリカ宇宙軍の推進運動に最も力を入れているとされているこの三人の男たちは、9・11の“警戒態勢解除”命令――もしそういうものがあったとするならばーーの発信と監視に最も直接的に関与できる立場にあった三人でもあるのだ」と書いている。

ラムズフェルド=エバーハート=マイヤーズらは、宇宙空間の軍事化による地球支配を構想していた。その構想を実現するには、「新しい真珠湾攻撃」のような事件が必要である。9・11は、そういう状況で偶発的に起こった事件だったのか、それとも政府や軍の中枢が何らかの関与をして起こした事件だったのか。真相は、まだ明らかでない。しかし、9・11をきっかけとして、アメリカは軍事費を増大し、宇宙軍を中心とする戦略の転換、軍の世界的な配置転換(トランスフォーメーション)を断行した。そのトランスフォーメーションを指揮したのが、ラムズフェルド国防長官だったのである。

 

●在日米軍の配置転換も地球規模の戦略転換の一環

 

 ブッシュ政権下でアメリカが推進しているトランスフォーメーションとは、世界各地に展開している米軍を本土に戻し、必要なときに機動的に出動するという体制に転換するもの。アメリカが駐日米軍を減らし、グアム基地に移転しているのは、この一環である。アメリカは石油のある中東を重視し、中国の脅威を認識しつつも、具体的な行動を取る余裕が無くなっている。中東・ユーラシアの石油・資源を押さえることに力をできるだけ集中する。そのように陸海空の軍事力の配置を転換する。この時の最重要点が宇宙空間の支配である。宇宙空間の早急な支配を求める理由の一つは、中国の台頭だろう。中国は猛烈な軍拡をし、早晩宇宙空間に進出するだろう。アメリカは、中国がそのレベルに到達する前に、圧倒的な軍事的優位を確立してしまおうということだろう。

軍事衛星による情報システム、敵国の衛星やミサイルへのレーザー攻撃等を早急に進め、宇宙空間を支配し、陸海空の軍事力を最も有効に使う軍事技術体系を構築する。これには、ものすごく費用がかかる。それは平和時には、議会で民主的に決めようとしても無理である。「新しい真珠湾攻撃」による世論の県下が、その実現を可能にしたのである。

 

●アメリカ議会、国連、日本国会は真相を調査せよ

 

 以上、9・11の背後にある目的について、六点述べてきた。すなわち、次ぎの六つである。

 

@石油・天然ガスの確保

Aアメリカ=イスラエル連合の安全保障の強化

B戦争による特需の創出

Cドル基軸通貨体制の維持

D麻薬利権の取り戻し

E宇宙空間の軍事化による地球支配

 

 9・11をきっかけとしたアフガン戦争及びイラク戦争は、テロリズムとの戦いとは異なる目的を秘めている。テロ攻撃への報復という目的は、この別の目的を隠し、偽装する役割をする。むしろその目的を達成するために、中東に侵攻する口実を得る必要があったところに、9・11は計画されたとも考えられる。隠された目的として考えられるのが、上記の六つである。

 私は、9・11の同時多発テロ事件は、ブッシュ政権が、積極的に軍事力を使用し、親イスラエルのネオコンの理論のもと、石油メジャー・軍産複合体・巨大国際金融資本の利益を実現するために、国防総省・CIA・FBI等を動かし、航空機会社・ビル所有者・マスメディア等と、総ぐるみで共同謀議を行なった、空前の大規模偽装テロ事件だった可能性があると思う。真相はまだ分からない。今の段階では、ただ可能性として記すのみである。

 アメリカ議会は、9・11の再調査を行い、アメリカ国民の間に募るあらゆる疑問について、徹底的に調査して、真相を明らかにすべきである。また私は国連に国際的かつ中立的な調査委員会を設け調査を行なうべきだと思う。9・11で死亡したのは、アメリカ国民だけではない。約80カ国の国民も死亡したのである。また、わが国の国会議員は、国会で、9・11及びアフガン戦争及びイラク戦争について国内外に多くの疑問の声が上がっていることを取り上げ、政府に具体的な疑問点を挙げて質問すべきである。ページの頭へ

 

 

第5章 9・11以後、世界は変わった

 

 これまでの章で、9・11及びアフガン戦争及びイラク戦争に関する考察をした。本章以下では、それを基に、9・11以後の世界とそこにおける日本のあり方について述べたい。

 

(1)冷戦後の世界と9・11

 

●冷戦後の世界と9・11の予想

 冷戦終結後の世界について、ハーバード大学の国際政治学者サミュエル・P・ハンチントン教授は、地球社会の俯瞰図(the big picture)を描いた。
 ハンチントンは、平成8年(1996)、『文明の衝突』と題する書物を出版した。原題に忠実に訳せば「文明の衝突と世界秩序の再生」。ハンチントン自身の主題は、世界秩序の再生にあった。「文明の衝突」は販売効果からつけられた名前だった。同書は25の言語に翻訳され、日本でも平成10年(1998)に翻訳刊行され、ベストセラーとなった。
 ハンチントンは、文化を「人々の間に共有された生活様式の総体」とし、そして文明を「文化の最も大きなまとまり」と定義する。そして、国家ではなく文明を単位として世界をとらえるところに、その所論の特徴がある。これは彼が、トインビーなどの文明学者に多くを負っていることを示している。

 ハンチントンによると、21世紀初頭の世界は、二つの点でかつての冷戦時代と異なる。冷戦時代とは、第二次世界大戦後の世界を二分した、ソ連を盟主とする教条主義(社会主義)とアメリカを盟主とする自由主義(資本主義)の対立構造である。大戦終結の昭和20年(1945)からソ連崩壊の平成3年(1991)までの時期がこの時代である。
 冷戦時代と冷戦後の世界の違いは、何か。ハンチントンの見方では、第一に、冷戦期には、世界が自由主義、共産主義、第三世界と三分されていたが、今日の世界は、文化的なアイデンティティの違いにより、7または8の文明によって区分されることである。
 彼は、現存する主要文明として、キリスト教的カソリシズムとプロテスタンティズムを基礎とする西洋文明(西欧・北米)、東方正教文明(ロシア・東欧)、イスラム文明、ヒンズー文明、儒教を要素とするシナ文明、日本文明、カトリックと土着文化を基礎とするラテン・アメリカ文明。これに今後の可能性のあるものとして、アフリカ文明(サハラ南部)を加え、7または8と数える。

 違いの第二は、冷戦時代には、米ソという超大国が二つあったが、今日の世界は一つの超大国(アメリカ)と複数の地域大国からなる一極・多極体制を呈するようになったことにある。平成3年(1991)12月、ソ連の崩壊によって、アメリカは唯一の超大国となった。歴史上初めて、一国が世界を支配する一極体制が実現したかに見える。しかし、実際には、これは一極・多極体制というべきものであるとハンチントンは主張する。そして、今後、世界は多極化が進み、真の多極・多文明の体制に移行すると予想する。また特にイスラム文明・シナ文明と、西洋文明との対立が強まる。西洋文明対イスラム=シナ文明連合の対立の時代が来ると警告した。
 なお、ハンチントンによれば、世界の権力構造は、超大国、地域大国、第2の地域大国、その他の国々という四つの階層からなる。東アジアでは、地域大国は中国である。わが国は、ナンバー2にして潜在的な地域大国であり、第2層と第3層の両者に属するとハンチントンは見ている。

●冷戦の終結から9・11までの世界

 冷戦の終結によって、アメリカの大統領は、ズビグニュー・ブレジンスキーの表現を借りると、グローバル・リーダー(地球の指導者)となった。グローバル・リーダーの初代はジョージ・ブッシュ(父)、2代目はビル・クリントン、3代目がジョージ・W(ダフヤ)・ブッシュ(子)である。
 共和党のブッシュ大統領(父)は、ソ連崩壊の数ヶ月前、平成3年(1991)1月に湾岸戦争を開始した。アメリカの主導で、国連の決議のもと、主要国すべての賛成を得たものだった。前年8月、イラクがクェートに侵攻したのに対し、反撃したものである。対イラク戦争は、開戦後、アメリカ側の圧倒的な優勢のうちに終結した。アメリカは、湾岸地域に軍隊を駐留させ、中東の石油への管理を強めた。
 続く民主党のクリントンは、軍事行動には消極的だった。代わって、グローバリゼイションを標榜した。グローバリゼイションとは、もの、カネ、人、情報の移動・流通が国境を越えて地球規模で進む現象である。グローバリゼイションは、新しい技術を以て地球規模で近代化を進める運動でもある。グローバリゼイションを戦略的に推進するアメリカは、ドルの経済力とITの情報力で他国を圧倒した。アメリカの標準が世界の標準として、普及された。すなわちグローバリゼイションは、アメリカ的な価値観、アメリカ的な制度を他国に押し付けるもの、アメリカナイゼイションでもあった。そして、アメリカの国益を追求する手段として推進された。

 クリントン時代、アメリカは、レーガン政権以来の財政赤字を解消し、さらに黒字に転換するほどの経済的繁栄を謳歌した。その反面、世界では地域間の経済格差が広がり、貧困にあえぐ国々、人々は一層の貧困に追いやられた。そのため、世界各地で反米的な運動が起こった。とりわけイスラム教諸国では、その運動は宗教的な思想を根底とした過激なものとなった。
 平成5年(1993)、世界貿易センター(WTC)のビル爆破事件が起こった。犯人は、イスラム教過激派だった。ムスリムのテロ組織アルカーイダは、中東・アフリカ等で、テロ活動を展開した。
 ハンチントンが『文明の衝突』を刊行したのは、こういう時代の平成6年(1998)のことだった。

 

(2)ハンチントン『文明の衝突』の予測

 

●ハンチントンは『文明の衝突』で世界の将来を予測

 

 ハンチントンは、『文明の衝突』の中心的テーマは、文化と文化的アイデンティティ、もっと広い意味では文明のアイデンティティが、冷戦後の世界における人々の結束や分裂、対立のパターンを形成しつつあるということだという。その仮説の結果として起こりうることを本書に詳述している。

 ハンチントンによると、冷戦後、歴史上初めて世界政治は、多極化し、かつ多文明化している。近代化は西洋化とイコールではなく、また何か意味のある単一的な普遍的文明を生み出すことでもなく、非西洋社会を西洋化することでもなくなってきている。ある社会が発展し近代化が進行すると、自らの成功に自分の価値観や文化を結びつけ、もともと持っている文化にアイデンティティをより強く感じるようになる。そして自分の文化的属性は捨てずに近代化したいと考える。
 冷戦後の世界では、文明間の勢力バランスが変化している。西洋は、相対的に影響力を失ってきている。アジアの諸文明は経済、軍事、政治的な力を拡張しつつある。イスラム文明では人口が爆発的に増えたため、イスラム教諸国と近隣諸国を不安的にしている。非西洋文明では、全体的にそれぞれの文化の価値観が再認識されつつある。
 そして、文明に根ざした世界秩序というものが生まれようとしている。そこでは、共通の文化を持つ社会が互いに協力し合う。ある文明から別の文明へ移行させようとする努力は成功しない。国々は、その文明の中核となる国あるいは指導的存在を中心にグループ化するようになる。
 ところが現在、西洋は、われこそは普遍なりという自負のためにほかの文明との対立を深めていき、とくにイスラム教圏と中国に対して、対立は深刻である。地域レベルでは、異なる文明と文明がぶつかる断層線(フォルトライン)上で生起する「断層線戦争」が、おもにイスラム教圏と非イスラム教圏の間でそれぞれの「同胞諸国の結集」をもたらす。それがエスカレートする脅威も生み、こうした戦争を止めようと文明の中核国家を奔走させることになる。
 このような世界で、西洋文明が生き残るかどうかは、アメリカが自らの西欧的アイデンティティを再確認し、西欧の人々も西洋文明は独自のものであり、普遍的なものではないことを認め、両者が結束して、自分たちの文明を再興し、非西洋社会の挑戦から守ることができるかどうかにかかっている、とハンチントンは論じている。
 ハンチントンは、『文明の衝突』で、イスラム文明と非イスラム文明の断層線で紛争が起こることを予想した。これによって、彼は9・11を予想したと言われている。具体的に同時多発テロ事件を予想したわけではないが、西洋文明とイスラム文明の間で紛争が起こったとき、彼の予想が的中したと一般に理解されたのである。

●9・11及びアフガン戦争及びイラク戦争で、文明間に対立が

 現在の一極・多極体制において、ハンチントンは、西洋文明とイスラム文明・シナ文明との対立が強まると予想した。そして、中国の台頭により、西洋文明対イスラム=シナ文明連合の対立の時代が来ることを警告した。この予測は、仮に9・11の事件が起こらなくとも、長期的な傾向としては妥当であり、対立は顕在化していっただろう。
 私は、9・11は、結果として、この長期的傾向の進行を加速することになったと思う。西洋文明とイスラム文明の対立は、9・11として発現したというよりは、むしろ9・11をきっかけとして、アメリカ対イスラム教過激派の対決からアフガン戦争及びイラク戦争という国際紛争にエスカレートする形で現実化した。
 アメリカはイラク戦争を開戦し、多くのイスラム教諸国で反発を買った。イランは、アメリカとイスラエルへの対決姿勢を鮮明にした。親米的なサウディアラビアやクェートでさえ、中国に石油を売る契約をし、アメリカべったりの姿勢を変えようとしている。ムスリムの民衆は、中東のどこの国でもアメリカを激しく非難している。西洋文明とイスラム文明の対立は、深刻化している。その焦点にイスラエル=パレスチナ紛争があるので、容易に改善できない状況となっている。

 イラク戦争の戦後処理に失敗して泥沼に陥ったアメリカは、東アジアで行動を起こす余裕がなくなっている。イラク、イランとともにブッシュ大統領が「悪の枢軸」と名指した北朝鮮に対しても、攻略するどころか暴発を防ぐので精一杯だ。北朝鮮を抑えるには、中国の力を借りねばならない。当面、東アジアは地域大国・中国に委ね、中東での諸問題を処理した後に、東アジアで巻き返しを図るしかないという判断だろう。こうした状況は、台頭する中国には有利に働いている。
 シナ文明の中核国家・中国は、建国以来の目標である台湾統一を目指して着々と力を蓄えている。そのため、台湾海峡と西太平洋で、米中の緊張は強まりつつある。中国の経済的・軍事的強大化によって、西洋文明とシナ文明の対立は現実のものとなった。中国は、シナ文明圏に属する朝鮮半島に強い影響力を及ぼしている。
 さらに中国は、アフガン戦争及びイラク戦争でアメリカがイスラム教諸国の反発を受けている隙を突いて、中東諸国に積極的に働きかけを行なっている。また大陸国家・中国が海軍力を増強し、海洋へ進出しつつある。ミャンマーには、サウディアラビアの資金でインド洋に出る軍港を作った。こうした動きには、ハンチントンが予想した西洋文明とイスラム=シナ文明連合の対立へと進む萌芽がある。さらに世界各地で石油・資源を求める中国は、アメリカと激しい争奪戦を繰り広げ、米中冷戦といわれる状況を生んでいる。中国は、宇宙空間にも触手を伸ばしている。宇宙空間から地球を支配しようとするアメリカへの対抗である。こうした動向が強まれば、今後、米中対決という事態に至りかねない。

 西洋文明とイスラム=シナ文明連合の対立に、もう一つ加わりそうなのが、東方正教文明である。東方正教文明の中核国家・ロシアは、旧ソ連の主要部を引き継いだ地域大国である。ロシアもまた反米的な姿勢を強めている。ロシアは、イラク戦争によってイラクの石油利権を失った。これへの反発がある。また旧ソ連の諸国でアメリカが民主化を進めようと工作していることにも、苛立っている。その結果、ロシアは中国と提携するに至った。
 中国・ロシアは、連携してアメリカに挑戦し、多極化を進めようとしている。ロシアは中国に武器や石油を売る。中国はイランに武器を売り、軍事技術を提供している。中国・ロシア・イラン等による反米連合が生れつつある。中国・ロシア・中央アジア4国に加えて、イラン・インド・パキスタン等を準加盟国とする上海協力機構は、今後の展開が注目される。ロシアは世界第2の産油国である。中国だけでなく、欧州諸国もその石油を求めている。ロシアは、自国産の石油をルーブルで売る政策を開始した。ドルの基軸通貨体制を崩そうとするものだろう。軍事力ではアメリカにかなわないロシアだが、ドルの力をそぐことでアメリカの支配を弱めようと狙っているのだろう。


●ブッシュ政権の政策が闘争を拡大した

 さらに付け加えるべきは、イラク戦争以後、アメリカとヨーロッパの間にも溝ができたことである。これは、西洋文明の内部に、摩擦や対立が生まれていることを意味する。ハンチントンは、『文明の衝突』で、アメリカの取るべき方策として、アメリカの西欧的アイデンティティを自覚して西欧との連携を強めること、非西洋文明に西洋文明を押し付けないこと(自由・デモクラシー・人権等)、非西洋文明の分断を図ることを提案した。しかし、ブッシュ政権が取った政策は、ハンチントンの提案とは、大きく異なっていた。
 アメリカ政府は、9・11をきっかけに、一極体制の確立・強化を狙った。圧倒的な軍事力を掌中にするブッシュ政権とネオコンたちは、「テロとの戦い」によって、一気に中東・ユーラシアの石油・資源を押さえ、アラブ諸国の民主化を進めることができると、自己の力を過信したのだろう。

 ドイツ・フランス等、欧州諸国の多くは、イラク戦争に反対した。勝利したアメリカは、他国の石油利権を解消し、利権を独占した。こういう利己的なやり方が、欧州諸国の反感を招いた。アメリカは、ハンチントンの提案とは逆に、西欧との連携を損ない、非西洋文明を分断するどころか反米で協調させる結果を生んでいる。多極化を阻止するはずが、かえって多極化を促進してしまった。9・11及びアフガン戦争及びイラク戦争は、文明の対決を仕掛けて、これに勝利するつもりだったのだろうが、結果は正反対になっている。

(3)アメリカ政府が9・11に関与していたなら

 

●この上、政府中枢の関与が事実だったとすれば

 これでさらにもし9・11は、アメリカ政府の公式発表とは違い、ブッシュ政権がテロ攻撃に関与していたということになったら、どういうことになるだろうか。まずアメリカ国内で、ブッシュ政権及び国家中枢の指導層に対し、激しい非難が湧き上がるだろう。

 今のところ、国際政治学の分野で、政府の公式発表を疑っている学者は、少ない。サミュエル・P・ハンチントンは、『引き裂かれる世界』(平成14年(2002)、ダイヤモンド社)で、9・11はアルカーイダの犯行とし、アメリカ政府の発表を疑っていない。政府高官の共同謀議によって「文明の衝突」が仕掛けられたという可能性を想定していない。ズビグニュー・ブレジンスキーは、イラク戦争に反対し、ネオコンと論戦を繰り広げて勇名を馳せた。しかし、近刊の『ブッシュが壊したアメリカ』(平成19年(2007)、徳間書店)においても、9・11事件への政府の関与を一顧だにしていない。米中接近などアメリカ外交に画期を開き、多大な影響を与え続けてきたヘンリー・キッシンジャーもまた同様である。
 その一方、少数ながら、政府発表への疑いを公言する学者もいる。これまでのところ、9・11に関する最高水準の本は、グリフィンの『9・11事件は謀略か 「21世紀の真珠湾攻撃」とブッシュ政権』だろう。本書に国際法・国際政治の専門家リチャード・フォークが序文を寄せている。そこでフォークは、「グリフィンのアプローチは冷静であり、彼の議論は一貫してよく考え抜かれ、彼の分析を否定しがたいほど説得力のあるものにしている」と述べ、政府に再調査を要求するグリフィンを支持している。
 グリフィンの著書は、政府の公式発表に対する反対論を整理して、集大成したものである。いわゆる陰謀論の類とは異なる本格的な研究書である。今後、アメリカの国際政治学の専門家は、グリフィンの著書に対し、自説自論を開陳することを迫られることになるだろう。もしそれがなされなければ、アメリカにおける学問の自由や真理探究の自由は、後退していくだろう。

●アメリカだけでなく、全世界に衝撃が走る

 平成18年(2006)11月に行われたアメリカの中間選挙で、それまで上下両院ともに過半数を占めていた共和党が、両院ともに民主党に逆転された。歴史的惨敗である。この結果は、ブッシュ政権のイラク戦争の戦後処理の失敗に対する国民の不満が根底にあってのものだろう。
 泥沼化して先の見えないイラク情勢についてだけでなく、アメリカ国民の相当数が、9・11に関する政府の公式発表に対して懐疑的になっている。ゾグビー社、ニューヨークタイムズ紙とCBSニュース、スクリプス・ハワード社とオハイオ州立大学、CNN等の各種の世論調査は、多数の国民が疑問を抱いていることを示している。
 今後、もし平成20年(2008)の大統領選挙で政権が民主党に移れば、真相解明を望む国民の声が高まり、再調査の要求が寄せられるだろう。ブッシュ政権の指導層の責任を追及するため、弾劾裁判ないし刑事裁判が行なわれる可能性があると思う。

 もしブッシュ政権の中枢がテロ攻撃を利用加担、あるいは政府中枢がテロリストと共犯または自作自演していたことが明らかになれば、アメリカ国内だけでなく、世界全体に大きな衝撃が走るに違いない。アメリカの信用と権威は、地に落ちるだろう。世界各地で反米運動が高揚し、親米的な国もアメリカに距離を置くようになる。中国・ロシア・イラン等の反米連合が一層強化される。言い換えれば、シナ文明・イスラム文明・東方正教文明の三文明の主要国が連合して、アメリカの覇権に挑戦するという構図が鮮明になっていくだろう。
 冷戦の終結後、人類史上始めて、唯一の超大国が世界を支配する一極体制が実現した。真に地球規模の大帝国(グローバル・エンパイアー)が出現した。そのように見えた。しかし、そのアメリカ帝国の一極体制は、間もなく没落の道を下り出した。後世の歴史家は、そのきっかけが、9・11の策謀であり、それを皮切りとするアフガン戦争及びイラク戦争だったと記すことになるかもしれない。ページの頭へ

 

 

第6章 文明の衝突における日本文明の役割

 

(1)セム系一神教文明群の中の対立

 

●ハンチントンの文明論に一部修正を

 

 ここまで、私はハンチントンの理論を援用してきたが、私は氏の学説を高く評価するとともに、その文明論に一部修正を加えるべきだと考えている。

 私は、素人だが比較文明論・日本文明史に関心があり、20歳代から今日まで、シュペングラー、トインビー、ヤスパース、バグビー、山本新、村山節、伊東俊太郎、中西輝政等の著作に学んできた。私のサイトには、未熟ながら「人類史の中の日本文明」という拙稿を掲げている。また「文明と倫理」という項目にも、いろいろな主題の小論を載せている。

 文明学と国際関係論は、深い関係がある。トインビーは文明学者であるとともに、大英帝国の政府機関に勤める国際情勢アナリストだった。現代世界の分析をするには、歴史の研究が必要であり、諸文明の研究は、外交政策の立案に欠かせない。ハンチントンは、国際政治学者の中で、今日そのことを最も深く理解している学者だと思う。その点で、彼はトインビー以来の系統を引く文明学者だと私は思う。

 

 ハンチントンは、現代世界には、7または8つの文明が存在すると説く。すなわち、キリスト教的カソリシズムとプロテスタンティズムを基礎とする西洋文明(西欧・北米)、東方正教文明(ロシア・東欧)、イスラム文明、ヒンズー文明、儒教を要素とするシナ文明、日本文明、カトリックと土着文化を基礎とするラテン・アメリカ文明。これに今後可能性のあるものとして、アフリカ文明(サハラ南部)を加え、7または8と数える。

 ちなみに私は、諸文明を主要文明と周辺文明に分け、現代の主要文明は西洋文明、東方正教文明、イスラム文明、インド文明、シナ文明、日本文明、ラテン・アメリカ文明、アフリカ文明の8つとする。

 私がハンチントンの説に修正を加えたいと思うのは、世界の諸文明は、単に併存しているのではなく、大きく二つのグループに分けることができるという点である。この二つのグループとは、セム系一神教文明群、非セム系多神教文明群の二つである。

 

●セム系一神教文明群と非セム系自然教文明群

 

 セム系一神教文明群は、ハンチントンのいう西洋文明、東方正教文明、イスラム文明、ラテン・アメリカ文明の四つが主要文明である。私はその周辺文明の一つとして、ユダヤ文明を挙げる。セム系一神教文明群の担い手は、超越神によって創造された人間の子孫であり、世界的大洪水で生存したノアの長子セムの系統と信じられている。宗教的には、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教である。これらの文明における超越神は、唯一男性神とされる観念的な存在であり、神との契約が宗教の核心にある。地理学的・環境学的には、砂漠に現れた宗教という特徴を持つ。砂漠的な自然が人間心理に影響したものと考えられる。

 これに対し、非セム系多神教文明群とは、ハンチントンのいう日本文明、シナ文明、ヒンズー文明を中心とする。いわゆる東洋文明はこれらの文明である。また私はアフリカ文明をこれらに加える。多神教文明群では自然が神または原理であり、人間は自然からその一部として生まれた生命体である。文明の担い手は、自然が人間化したものとしての人間である。宗教的には、日本の神道、シナの道教・儒教、インド教、仏教の一部、アニミズム、シャーマニズムである。地理学的・環境学的には、森林に現れた宗教という特徴を持つ。森林的な自然が人間心理に影響したものと考えられる。

 ラテン・アメリカ文明とアフリカ文明(サハラ南部)は、ともにアニミズム、シャーマニズムを基底にしているが、前者はカトリック文化を上層に持つので、セム系一神教文明群に分類することとし、アフリカ文明は非セム系多神教文明群に分類する。

 

 私は、このようにハンチントンの文明併存論に対し、文明群立論を提唱するものである。上記のように、世界の諸文明を、セム系一神教文明群と非セム系多神教文明群の二つに分ける場合、地理的な区分線は、北米・南米・欧州・北アフリカと南アフリカの間、中東諸国とインドの間、ロシア・中央アジア諸国と中国の間、日本・東南アジアとアメリカ・オーストラリアの間に引くことができよう。

 なお、イスラエルとアラブ諸国は、アジアに位置するが、セム系一神教を信奉する点で、インド以東の多神教の世界とは、顕著な違いがある。アジアは、セム系一神教文明群の故郷であるとともに、非セム系多神教文明群が発展した地域でもあり、セム系一神教文明群と非セム系多神教文明群が併存している。

 

●ユダヤ文明はユダヤ=キリスト教系文明群の周辺文明

 

 ハンチントンは、西洋人でありまたユダヤ系知識人である。上記のように諸文明をグループ化することによって、彼の理論では見えないもの、見えにくいものが、浮かび上がってくると思う。また私は、ハンチントンが西洋文明に対し、「キリスト教的カソリシズムとプロテスタンティズムを基礎とする」と表現していることにも、不足を感じる。ここにユダヤ教という要素を明記すべきである。つまり、西洋文明はユダヤ=キリスト教を基礎とする、という形容こそふさわしい。そして、ユダヤ=キリスト教のユーラシア西方での表れが西洋文明、東方での表れが東方正教文明ととらえることができる。

 

私は、イスラエル建国後のユダヤ教社会をユダヤ文明とし、ユダヤ=キリスト教系諸文明の周辺文明の一つと位置づける。ユダヤ文化は、古代シリア文明にさかのぼる。ユダヤ民族は、ユダヤ=キリスト教という文化要素を、ギリシャ=ローマ文明経由でヨーロッパ文明に提供した。しかし、亡国離散した後のユダヤ諸社会を、まとめて一個の文明と見ることはできない。ロシア、東欧、西欧、北米に離散したユダヤ人は、19世紀後半からパレスチナに移住し続けた。建国後のイスラエルは、ユダヤ教を宗教的な文化要素としつつ、ロシア、東欧、西欧、北米の諸文化、諸思想が混在する社会となっている。その点でも、ユダヤ文明は、ユダヤ=キリスト教系諸文明の周辺文明と見ることが出来る。

 

 次に、ハンチントンは西洋文明とイスラム文明を別のものとするが、私の意見では、西洋文明とイスラム文明は、同じ文明群に入る。「文明の衝突」における西洋文明とイスラム文明の対立は、同じセム系一神教文明群の中での対立なのである。セムの子孫同士の戦いであり、異母兄弟の骨肉の争いである。

 そして、現代世界は、イスラエル=パレスチナ紛争を焦点として、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教のセム系一神教の内部争いによって、修羅場のような状態になっている。

イスラエルの建国後、アラブ諸国はイスラエルと数次にわたって戦争を行い、またアメリカと湾岸戦争、アフガン戦争及びイラク戦争で戦っている。また旧ソ連とはアフガン戦争で戦い、今日は旧ソ連圏のムスリムが中央アジア各地で、ロシアと戦っている。ハンチントンは、これらの戦いを、西洋文明とイスラム文明との衝突ととらえているが、私は第2次大戦後という現代において、イスラエルやロシアを含めたユダヤ=キリスト教系諸文明とイスラム文明の対立・抗争ととらえた方がよいと思う。

ユダヤ=キリスト教系諸文明とイスラム文明との関係という視点で見ると、中東には、第1次大戦後、西洋文明の覇権国家イギリスによって文明間の対立がもたらされた。続いて、第2次大戦後、西洋文明の覇権国家アメリカと東方正教文明の対抗国家ソ連によって、その対立は冷戦構造の中に組み込まれた。その結果、争いが憎悪を生み、報復が報復を招いて、抜き差しならない状態となっている。ハンチントンは、西洋文明と「儒教―イスラムコネクション」、つまりシナ文明=イスラム文明連合の衝突の可能性を強調するが、その対立の核心には、冷戦以前からのイスラエルとアラブ諸国の対立がある。

ハンチントンの見方では、冷戦期を含めたイスラエル、ユダヤ文明の中東及び世界全体への影響の重要性が浮かび上がらない。ハンチントンは、アメリカを中心として西洋文明が存続・発展していくための政策を提言するが、その立論はユダヤ=キリスト教系西洋文明、とりわけアメリカ=イスラエル連合を益するものとなっていると思う。

 

(2)日本文明の果たすべき役割

 

●セム系一神教同士の争いを調和に導くもの

 

私は、超大国アメリカの果たすべき役割は、両者の対話を促し、中東に和平を実現することにあると思う。ケネディ大統領は、イスラエルが核開発をすることを認めなかったが、彼が暗殺されて後、アメリカはイスラエルの核保有を黙認するようになった。1960年代から、イスラエルはアメリカの政界・議会へのロビー活動を活発に行い、アメリカ指導層をイスラエル支持に固めていった。カーター大統領の時期には、アメリカはイスラエルとエジプトの和平に努力した。しかし、再び対立的な方向に戻り、今やアメリカの指導層は、イスラエル政府の外交政策を支持する親イスラエル派やシオニストが主流を占めている。キリスト教保守派の多くは、イスラエルを守るべき国とし、キリスト教とユダヤ教の結びつきは強化されている。

ブッシュ政権は、アメリカ=イスラエル連合つまりユダヤ=キリスト教と、イスラム諸国との「新しい十字軍戦争」を唱導した。これは、セム系一神教文明群の中でのユダヤ=キリスト教系諸文明とイスラム文明の戦いである。このような争いの世界を、調和の世界に導くには、どうすればよいのか。私は、非セム系多神教文明群が、あい協力する必要があると思う。その牽引力となるのは、私の用語で言えば、日本文明・シナ文明・インド文明であり、中でも日本文明には中心原動力となる潜在力が存在すると私は考える。

 なおシナ文明については、私は現在の共産中国を言うのではない。共産中国は、西洋文明が生み出し、東方正教文明が成長させた共産主義によって、シナ文明を大きく変貌させてきた。私は、今後、中国が民主化され、共産主義が支配する以前のシナ文明の伝統、道教・儒教をはじめとする自然教の伝統が蘇ることを期待しているのである。そのシナ文明の再生には、日本文明の伝播が触媒作用を果たすだろうと思う。

 

●海洋的要素を持つ日本文明が世界に調和を促す

 

 私は、先に現代世界の文明を二つの文明群に分けることを提唱した。そこにもう一つ、重要な視点を加えたい。日本文明は、非セム系多神教文明群に分類されるが、なおその中で独自の特徴があることである。その特徴は、セム系一神教文明群にも非セム系多神教文明群の他の文明にも見られないユニークなものである。

 文明の中核には、宗教がある。日本文明の固有の宗教とは、何か。神道である。神道は、単なる多神教ではなく、根本に一神教的な側面を持ち、多神教と一神教を総合し得る可能性が内在している。すなわち、本質において「一」であるものが、現象において「多」であるという「一即多、多即一」の論理でとらえるべき世界観を示しているのである。

また、神道が他の主要な宗教と異なる点は、海洋的な要素を持っていることである。ユダヤ教・キリスト教・イスラム教や道教・儒教・インド教・仏教は、どれも大陸で発生した。大陸的な宗教を中核にすることによって、セム系一神教文明も非セム系多神教文明の多くも、ともに大陸的性格を持っている。21世紀の世界で対立を強めている西洋文明、イスラム文明、シナ文明、東方正教文明には、大陸的な性格が共通している。

 これに比べ、神道は海洋的な要素を持ち、日本文明に海洋的な性格を加えている。これは、四方を世界最大の海・太平洋をはじめとする海洋に囲まれた日本の自然が人間心理に影響を与えているものと思う。この視点から見ると、世界の諸文明は大陸的文明群と海洋的文明群に分けられる。

私は、セム系一神教文明を中心とした争いの世界に、非セム系多神教文明群が融和をもたらすために、日本文明の役割は大きいと思う。日本文明のユニークな海洋的性格が、大陸的文明同士の摩擦を和らげ、大いなる調和を促す働きをすることを私は期待する。

 

●ハンチントンは世界秩序再生のために日本文明に期待

 

 ハンチントンも、彼流の見方で日本文明に期待を寄せている。世界秩序の再生において、日本文明には、貢献できるものがあるというのである。その点を見るためにまず彼の主著『文明の衝突』の要旨を述べ、その後、日本文明に関する所論を確認したい。

 

 ハンチントンの見解は、彼の主著『文明の衝突』の表題のように、文明の衝突を予想したものと一般に理解されている。しかし、ハンチントンは、文明は衝突の元にもなりうるが、共通の文明や文化を持つ国々で構築される世界秩序体系の元にもなりうる、ということを主張している。

 

ハンチントンは、『文明の衝突』という本を出す時、自分では「世界秩序の再生」という表題を考えていた。再生がテーマだった。ところが、出版社の意向で、「文明の衝突と世界秩序の再生」という題となった。それがわが国では、表題の後半が削除され、「文明の衝突」という闘争がテーマであるかのような表題に訳された。そのためいっそう見逃されやすいが、ハンチントンは、ある文明内での秩序維持は、その文明に突出した勢力があれば、その勢力が担うことになると説く。また、文明を異にするグループ間の対立は、各文明を代表する主要国の間で交渉することで解決ができるとし、大きな衝突を回避する可能性を指摘している。

 そして、ハンチントンは、日本文明に対して、世界秩序の再生に貢献することを期待している。この点は、主著より後の著作において明確に述べられている。

 

●日本には一国一文明という特徴

 

 ハンチントンの日本に関する基本的な見解は、『文明の衝突』日本語版に述べられている。

 「文明の衝突というテーゼは、日本にとって重要な二つの意味がある。

 第一に、それが日本は独自の文明をもつかどうかという疑問をかきたてたことである。オズワルド・シュペングラーを含む少数の文明史家が主張するところによれば、日本が独自の文明をもつようになったのは紀元5世紀ごろだったという。私がその立場をとるのは、日本の文明が基本的な側面で中国の文明と異なるからである。それに加えて、日本が明らかに前世紀に近代化をとげた一方で、日本の文明と文化は西欧のそれと異なったままである。日本は近代化されたが、西欧にならなかったのだ。

 第二に、世界のすべての主要な文明には、2ヶ国ないしそれ以上の国々が含まれている。日本がユニークなのは、日本国と日本文明が合致しているからである。そのことによって日本は孤立しており、世界のいかなる他国とも文化的に密接なつながりをもたない」と。

 

 ハンチントンが言うように、日本は独自の文明である。しかも世界の主要文明のひとつである。私の知るところ、この点を最初に明確に主張したのは、比較文明学者の伊東俊太郎氏である。人類の文明史を見るには、主要文明と周辺文明という区別が必要と私は考える。私は、日本文明は、古代においてはシナ文明の周辺文明であったが、7世紀から自立性を発揮し、早ければ9世紀〜10世紀、遅くとも13世紀には一個の独立した主要文明になったと考える。そして、江戸時代には熟成期を迎え、独創的な文化を開花させた。それだけ豊かな固有の文化があったからこそ、19世紀末、西洋近代文明の挑戦を受けた際、日本は見事な応戦をして近代化を成し遂げ、世界で指導的な国家の一つとなった。

 15世紀から20世紀中半までの世界は、西洋文明が他の諸文明を侵略支配し、他の文明のほとんどーーイスラム文明、インド文明、シナ文明、ラテン・アメリカ文明等――を西洋文明の周辺文明のようにしていた。この世界で、民族の独立、国家の形成、文明の自立を進め、文明間の構造を転換させる先頭を切ったのが、日本文明である。

 日本文明は、西洋近代文明の技術・制度・思想を取り入れながらも、土着の固有文化を失うことなく、近代化を成功させた。日本の後発的近代化は、西洋化による周辺文明化ではなく、日本文明の自立的発展をもたらした。この成功が、他の文明に復興の目標と方法を示した。

 15世紀以来、世界の主導国は、欧州のポルトガル、スペインに始まり、覇権国家はオランダ、イギリスからアメリカと交代した。この西漸の波は、西洋文明から非西洋文明へと進み、1970年代から21世紀にかけて、波頭は日本、中国、インドと進みつつあるように見える。

 

●一国一文明であるがゆえの日本文明の長所・短所

 

 ハンチントンの説に話を戻すと、日本文明は彼が論じるとおり「日本国=日本文明」であり、一国一文明という独自の特徴を持っている。ハンチントンは、日本文明は他の文明から孤立しているとし、そのことによる長所と短所を指摘する。

 「文化が提携をうながす世界にあって、日本は、現在アメリカとイギリス、フランスとドイツ、ロシアとギリシャ、中国とシンガポールの間に存在するような、緊密な文化的パートナーシップを結べないのである。日本の他国との関係は文化的な紐帯ではなく、安全保障および経済的な利害によって形成されることになる。しかし、それと同時に、日本は自国の利益のみを顧慮して行動することもでき、他国と同じ文化を共有することから生ずる義務に縛られることがない。その意味で、日本は他の国々が持ちえない行動の自由をほしいままにできる」と。

 

 9・11以前から、ハンチントンは、アメリカがアジア政策で明確な姿勢を示さないと、日本は中国と連携するようになると警告していた。9・11以後、ハンチントンは、日本の重要性をより強く感じるようになったようで、事件の翌年刊行した『引き裂かれる世界』(ダイヤモンド社)では、日米関係の強化を主張し、日本が文明の衝突を緩和する役割を担うことに期待を表明している。

 

(3)平和と環境を守る国としての活路

 

●ハンチントンは、日本は「積極的かつ建設的な役割を」と言う

 

本章では、9・11以後の世界における日本のあり方、当面する集団的自衛権やテロ特措法等の問題の検討を行う。その参考のために、まずハンチントンの見解を見ておこう。

 ハンチントンは、文明は衝突の元にもなりうるが、共通の文明や文化を持つ国々で構築される世界秩序体系の元にもなりうる、と主張する。その文明内での秩序維持は、その文明に突出した勢力、すなわち中核国があれば、その勢力が担うことになると説く。また、文明を異にするグループ間の対立は、各文明を代表する主要国の間で交渉することで解決ができるとし、大きな衝突を回避する可能性を指摘している。そして、日本文明に対して、世界秩序の再生に貢献することを期待している。

 具体的には、次のように論じている。

 

 ハンチントンは、9・11の翌年、『引き裂かれる世界』を出した。その中で、日本への期待を語っている。

 序文で彼は次のように述べる。平成14年(2002)当時の日本は経済の改革をすることが第一だとし、そうすることで「日本は他国間の文明の衝突を緩和に導くキープレイヤーの一員になり、東アジアにおけるパワーバランスの安定を促進し、今まで持続させてきた国民共同体を全うするよう他国に対して後押しすることができるようになるのだと私は考えている」「長期的に言えば、世界が日本に求めるのは、グローバルで重要な問題に取り組んで、積極的かつ建設的な役割を果たすことである」

 また、本文でより具体的に次のように書く。

 「日本には自分の文明の中に他のメンバーがいないため、メンバーを守るために戦争に巻き込まれることがない。また、自分の文明のメンバー国と他の文明との対立の仲介をする必要もない。こうした要素は、私には、日本に建設的な役割を生み出すのではないかと思われる。

 アラブの観点から見ると、日本は西欧ではなく、キリスト教でもなく、地域的に近い帝国主義者でもないため、西欧に対するような悪感情がない。イスラム教と非イスラム教の対立の中では、結果として日本は独立した調停者としての役割を果たせるユニークな位置にある。また、両方の側から受け入れられやすい平和維持軍を準備でき、対立解消のために、経済資源を使って少なくともささやかな奨励金を用意できる好位置にもある。

 ひと言で言えば、世界は日本に文明の衝突を調停する大きな機会をもたらしているのだ」と。

 

 アメリカには、東アジア政策に関して、いろいろな戦略・思想・政策がある。

 @共産中国を積極的に封じ込めようとする考え方(チェイニー、ラムズフェルド等)

 A中国に対抗するために日米同盟を強化しようという考え方(アーミテージ等)

 B日中の勢力の均衡を図る考え方(ブレジンスキー、キッシンジャー等)

 C労働問題・人権問題により中国を強く批判する考え方(ペロシ、シューマー等)

 D中国からの経済的利益を優先する考え方(ポールソン、ウォール・ストリート等)である。

 

 こうした中で、ハンチントンの意見は、中国との衝突を回避するために日米の連携を説くもので、Aに位置し、その中で@のネオコンには反対し、Bとは通じる現実主義的な姿勢だと思う。

 

●アメリカ・中国との関係についても示唆

 

 9・11以前から、ハンチントンは、アメリカがアジア政策で明確な姿勢を示さないと、日本は中国と連携するようになると懸念していた。『引き裂かれる世界』でもやはり、次のように言う。

 「日本と中国の関係はどうなっていくのか。それはもっぱら、アメリカが東アジアにとどまることをどう約束するのか、米中関係がどうなるのか、による。もしアメリカが東アジアから引き揚げるそぶりを見せれば、日本は間違いなく中国に流れるだろう。また、時おり安定を欠くアメリカと中国の関係の中で、日本は板ばさみになり、両方の大国の間でバランスをとるのに苦労をするだろう。もし中国が東アジアで支配的な力を持ちそうに見えたら、日本は中国に追従を強要されたと感じるだろう」

 

 9・11以後、ハンチントンは、日本の重要性をより強く感じたようで、本書では、日米関係の強化を主張し、日本が文明間の対立を協調へと向かわせる役割を担うことに期待を表明している。

 ハンチントンは、軍事的側面と経済的側面の二つの面について見解を述べている。

 軍事的な面については、「日本は軍事力のてこ入れが必要だと私は思っている」「私が提案したいのは、アメリカ軍と働くことができるように、アメリカの戦闘部隊が行っている作戦行動と同じレベルで行動できる技術と能力を持ちながら、徐々に軍事的能力を高めていくことだ。こうすることで、合同軍の兵站支援と平和維持活動に多大な貢献ができ、そして国際政治の舞台でもっと大きな役割を演じることができるようになる」と言う。

 特に共産中国との関係では、「中国の軍事力増強は東アジアにおける安全保障の問題を引き起こす。アメリカが本土ミサイル防衛に一歩先んじるので、日本の重大権益を中国から守るため、日本とアメリカは共同で東アジア向けに戦域ミサイル防衛システムを開発すべきだ」

 もう一方の経済的側面については、「軍事的連携を強化するのと同時に日本と同時に、日本とアメリカは東アジアについて共同の経済戦略を立て実践すべきである」と言う。そして日本が中国に従属せず、また対立するのでもない道として、「日本の実際上の、そしてもともとの同盟国のアメリカと組んで、より広い地域経済連合を形成することである。これはアジア太平洋経済協力会議(APEC)の上につくるもので、APECのメンバーのほとんどが加盟するものになるだろう。あるいは、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムの上につくり、アメリカ、ロシア、オーストラリア、そして中国の対抗勢力形成に賛成する他の国々の参加を得るものになるかもしれない」という選択肢を示唆している。

 

●ポスト9・11の世界で日本はどうあるべきか

 

 次に、ポスト9・11の世界において、日本はどうあるべきか、私見を述べたい。
 9・11以後、わが国は、アメリカにひたすら追従してきた。平成13年(2001)10月のアメリカのアフガニスタン侵攻後、11月2日には、驚くべき速さでテロ対策特別措置法を成立させた。以来わが国は、同法に基づいて自衛隊を中東に派遣し、インド洋での海上給油作業等を行なってきた。テロ特措法は、四つの国連安保理決議を引用している。それらの安保理決議は、すべて9・11はイスラム教のテロリストによるという認識に立っている。わが国もまたその認識に基いて、テロ特措法を制定した。加害者は、オサマ・ビンラディンを首領とするアルカーイダであるという前提で、すべてが進んできた。
 また、平成15年(2003)3月にイラク戦争が開始されると、小泉首相は、いち速くアメリカを支持した。これはなぜか。わが国は、現行憲法の制約により、自主的な国防力を整備できていない。自力では国を守れない。北朝鮮は、平成10年(1998)8月、わが国の方向にテポドンを撃ち、三陸沖に着弾した。万が一、北朝鮮がミサイルでわが国を攻撃してきたら、頼れるのはアメリカしかない。こういう状態では、わが国はアメリカの戦争を支持し、協力せざるをえない。それが小泉政権の判断だっただろう。

 わが国は現行憲法を放置し、従米的な安全保障体制に甘んじ、そのうえ専守防衛・非核三原則等の自制的な防衛政策を取ってきた。そのことが、わが国の政策の選択肢を限ってしまっている。現状では、アメリカの政策に追従せざるをえない状態にある。
 日本は、アメリカの要請に応え、イラクに陸上自衛隊を派遣して、復興支援活動を行なった。現行憲法を改正せず、また集団的自衛権に関する政府見解を変えぬまま、自衛隊をイラクに送り出した。小泉首相は、派遣する地域は非戦闘地域であると説明した。しかし、非戦闘地域にも戦闘がいつ広がるかわからないのが、戦争である。そうした危険性のある国に、わが国の政府は、自衛隊を差し向けたのだが、隊員個人の正当防衛用の武器の携行を認めるのみで、部隊自衛用の部隊装備は認めなかった。部隊の自衛のための武器使用すらできないのだから、他国の軍隊に守ってもらうしかない。もしその他国の軍隊が攻撃を受けても、援護することはできない。
 幸いサマーワでの陸上自衛隊の活動は、戦闘に巻き込まれることなく任務を完了し、全員無事に帰国した。これはほとんど奇跡といっても良いことだった。この間、わが国は、イラクに大量破壊兵器がなかったことが明らかになっても、当初の政策を変更しなかった。アメリカの政策を一切批判することなく、従順につき従った。

●テロ特措法問題では、日本の国益を優先すべき

 アフガニスタンのテロ対策は、6年後の今も解決していない。そうした中で、テロ特措法を延長するかどうかという問題が浮上した。わが国がインド洋上で海上給油を行なっていることは、対テロ作戦に参加する国々から、感謝されている。後方支援という形ではあるが、いまのわが国に可能な国際貢献をすることで、高い評価を受けている。現在(平成19年10月25日)、国会ではテロ特措法に関する論議がなされている。小沢民主党は、海上補給は国連決議に基いていない、現行憲法の規定に抵触するなどとして、同法の延長に反対し、与党の新法案にも反対している。
 私は、今日の事態が、どういう経緯で生じたものであっても、そこに国益が関わっている場合は、国益を優先しなければならないと思う。インド洋上での海上給油は、アメリカを援けるだけではなく、わが国の国益の確保ともなっている。この点が決定的に重要である。
 というのは、わが国は石油の90%以上を中東からの輸入に頼っている。石油を積んだタンカーが、中東の産油国からインド洋、南シナ海、東シナ海を通ってわが国まで航海するシーレーンの安全保障は、わが国の経済及び国民生活に直結している。これだけ長大な航路の安全保障を、わが国が独力で行なうことは、不可能である。現在インド洋では、多国籍軍が共同でテロリストの攻撃から、シーレーンを守っている。わが国は、他国の艦船に海上給油をすることで、この地域の安全の維持に参加しているのであり、わが国の重大な国益の実現になっているのである。
 もしわが国が海上給油から抜けることで、多国籍軍の海上行動に支障をきたすと、テロリストにインド洋での活動を許す可能性がある。タンカーへの攻撃が行なわれたら、途端に石油輸送は重大な危機に陥る。わが国のタンカーも通行が妨げられる。
 石油はただでは買えない。それとともに、ただでは運べない。輸送路の警備を行なう費用と労力を分担しないと、中東からの石油は得られない。そういう状況に、わが国はある。このことを忘れて、いまわが国が海上給油から抜けるならば、自ら国利民益を損なうことになる。当然、アメリカとの関係は悪くなる。下手をすると、国際的に孤立する道に進みかねない。

 アメリカはイラク戦争の戦後処理に失敗した。今後、アメリカの指導者は、アフガニスタン・イラクからの撤退を模索するだろう。平成20年(2008)11月の大統領選挙で政権が変わった場合は、共和党であれ民主党であれ、政策の変更が行われるだろう。アメリカは、イラク戦争の失敗を教訓として、いずれ極端な親イスラエル政策を改め、イスラエルとパレスチナ及びアラブ諸国を仲介して中東和平をめざす政策に転換しなければならない。軍事力にもの言わせた支配やアメリカ的価値観の押し付けをやめ、文明や宗教・民族の間の相互理解と、それに基く協調を追及しなければならない。
 そういう転換をしない限り、アメリカは世界の指導国としての現在の地位を失っていくことになるだろう。そして、こうした転換は、イラクの治安事情を改善しながら、うまく撤退するのでなければ、なしえない。
 日本は今後のアメリカの変化をよく見極めて進む必要があると私は思う。一気に対外政策を変えてはいけない。屈辱的なことであるが、これも、わが国が憲法を長年放置し、国防をアメリカに依存してきたがために、自らに強いざるをえない対応なのである。いやなら即刻憲法を改め、自主国防を充実し、アメリカにNOも言える日本、中国や北朝鮮にはっきりものが言える日本にならなければいけない。ページの頭へ

 

結びに〜わが国は共存共栄の道を


 9・11及びアフガン戦争及びイラク戦争によって、世界は大きく変わった。文明間の対立が鮮明になっている。その世界を協調の方向に進めるには、相当時間と労力がかかるだろう。粘り強い取組みが必要である。仮に9・11の真相が、アメリカ政府高官らが関与したものであったとすれば、世界にもわが国も衝撃が走るだろう。
 しかし、共同謀議は、一部の指導層の犯罪である。アメリカ国民全体の意思ではない。その点を見極めて、わが国はアメリカという国家との関係を、保持していかなければならない。今後、アメリカ国内で9・11の真相解明がどのように進むか、その展開を注視して、柔軟に対応する必要がある。真理と正義を追求することを急いで、現実を見失い、日本の安全保障と国家国民の利益を損なってはいけない。
 ハンチントンが予想した西洋文明とシナ文明の対立は、アメリカと中国の冷戦という形で現実化した。そして、太平洋を隔てて、西洋文明とシナ文明の中間に位置するのが、日本文明である。日本文明は、自己の存立のためには、西洋文明とシナ文明の融和を図らざるを得ない環境にある。アメリカに盲従するのでなく、また中国に媚びへつらうのでもなく、堂々と主張する日本を目指さねばならない。

 それとともに、わが国は、イスラエルとアラブ諸国の対立を和らげるように助力しなければならない。日本が中東の石油を安定的に確保するには、中東和平を目指さざるを得ない。セム系一神教文明群の内部抗争は、非セム系多神教文明群の仲介によってのみ、協調の方向に転じられる。非セム系多神教文明群の中でもユニークな特徴を持つ日本文明は、西洋文明とイスラム文明の抗争を収束させ、調和をもたらすためにも重要な役割がある。

 西洋文明とイスラム=シナ=東方正教文明連合、アメリカ=イスラエル連合と中国・ロシア・アラブ諸国連合の対立が決定的な形に進まないように、わが国はアメリカと中国の間で、またイスラエルとアラブ諸国の間で、自らの興亡盛衰をかけて、共存共栄の道を開かねばならない。それは、単に自国のためだけでなく、世界の平和と発展のためにも必要とされることである。
 わが国及び日本文明が上記のような役割を果すには、まず独立主権国家としての自主性・主体性を取り戻すことが不可欠である。憲法を改正し、自主国防を整備し、その力の裏づけを持ってはじめて国際社会で発言力・影響力を発揮することができる。
 盲目的な従米は、一蓮托生の道である。アメリカが没落すれば、日本も一緒に没落する。それを抜け出るには、憲法を改正して、自主国防を整備すること。そして、親米だが自主性・主体性のある政策を行なうこと。長期的には、アメリカとの関係を従属から対等の関係に転じていけるよう、徐々に進めていく。
 これには時間がかかる。その期間は、アメリカの追従から自主へと徐々に転換していくしかない。急激な転換は無理を生じる。日米関係を対等な関係に成熟させ、着実に進んでいかなければならない。同時に媚中の姿勢をやめる。自主性・主体性を軽んじ、反米親中の政策を取れば、中国に呑み込まれかねない。アメリカと共に、中国の民主化を促し、脱ファッショ化・脱共産主義化に助力する。そして、中国にシナ文明の良き伝統が復活するように、日本文明から文化を発進していく。

 わが国は、国家間関係(international relationship)においてだけではなく、文明間関係(inter-civilizational relationship)においても、地球全体のキーポイントとなる立場にある。そこで求められるのは、日本文明の特長を良く発揮することである。現代世界人類の二大課題は、世界平和の実現と地球環境の保全である。そのためには、核戦争を防ぎ、また環境と調和した文明を創造しなければならない。これらの課題を実現するうえで、日本には重要な役割があると私は、確信している。人と人、人と自然が調和する日本精神には、人類の文明を転換し、この地球で人類が生存・発展していくための鍵があると思う。
 私たち日本人は、この21世紀において、日本精神を取り戻し、世界的にユニークな日本文明の特長を活性化し、新しい世界秩序の構築と、新しい人類文明の創造に寄与したいものである。私は、そこに日本の活路があると思う。

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関連掲示

・文明学及び私の日本文明論については、以下をご参照ください。
 拙稿「人類史の中の日本文明」〜第1章「人類の歴史と文明」
・共産中国に関する問題は、以下をご参照ください。

 拙稿「中国の日本併合を防ぐには

 

参考資料

・デビッド・レイ・グリフィン著『9・11事件は謀略か 「21世紀の真珠湾攻撃」とブッシュ政権』(緑風出版)

・ベンジャミン・フルフォード著『暴かれた9・11疑惑の真相』『暴かれた闇の支配者の正体』(扶桑社)、『9・11テロ捏造 日本と世界を騙し続ける独裁国家アメリカ』(徳間書店)

・ヴィクター・ソーン著、副島隆彦訳編『次の超大国は中国だとロックフェラーが決めた』(徳間書店)

・ハーモニクスライフ・ギャラリー

http://www.harmonicslife.net/gallery/main.php?g2_itemId=775

 9・11の真相解明を求める主な映像作品を見ることができる。

・日本テレビ「世界まる見え!テレビ特捜部」(平成19年10月15日放送)の録画

http://video.google.com/videoplay?docid=-3202513221609984355&hl=en

番組の元になった「911 MYSTERIES

http://www.surfingtheapocalypse.tv/911.php
そのガイドとなる日本語訳

http://www.asyura2.com/07/war97/msg/171.html

・テロリズムFAQサイト

http://mltr.free100.tv/faq10.html#911

・ペンタゴン突入の専門サイト

http://www.geocities.jp/finalflight77/0.html

・サミュエル・ハンチントン著『文明の衝突』(集英社)、『文明の衝突と21世紀の日本』(集英社新書)、『引き裂かれる世界』(ダイヤモンド社)

・ズビグニュー・ブレジンスキー著『ブッシュが壊したアメリカ』(徳間書店)

・ミアシャイマー+ウォルト著『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』(講談社)

・西岡昌紀著『アウシュウィッツ「ガス室」の真実』(日新報道)

・木村愛ニ著『アウシュヴィッツの争点』(リベルタ出版)

・日高義樹著『ブッシュのあとの世界』(PHP)、『アメリカの新国家戦略が日本を襲う』(徳間書店)

・藤井厳喜著『米中代理戦争の時代』(PHP)

・北野幸伯著『中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日』(草思社)

 

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